九州のピーマン市場価格動向|都市別価格と今後の予想

ピーマン

2025年6月の九州地方におけるピーマン市場では、福岡市が446円/kgで最も高く、北九州市392.3円/kg、沖縄県284円/kgと地域差がある。福岡は前年比+15.05%の価格上昇だが数量は-10.2%減少。北九州と沖縄は数量が増加しつつも価格の上昇は緩やか。生産の地域分散と施設化の有無、気候条件の差異が主因であり、今後は広域供給と品質安定が課題である。

ピーマンの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1福岡市446+15.05
2北九州市392.3+9.488
3沖縄県284+3.397

市場価格の推移

ピーマンの市場価格

九州の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1福岡市0.414-10.2
2北九州市0.212+19.77
3沖縄県0.121+3.419

卸売数量の推移

ピーマンの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

ピーマンの卸売り市場の現状と今後

2025年6月時点での9州のピーマン市場価格は以下の通りです:

  • 福岡市:446円/kg(前年比+15.05%)

  • 北9州市:392.3円/kg(前年比+9.488%)

  • 沖縄県:284円/kg(前年比+3.397%)

全国平均(507.7円/kg)に比べるといずれも下回っていますが、福岡市では価格の上昇がやや急であり、需要と供給のバランスに変化が見られます。

卸売数量は以下の通りです:

  • 福岡市:0.414kt(前年比-10.2%)

  • 北9州市:0.212kt(前年比+19.77%)

  • 沖縄県:0.121kt(前年比+3.419%)

福岡市は減少傾向である1方、北9州と沖縄は増加しています。これは供給地や流通経路の変化、消費傾向の違いによるものです。


都市別の特徴と価格動向

福岡市:9州の物流・消費中心地

福岡市は、9州最大の青果市場を持ち、熊本・大分・宮崎など中南部9州の産地から広くピーマンを集荷しています。中間地流通・加工需要も多く、安定した需要があります。

ただし2025年は卸売数量が前年比-10.2%と減少しており、高温・干ばつによる生産減と物流費高騰が背景と見られます。価格上昇(+15.05%)はその反映です。

北9州市:地場と山口県産の混在市場

北9州市は、福岡県北部および隣接する山口県西部などの近郊産を中心に取り扱っています。数量が前年比+19.77%と大幅増加しており、これは比較的安定した天候と、施設栽培の効果があったと考えられます。

1方で価格は392.3円/kgと全国平均を大きく下回り、地場中心で供給が安定しているため価格の上昇圧力は限定的です。

沖縄県:自給的色彩と島内消費に強い市場

沖縄県では、他地域とは異なり離島型流通と地産地消傾向が強いです。価格は284円/kgと全国でも最も低水準にありますが、これは地場消費が中心であり輸送負担が小さいことに由来します。

卸売数量は+3.419%と微増しており、安定した温暖気候を背景とした施設栽培が影響しています。


価格変動の要因分析

9州地方におけるピーマン価格の変動には、以下の要因が影響しています。

  • 天候と気温の差:福岡市では高温乾燥傾向が強く、露地栽培に悪影響を与えた1方、北9州や沖縄では比較的穏やかな気象条件により生産が安定。

  • 施設栽培の有無:沖縄県では早期施設化が進んでいるため、価格と数量の安定度が高い。北9州も施設率が高く、数量増に成功。

  • 物流事情:9州本土と沖縄の間には物流コストの差が大きく、沖縄は価格競争力を重視。福岡では本州・関西への出荷を想定した市場価格形成があり、コスト上昇が転嫁されやすい。


生産地の構造と課題

9州は日本でも有数のピーマン生産地ですが、その構造は地域によって大きく異なります。

  • 南9州(熊本・宮崎・鹿児島):温暖で日照が安定しており、ピーマン生産が盛ん。福岡市への出荷が多い。

  • 北9州地域:福岡県内の宗像や苅田などが主産地。比較的小規模な施設栽培主体で、北9州市に出荷。

  • 沖縄県:周年型の施設栽培が中心で、地場消費や学校給食など地域密着型流通が中心。

共通課題としては、以下が挙げられます:

  • 高齢化による生産継続の困難

  • 収穫期の労働力不足

  • 肥料・農業資材の高騰

  • 物流・燃料費の上昇


今後の展望と政策的対応

今後、9州地域のピーマン供給と価格安定には、以下のような対策が求められます。

  • 地域間連携による需給調整:福岡・北9州・熊本・沖縄などの市場間で情報共有を進め、価格変動リスクを抑制。

  • 若手農業者支援と省力化技術の導入:ドローン、自動潅水システムなどの導入により生産効率の向上を目指す。

  • 流通の合理化と販路多様化:地場直販・学校給食・飲食業向けの契約栽培モデルの構築。

  • スマート農業や気象対応型品種の活用:高温耐性や病害虫に強い品種への転換が有効。


まとめ

9州におけるピーマン市場では、福岡市が高価格・中量、北9州市が中価格・増量、沖縄県が低価格・安定供給という3者3様の特徴を見せています。地域ごとの生産構造や物流背景が市場に強く反映されており、今後の価格安定と供給確保には、それぞれの特性に合った対応策が必要です。

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