九州地方のじゃがいも価格動向|都市別の特徴と今後の見通し

じゃがいも



2025年4月現在、九州地方では北九州市(343.3円/kg)や福岡市(318.3円/kg)を中心に高価格帯が見られる一方、宮崎市(121円/kg)や鹿児島市(142円/kg)では極端な安値が続いています。都市によって前月比の増減が大きく異なり、地域間格差と価格変動の不安定さが浮き彫りです。今後は都市部での高止まりと農業地帯での価格低迷の二極化が進む可能性があり、持続可能な農業政策と流通強化が求められています。

じゃがいものデータとグラフ

じゃがいもの高い順

北九州市 福岡市 沖縄県 大分市 佐賀市 熊本市
最新 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2021年12月 2021年12月 2021年12月
最大期 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月
最新値[円/kg] 343.3 318.3 301.7 229 213 201
最大値[円/kg] 448 399 467 441 412 391
前月比[%] +18.66 +28.53 -0.2183 +8.531 +7.035 +0.5

じゃがいもの安い順

長崎市 宮崎市 熊本市 大分市 鹿児島市 北九州市
最新 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月 2023年12月 2025年4月
最大期 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2021年3月 2020年7月
最新値[円/kg] 108 121 201 229 142 343.3
最大値[円/kg] 349 394 391 441 277 448
前月比[%] -19.4 -6.923 +0.5 +8.531 +2.158 +18.66

 

じゃがいもの推移

野菜価格の推移

最新の価格データ

最近の野菜価格

 

じゃがいもの価格についての推移と展望

2025年4月における九州地方のじゃがいも平均価格は343.3円/kg。これは全国的にも高水準であり、特に北九州市や福岡市などの都市圏での価格の押し上げ効果が強く反映されています。

一方、宮崎市(121円/kg)や鹿児島市(142円/kg)などの農業主体地域では平均価格を大きく下回る水準が継続しており、需給構造の不均衡が明確です。


都市別価格の分析

高価格帯(300円以上)

  • 北九州市:343.3円/kg(+18.66%)消費密集地であり、物流の要所でもあるため価格は高止まり傾向。前月からの大幅上昇は市場の一時的な供給不足を示唆。

  • 福岡市:318.3円/kg(+28.53%)九州最大の都市であり、小売・外食需要が集中。価格は急騰しており、仕入れ競争が激化している可能性あり。

中価格帯(200円前後)

  • 大分市:229円/kg(+8.53%)比較的安定した市場価格。流通コストと地域消費のバランスが取れている。

  • 佐賀市:213円/kg(+7.035%)福岡圏と地理的に近く、物流効率もよいが、大都市に比べると需要の集中は限定的。

  • 熊本市:201円/kg(+0.5%)安定した農業地帯でありながら、前月比はほぼ横ばい。供給が豊富で、過剰在庫懸念も。

低価格帯(150円未満)

  • 宮崎市:121円/kg(-6.923%)非常に低価格で推移しており、供給過剰または地元市場の弱さが原因。生産者への負担大。

  • 鹿児島市:142円/kg(+2.158%)安値圏にあるが、前月比では若干の上昇。輸送・販路の制約が価格を抑制している。


背景にある構造的な課題

生産偏重の地域と価格下落の関係

宮崎・鹿児島といった農業集積地では、大量生産と流通の課題により、供給過多による価格下落が顕著です。地元消費に対して供給量が上回るため、価格は市場原理により下押しされます。

都市集中による高価格化

福岡市・北九州市では、需要の集中と物流コストの高騰が価格に反映。特に都市部のスーパーや外食産業での使用が多く、安定的に高値が形成されています。


物流と流通の地域性

九州は南北に長く、離島・山間部も多いため、都市部と農村部で物流格差が大きいのが特徴です。

  • 北九州・福岡:高速道路や市場が集中し、流通が効率的

  • 南九州(宮崎・鹿児島):地理的隔離と輸送コストの問題→生産量は多くても都市部市場へのアクセスが限定されており、販路確保が課題です。


最近の問題と農業経営への影響

価格下落による収益悪化

宮崎・鹿児島などでは、価格が低すぎて収穫しても採算が取れない農家が増加。労働力不足と相まって、農業継続が困難になりつつあります。

都市圏での消費主導型需給

北九州や福岡では高価格でも消費が維持されており、都市と農村での価格形成の断絶が広がっています。


今後の推移と展望

都市部:高値安定だが調整もあり得る

福岡市や北九州市では、今後も高価格傾向が続くと予測されますが、収穫期にはやや調整の動きが入る可能性があります。

農業地帯:価格反転は条件次第

宮崎・鹿児島では、出荷量の調整や新たな販路の開拓(直販・ECなど)が進めば、徐々に価格回復も視野に入ります。

中間都市:安定価格が継続見込み

大分・佐賀・熊本は需給のバランスが比較的よく、今後も緩やかな上昇か安定的推移が期待されます。


政策的視点と地域農業の今後

以下の施策が今後求められると考えられます:

  • 都市と農村を結ぶ広域流通整備南九州から北部都市への安定的出荷体制の構築が急務。

  • 地産地消とブランド化の推進「霧島じゃがいも」「阿蘇高原じゃがいも」など、地域名を活かした付加価値の強化がカギ。

  • 価格安定基金や買取制度の活用価格が一定以下に下がった場合に、農家への収益補填を行う制度も検討されるべきです。


まとめ

九州地方におけるじゃがいも価格は、都市部の高騰と農村部の価格低迷という明確な二極構造が見られます。今後はこの格差を是正し、持続可能で収益性のある地域農業を実現するための政策支援と流通改革が求められる時期に差し掛かっています。

 

その他のデータとグラフ

 

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