2025年6月の九州における桃市場では、福岡市・北九州市・沖縄県で価格が上昇。一方、数量は福岡・北九州で減少し、沖縄のみ増加。背景には天候不順、物流費の上昇、地場産の供給不安がある。今後は安定供給体制の確立が課題となる。
桃の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 福岡市 | 1357 | +12.68 |
2 | 沖縄県 | 1351 | +3.052 |
3 | 北九州市 | 1218 | +17.91 |
市場価格の推移

九州の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 福岡市 | 0.092 | -23.33 |
2 | 北九州市 | 0.037 | -22.92 |
3 | 沖縄県 | 0.002 | +100 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
桃の卸売り市場の現状と今後
9州地方の桃市場は、2008年以降、価格は上昇傾向を示しつつ、卸売数量は漸減しています。2025年6月時点では、福岡市での市場価格は1,357円/kg(前年比+12.68%)と全国平均に近い水準、沖縄県が1,351円/kg(+3.052%)、北9州市が1,218円/kg(+17.91%)となっています。1方で、卸売数量は福岡市が0.092kt(−23.33%)、北9州市が0.037kt(−22.92%)、沖縄県は0.002ktで前年同月比+100%と大きく伸びたものの、数量ベースでは依然として極めて小規模です。
都市別市場の特徴
福岡市は、9州最大の消費地であり、多くの産地からの集荷が集中する市場です。価格は比較的安定しており、贈答品・高級果実の需要も1定量存在します。ただし、近年は流通経路の再編や天候不順により入荷量が減少し、価格が上昇する傾向にあります。北9州市は、福岡市と比較して中規模の市場ですが、地場消費者の堅実な購買活動が支えており、安価ながら安定した取引がなされてきました。今回、価格が大幅に上昇した背景には、取扱量の減少に対する需給ひっ迫が影響しています。沖縄県では、もともと桃の流通量は非常に少なく、季節限定の嗜好品的扱いが強い傾向です。数量は少ないながらも価格は比較的高く設定されており、特に贈答需要や輸送コストの高さが価格に反映されています。
価格高騰の要因
9州の桃価格が上昇した要因は以下の通りです:
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生産地の不安定化:熊本・大分・福岡など9州内の桃産地でも、近年は高温や霜害により収量が不安定となり、流通量が減少。
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② 9州外からの流入減:山梨や岡山など主産地からの出荷が首都圏向けに集中する傾向が強まり、9州への供給量が減少。
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③ 物流費・人件費の上昇:長距離輸送を要する地域(特に沖縄県)では、輸送費や取扱コストの上昇が小売・卸価格に直接影響。
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④ 高級志向の台頭:都市部では、贈答用や高品質果実に対する選別購入が進み、単価が底上げされる傾向が続いている。
9州地方の桃生産と供給動向
9州は桃の生産においては主力産地ではないものの、熊本県、福岡県、大分県などでは1定の出荷量があります。ただし、生産農家の高齢化や異常気象の影響により、地元産の安定供給が困難になっており、需要に対して供給が追いつかない状況が価格上昇の1因です。また、関東・関西圏への出荷が優先される動きも強まっており、9州内の市場では調達競争が不利に働くケースが見られます。
今後の展望と課題
今後、9州地域での桃流通においては、以下の点が鍵となります:
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地元産桃のブランド化と販売支援による流通の安定化
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広域連携による共同調達・共同物流の構築
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輸送効率の改善による沖縄市場の仕入コスト抑制
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規格外果実の加工品展開などによる販売チャネルの多様化
9州の桃市場は今後も価格変動が大きいと予想されるため、持続可能な流通モデルの確立が強く求められています。
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