2025年4月時点の乳児服1着の平均価格は3,116円。宮崎や盛岡では5,000円超と高騰する一方、甲府や大津では1,500円以下と地域格差が顕著。素材や縫製コストの上昇、ブランド志向、少子化による質重視の傾向が背景にある。今後は価格高騰と家計負担への対策が求められる。
衣類・美容の都市別小売価格
乳児服価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎 | 盛岡 | 津 | 金沢 | 宇都宮 | 長崎 | 和歌山 | 横浜 | さいたま | 岡山 |
最新値[円] | 3116 | 5537 | 5023 | 4726 | 4466 | 4339 | 4209 | 4209 | 4143 | 4120 | 3993 |
平均比[%] | 100 | 177.7 | 161.2 | 151.7 | 143.3 | 139.2 | 135.1 | 135.1 | 132.9 | 132.2 | 128.1 |
前年月同比[%] | +2.782 | +27.76 | -22.31 | +5.181 | +9.212 | -5.139 | +10.51 | +9.009 |
乳児服価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 甲府 | 大津 | 岐阜 | 福島 | 徳島 | 山形 | 静岡 | 山口 | 鳥取 | 京都 |
最新値[円] | 3116 | 1189 | 1421 | 1421 | 1675 | 1678 | 1882 | 1965 | 2078 | 2196 | 2200 |
平均比[%] | 100 | 38.15 | 45.6 | 45.6 | 53.75 | 53.85 | 60.39 | 63.06 | 66.68 | 70.47 | 70.6 |
前年月同比[%] | +2.782 | -22.08 | -1.661 | +21.97 | +7.029 | -37.68 | +1.267 | -7.692 | -0.856 |
これまでの子供服の推移


詳細なデータとグラフ
乳児服の現状と今後
2025年4月時点における乳児服1着の全国平均価格は3,116円。2010年時点では平均2,000円台前半が1般的であり、15年間でおおよそ1.4~1.5倍の上昇を示しています。この上昇は1過性ではなく、以下の要因が複合的に影響しています。
-
原材料価格(綿、ポリエステルなど)の上昇
-
海外生産コストの高騰(特に中国・ベトナム)
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ブランド志向の強まりと機能性の付加
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少子化に伴う「質重視」傾向の定着
これらの要因により、「乳児服=消耗品」という意識から「育児の1環としての品質投資」へと価値観が変化しています。
価格が高い地域の特徴と要因分析
以下は、2025年4月時点で乳児服が高額な都市とその価格、前年同期比です。
都市 | 価格(円) | 前年同期比 |
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宮崎 | 5,537円 | +27.76% |
盛岡 | 5,023円 | — |
津 | 4,726円 | -22.31% |
金沢 | 4,466円 | +5.181% |
宇都宮 | 4,339円 | +9.212% |
長崎 | 4,209円 | — |
和歌山 | 4,209円 | -5.139% |
横浜 | 4,143円 | +10.51% |
さいたま | 4,120円 | — |
岡山 | 3,993円 | +9.009% |
主な特徴:
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地方都市の突出:宮崎(5,537円)や盛岡(5,023円)など、人口規模が中小の地方都市が価格上位を占めています。大手ベビー用品店が少なく、限られた選択肢の中で高価格帯のブランド品が主流になる傾向があります。
-
都市部の高価格化:横浜・さいたまのような大都市近郊では、ブランド志向の消費者層が厚く、高機能・高品質な商品が選ばれやすい傾向。
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価格変動の激しさ:津は4,726円と高価格ながら、前年比で-22.31%と大きく下落。セール・特売キャンペーンなどの影響も考えられます。
価格が低い地域の傾向と課題
1方、以下の都市では乳児服の価格が極端に安く抑えられています。
都市 | 価格(円) | 前年同期比 |
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甲府 | 1,189円 | -22.08% |
大津 | 1,421円 | -1.661% |
岐阜 | 1,421円 | +21.97% |
福島 | 1,675円 | +7.029% |
徳島 | 1,678円 | — |
山形 | 1,882円 | — |
静岡 | 1,965円 | -37.68% |
山口 | 2,078円 | +1.267% |
鳥取 | 2,196円 | -7.692% |
京都 | 2,200円 | -0.856% |
主な特徴:
-
価格抑制圧力の強い地域:甲府・大津・福島などは、大手量販店やディスカウントストアの競争が激しく、価格が低く保たれやすい。
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下落幅の大きさに注意:静岡では-37.68%、甲府では-22.08%と急落。仕入れ品の変更やデータ収集対象の違いが背景にある可能性も。
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生活コスト全体とのバランス:これら地域では、生活物価全体が比較的低く、育児用品も価格が抑えられる傾向があると考えられます。
構造的な価格上昇の要因
素材・縫製コストの上昇
原材料の国際相場上昇に加え、縫製工場の人件費増大(中国・バングラデシュなど)が影響。
国内ブランドの人気拡大
「ミキハウス」や「ファミリア」など、高品質・安心安全の国産ブランドに対する支持が根強く、価格に反映。
高機能・多機能化
紫外線対策、速乾性、肌触りなど高機能素材を使った商品が増加し、平均価格を押し上げている。
少子化と「1点豪華主義」
兄弟姉妹での使い回しが減少し、「数は少なくても質の良いものを」という消費行動の転換もみられます。
今後の課題と見通し
物価上昇と家計負担のバランスが今後の焦点です。高機能・高価格化の1方で、育児用品の価格高騰が少子化対策の障害になりかねないという指摘もあります。
政策的な支援としては、
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ベビー服の非課税措置や補助金の導入
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地域別の価格モニタリングによる価格格差の是正
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リユース市場やサブスクリプション型サービスの促進
といった対応が求められるでしょう。
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