九州地方の都市ガス代は2025年3月時点で平均8,704円。最も高いのは佐賀で9,391円、最も安いのは大分で8,352円と地域差が顕著。離島の那覇は輸送コストの影響で高値に。近年はエネルギー価格の上昇や円安の影響でガス代が上昇。今後は再生可能エネルギーや省エネ対策、ガス自由化の進展による価格安定化と地域格差の是正が期待される。
小売物価統計
1カ月の都市ガス代の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 佐賀 | 那覇 | 宮崎 | 鹿児島 | 福岡 | 北九州 | 長崎 | 熊本 | 佐世保 | 大分 |
最新値[円] | 8704 | 9391 | 9322 | 8954 | 8878 | 8465 | 8465 | 8405 | 8405 | 8405 | 8352 |
平均比[%] | 100 | 107.9 | 107.1 | 102.9 | 102 | 97.25 | 97.25 | 96.56 | 96.56 | 96.56 | 95.95 |
前年月同比[%] | 2.193 | 6.558 | 4.683 | 1.232 | 1.208 | 1.341 | 1.341 | 1.289 | 1.289 | 1.289 | 1.372 |
1カ月の都市ガス代の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 大分 | 佐世保 | 熊本 | 長崎 | 北九州 | 福岡 | 鹿児島 | 宮崎 | 那覇 | 佐賀 |
最新値[円] | 8704 | 8352 | 8405 | 8405 | 8405 | 8465 | 8465 | 8878 | 8954 | 9322 | 9391 |
平均比[%] | 100 | 95.95 | 96.56 | 96.56 | 96.56 | 97.25 | 97.25 | 102 | 102.9 | 107.1 | 107.9 |
前年月同比[%] | 2.193 | 1.372 | 1.289 | 1.289 | 1.289 | 1.341 | 1.341 | 1.208 | 1.232 | 4.683 | 6.558 |
これまでの都市ガス代の推移


詳細なデータとグラフ
都市ガス代の現状と今後
2025年3月時点での九州地方における1カ月当たりの都市ガス代の平均は8,704円です。これは全国平均と比べてやや高めの水準にあります。各都市の料金は以下のように分かれています。
高い順(平均に対する比率)
-
佐賀:9,391円(107.9%)
-
那覇:9,322円(107.1%)
-
宮崎:8,954円(102.9%)
-
鹿児島:8,878円(102.0%)
低い順(平均に対する比率)
-
大分:8,352円(95.95%)
-
熊本・長崎・佐世保:8,405円(96.56%)
-
福岡・北九州:8,465円(97.25%)
最も高い佐賀と最も低い大分との差は1,039円(約12.4%)にも及びます。
価格差の背景と要因分析
地域インフラと供給体制の違い
都市ガスの価格は、ガス会社ごとの供給網の整備状況や輸送コストの違いによって大きく左右されます。那覇のように離島地域である沖縄は、ガスの供給形態が本土と異なり、輸送コストが高くなる傾向にあります。
需要と供給のバランス
温暖な九州でも冬場の冷え込みが厳しいエリアでは、暖房などによるガスの使用量が増えるため、単位あたりの料金も上昇しやすい傾向にあります。
価格制度と燃料調整費
各都市ガス会社が設定する基本料金および使用量に応じた従量料金に加え、原油価格や為替レートに応じた「燃料費調整制度」が影響します。近年はLNG(液化天然ガス)価格の変動が大きく、料金にも反映されています。
これまでの価格推移(2016年~2025年)
2016年から2020年頃までは比較的安定していましたが、2021年以降、世界的なエネルギー価格の高騰と円安が進行したことで、都市ガス代も上昇傾向にあります。特に2022年から2023年にかけては、戦争や経済の不安定要素の影響もあり、ガス料金は一気に跳ね上がりました。
九州も例外ではなく、佐賀や那覇などのエリアでは特に顕著な上昇が見られました。
九州における都市ガス料金の問題点
離島のコスト構造
那覇に代表されるように、離島ではガスの輸送手段や供給体制が限られており、価格が全国平均より高くなりがちです。これは今後の改善が難しい構造的な課題です。
ガス会社の寡占状態
一部地域では複数の都市ガス事業者が存在せず、料金の比較・選択が困難です。自由化が進んでも、ガス事業者を変更するハードルが高く、結果として価格競争が起きにくい状況です。
省エネ意識の浸透不足
特に家庭部門での省エネ機器の導入が遅れている地域では、ガス使用量の削減が進まず、支出が増加傾向にあります。
今後の期待と展望
再生可能エネルギーや新技術の活用
将来的には、バイオガスや水素を活用したガス供給技術が進めば、供給コストの低下や環境負荷の軽減につながり、料金にも好影響が出る可能性があります。
ガス料金の見直しと国の支援
エネルギー価格の高止まりを受けて、政府による補助制度や税制優遇措置も一時的に導入されてきました。将来的にも家計の負担を和らげる施策が求められます。
地域間格差の是正
ガス自由化の進展と技術革新により、地域ごとの価格差が縮小される可能性があります。特に、インフラが整いつつある地方都市では、他社参入により価格競争が活発化することが期待されます。
家計と都市ガス代の関係
都市ガス代は家計支出の中でも光熱費の中核を占める要素です。特に冬季は暖房需要が重なり、1万円を超える家庭も少なくありません。ガス代の節約には、給湯器の高効率化、床暖房の利用見直し、浴槽保温の工夫などが有効です。
まとめ
九州の都市ガス代は地域によって大きな差があり、特に佐賀や那覇の高水準が目立ちます。背景にはインフラ構造や離島特有の課題、燃料価格の高騰があります。今後はガス自由化の進展、再生可能エネルギーの活用、省エネの推進などによって、料金の安定化と地域間格差の解消が期待されます。
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