2025年春の九州野菜価格:都市別の最新動向と今後の展望

野菜価格(都市別)



九州の野菜価格は宮崎市が276円/kgと高騰する一方、熊本・佐賀は200円以下と安値傾向。都市ごとに供給構造や物流が異なり、地域差が顕著。今後は春の出荷増で安定が見込まれるが、生産地の価格低迷や高齢化が課題。流通改善とブランド化がカギを握る。

野菜全体の卸売り市場価格

野菜全体の高い順

宮崎市 北九州市 沖縄県 佐世保市 福岡市 大分市 久留米市 長崎市 熊本市 佐賀市
最新 2023年12月 2025年4月 2025年4月 2016年12月 2025年4月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月
最大期 2022年12月 2025年1月 2024年12月 2016年10月 2024年12月 2020年8月 2020年8月 2016年10月 2016年10月 2016年9月
最新値[円/kg] 276 267 256.3 254 219.3 213 211 204 192 189
最大値[円/kg] 345 322.3 361 305 266.3 269 285 271 270 231
前月比[%] +31.43 -5.319 -9.209 -5.926 -6.401 +8.673 +0.9569 -2.392 -0.5181 +6.18
前年同月比[%] -20 -4.414 -12.12 +24.51 -5.187 +25.29 +4.455 +9.091 +12.94 +31.25

 

野菜全体の推移

野菜全体価格の推移

最新の価格データ

最近の野菜全体価格

 

その他のデータとグラフ

 

野菜全体の価格についての推移と展望

九州地方は日本有数の農業大国であり、温暖な気候と広大な平地を活かした露地栽培中心の野菜生産が盛んです。宮崎・熊本・大分などは全国有数の野菜出荷県であり、福岡などの都市部に加え、関西圏や関東圏への出荷も行われています。

また、南北に長く地形が多様なため、作型のバリエーションが豊富で、年間を通して様々な品目が出荷可能です。一方で、気象災害や物流の制約も地域によって影響が異なります。


2025年4月の都市別価格と特徴分析

都市名 平均価格 (円/kg) 前月比
宮崎市 276.0 +31.43%
北九州市 267.0 -5.319%
沖縄県 256.3 -9.209%
佐世保市 254.0 -5.926%
福岡市 219.3 -6.401%
大分市 213.0 +8.673%
久留米市 211.0 +0.9569%
長崎市 204.0 -2.392%
熊本市 192.0 -0.5181%
佐賀市 189.0 +6.18%

宮崎市が突出して高値(276円/kg)となっており、前年同月比・前月比ともに+31.43%と異常な上昇です。これは、端境期での供給減や特定品目の価格高騰(例:きゅうり、ピーマンなど)による影響が推測されます。

熊本・佐賀・長崎などは200円を下回る安値水準で、地場流通が中心であることや、出荷量が安定していることによる価格の抑制が背景と考えられます。


地域別の価格構造と特色

  1. 宮崎市(高価格・供給集中型) 施設栽培や冬場出荷の主力県であり、出荷先依存度も高い。最近の価格急騰は、供給不安や特需(都市部の需要集中)による一時的要因と考えられます。

  2. 北九州・佐世保・沖縄(中価格帯・消費都市型) 消費地であり、価格は流通コストや需給のバランスに左右されやすい。沖縄は離島ゆえに物流コストが価格に上乗せされやすく、変動も大きいのが特徴。

  3. 福岡市・久留米市(都市圏内・流通安定型) 福岡市は都市需要が大きいが、市場機能が発達しており、仕入れ調整力が高いため価格は比較的抑制。久留米は地場出荷が多く、価格変動が穏やか。

  4. 熊本・佐賀・長崎(低価格帯・生産地型) いずれも生産力が高く、供給過多になりやすい反面、流通規模が小さいため価格が上がりにくい。農家の収益性確保が課題。


これまでの価格変動の特徴と近年の課題

過去15年間のデータを見ると、九州の野菜価格は全体として全国平均よりやや安価で安定的ですが、以下の課題が浮き彫りになっています:

  • 気候変動の影響:豪雨や台風が多く、特に夏場~秋にかけて供給が不安定化しやすい。

  • 高齢化と労働力不足:特に中山間地域での栽培面積縮小が進行中。

  • 物流費の高騰:特に離島や山間部では、野菜の「地産地消」が進まなければ輸送コストが価格を圧迫する。


今後の推移と期待される動き

  • 2025年春以降は全体的に価格安定が見込まれる 露地野菜の出荷増により、4月末〜5月以降は供給が安定し価格は緩やかに下落傾向に移行する見通しです。

  • 都市部は変動継続、生産地は価格低迷の懸念 消費地は需給バランスで価格変動が続くが、熊本・佐賀のような生産地は価格上昇に限界があり、経営圧迫のリスクもあります。

  • 今後の焦点:流通改善とブランド化 例:宮崎・大分などで進むブランド野菜の強化は価格安定と差別化に貢献。物流の合理化や市場外流通(直販・ECなど)も鍵となるでしょう。

 

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