九州・沖縄地方のトマト価格は都市ごとに差が大きく、佐世保市が高値、鹿児島市や熊本市は価格下落が顕著です。供給過多や物流の課題が背景にあり、今後は出荷調整と高付加価値トマトの展開が安定化のカギとなります。
トマトのデータとグラフ
トマトの高い順
佐世保市 | 北九州市 | 佐賀市 | 大分市 | 長崎市 | 鹿児島市 | |
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最新 | 2016年12月 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2016年11月 | 2023年10月 | 2016年11月 | 2021年9月 | 2023年10月 | 2023年10月 |
最新値[円/kg] | 509 | 418.3 | 399 | 359 | 358 | 329 |
最大値[円/kg] | 515 | 620 | 594 | 527 | 661 | 733 |
前月比[%] | -1.165 | -2.714 | -6.993 | +16.18 | -14.56 | -23.84 |
トマトの安い順
宮崎市 | 沖縄県 | 佐世保市 | 熊本市 | 佐賀市 | 長崎市 | |
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最新 | 2023年12月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2023年10月 | 2023年10月 | 2016年11月 | 2021年9月 | 2016年11月 | 2023年10月 |
最新値[円/kg] | 290 | 292.7 | 509 | 324 | 399 | 358 |
最大値[円/kg] | 675 | 889 | 515 | 536 | 594 | 661 |
前月比[%] | -26.21 | +5.531 | -1.165 | -10.74 | -6.993 | -14.56 |
トマトの推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
トマトの価格についての推移と展望
九州・沖縄地方は、温暖な気候と比較的長い日照時間により、トマトの生産が盛んな地域です。特に熊本県や宮崎県は、全国でも有数のトマト生産地として知られており、施設園芸(ハウス栽培)による通年供給体制が整っています。一方、離島を含む沖縄県や南部の鹿児島県では、輸送や物流の制約から市場価格に反映されやすい特徴があります。
2025年4月の都市別トマト価格の比較
高価格帯(400円/kg以上)
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佐世保市:509円/kg(前月比 -1.165%)
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北九州市:418.3円/kg(前月比 -2.714%)
佐世保市は九州地方で最も高い価格を示し、安定した地場需要と中継地としての役割が価格に反映されていると考えられます。北九州市も比較的高値で、福岡県内の流通拠点としての需要の高さが支えになっています。
中価格帯(350〜400円/kg)
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佐賀市:399円/kg(前月比 -6.993%)
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大分市:359円/kg(前月比 +16.18%)
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長崎市:358円/kg(前月比 -14.56%)
この層では大分市だけが大幅上昇し、供給減や地元需要の上昇が考えられます。長崎市の下落は、供給過多や出荷のタイミングによる調整の可能性があります。
低価格帯(〜350円/kg)
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鹿児島市:329円/kg(前月比 -23.84%)
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熊本市:324円/kg(前月比 -10.74%)
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沖縄県:292.7円/kg(前月比 +5.531%)
鹿児島市と熊本市はともに価格が急落しており、生産量増加による供給過剰が影響したとみられます。沖縄は最も価格が低いものの、価格は上昇傾向で、離島ゆえの需給バランスの変動に敏感な傾向があります。
地域別価格変動の特徴とその背景
佐世保市:高値安定型だが天井感あり
観光需要と地場流通の強さで高値を維持していますが、現状維持が限界に近いとも考えられ、今後は若干の調整も視野に入ります。
北九州市・佐賀市:安定傾向から下落へ
価格が比較的安定していた両都市も、今月はやや軟調。周辺県の生産が影響している可能性があります。
大分市:急騰型の特異事例
+16%以上の大幅上昇は、市場への出荷量減または地場消費の急増による需給バランスの変化が背景と考えられます。今後の持続性は不透明です。
鹿児島市・熊本市:生産過剰による調整局面
両県ともトマトの大産地であり、春先に向けて一斉出荷が進んだ結果、価格が崩れやすくなったと見られます。特に鹿児島市は-23%以上の大幅下落で調整色が強く出ています。
沖縄県:最安値ながら回復傾向
価格は全体で最も安い一方、前月比ではプラス。輸送コストや季節的要因による変動に今後も注視が必要です。
最近の問題と課題
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物流・輸送コストの増加 特に沖縄・鹿児島のような南部地域では、輸送コストが価格に大きく反映されやすく、今後の燃料費や人手不足の影響も大きいと予想されます。
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生産調整の難しさ 施設栽培の普及で通年出荷が可能になった反面、一時期に出荷が集中する傾向が強まり、需給バランスが崩れやすくなっています。
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価格競争の激化 同じ九州内での競合が激化し、特に熊本・宮崎・鹿児島は国内トップ級の生産量を背景に価格面での競争圧力が高まっています。
今後の期待と価格推移の見通し
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初夏以降の価格回復が見込まれる 梅雨入り前までの需要期に向けて、価格は徐々に持ち直す可能性が高いです。特に価格が急落した鹿児島や熊本では、出荷量の調整による値戻しが期待されます。
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高付加価値トマトの浸透に期待 糖度の高い「フルーツトマト」や、環境配慮型の有機トマトなどへの移行が進めば、価格の安定にも寄与するでしょう。これらは特に都市部の消費者に人気があり、佐世保・北九州など都市圏での販路強化が鍵となります。
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生産地連携と需給マネジメントの必要性 九州は地域ごとにバラバラな出荷体制を整えてきたものの、今後は「九州ブランド」として一体的な出荷調整や販促戦略が求められる段階にあります。
まとめ
九州・沖縄地方におけるトマトの価格動向は、地理的条件と出荷タイミングに大きく左右され、今月は鹿児島・熊本の価格下落、佐世保・北九州の高値維持、沖縄の緩やかな回復と、対照的な動きが見られました。初夏に向けた需給の変化に伴い、全体としてはやや持ち直し傾向が見込まれるものの、中長期的には付加価値型農業への移行が安定価格の鍵となります。
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