2025年6月の九州におけるさつまいも価格は沖縄県で485円/kgと高騰。福岡市や北九州市も上昇傾向だが、流通量には差が大きく、沖縄県では数量が前年比-52%と急減。高価格の背景には、輸送コストや需給の偏り、基腐病など生産地の問題が影響している。
さつまいもの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 沖縄県 | 485 | +35.98 |
2 | 福岡市 | 365 | +12.89 |
3 | 北九州市 | 358 | +5.708 |
市場価格の推移

九州の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 福岡市 | 0.131 | +16.96 |
2 | 北九州市 | 0.043 | -28.33 |
3 | 沖縄県 | 0.012 | -52 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
さつまいもの卸売り市場の現状と今後
2025年6月のデータによれば、沖縄県のさつまいも市場価格は485円/kgと、9州内のみならず全国的に見ても非常に高値となっており、前年同月比+35.98%と急激な上昇を見せています。次いで福岡市は365円/kg(+12.89%)、北9州市は358円/kg(+5.708%)となっており、9州の主要都市全体で価格上昇傾向が見られます。
1方で卸売数量に関しては、福岡市が0.131ktで最も多く、前年比+16.96%と堅調に推移。北9州市は0.043ktで-28.33%減、沖縄県はわずか0.012ktで-52%と半減しており、供給側に大きな差が表れています。
価格と数量の長期的推移
2008年以降、さつまいもの価格は9州各都市で徐々に上昇する傾向を見せていましたが、特に2020年代に入ってからは全国的な健康志向や焼き芋ブームの追い風を受け、急激な価格上昇が観察されました。
数量面では、福岡市が1貫して9州内最大の流通拠点として安定的な数量を保ってきました。しかしながら、北9州市と沖縄県では近年、数量の変動が大きく、2025年6月においてもその傾向は顕著です。
都市別の特徴と傾向
沖縄県
価格:485円/kg(+35.98%)数量:0.012kt(-52%)
沖縄県は9州で最も高額な価格を記録しているものの、数量は極めて少なく、前年比で半減しています。これは離島特有の輸送コスト上昇や仕入先の不安定さによって価格が吊り上がっている典型例と考えられます。
福岡市
価格:365円/kg(+12.89%)数量:0.131kt(+16.96%)
9州最大の青果流通拠点であり、供給量が豊富で安定的な取引が可能です。価格は沖縄ほどではないが、適度な上昇率にとどまっており、需給のバランスが取れている市場といえます。
北9州市
価格:358円/kg(+5.708%)数量:0.043kt(-28.33%)
北9州市は数量が大きく減少したにもかかわらず、価格の上昇は比較的緩やかです。これは他地域からの供給補填がうまくいかず、取扱量が縮小しているため価格調整が限定的にとどまった可能性があります。
価格高騰の要因
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供給源の制約 鹿児島県や宮崎県といった9州の主要産地でも、基腐病の影響や人手不足、燃料費高騰により生産が縮小。仕入れ価格が上昇し、それが市場価格に転嫁されています。
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物流費の増加 特に沖縄では海上輸送に依存しており、輸送コストの高騰が価格に直結。 加えて、物流2024年問題によるドライバー不足が影響しています。
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需要増とプレミアム化 さつまいもスイーツ、焼き芋、冷凍食品など加工品需要の増加により、質の高い品種が高値で取引されるようになってきました。
生産と流通の地域的背景
9州は鹿児島県を中心に全国最大のさつまいも生産地ですが、福岡・北9州・沖縄といった都市市場は主に仕入れ型。福岡市では広域からの集荷が行われるのに対し、北9州と沖縄は特定供給に依存しやすく、数量変動の影響を受けやすい構造です。
今後の展望と課題
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福岡市のような安定供給体制の構築が、9州全体の価格安定の鍵となります。
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沖縄のような離島地域では、冷蔵保管技術の導入や輸送補助の強化によって価格を抑制する取り組みが期待されます。
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9州の主要都市においても、地産地消型の供給体制や加工向け需要の見直しが今後の流通政策の焦点になるでしょう。
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