九州の灯油18L小売価格は2025年4月時点で平均2,389円となり、都市間で最大約400円の価格差が生じています。那覇や鹿児島では物流コストの高さが価格を押し上げ、一方で福岡や大分では流通競争により抑制されています。原油価格高騰や円安、物流費増加が主な要因で、自治体支援や今後のエネルギー転換が求められます。
自動車・交通の都市別小売価格
九州価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 鹿児島 | 熊本 | 宮崎 | 佐賀 | 福岡 | 北九州 | 佐世保 | 長崎 | 大分 |
最新値[円] | 2389 | 2658 | 2610 | 2460 | 2412 | 2396 | 2298 | 2268 | 2267 | 2261 | 2259 |
平均比[%] | 100 | 111.3 | 109.3 | 103 | 101 | 100.3 | 96.19 | 94.94 | 94.9 | 94.65 | 94.56 |
前年月同比[%] | +9.497 | +8.049 | +15.38 | +7.05 | +10.74 | +10.36 | +5.85 | +14.31 | +5.786 | +12.32 | +5.709 |
九州価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大分 | 長崎 | 佐世保 | 北九州 | 福岡 | 佐賀 | 宮崎 | 熊本 | 鹿児島 | 那覇 |
最新値[円] | 2389 | 2259 | 2261 | 2267 | 2268 | 2298 | 2396 | 2412 | 2460 | 2610 | 2658 |
平均比[%] | 100 | 94.56 | 94.65 | 94.9 | 94.94 | 96.19 | 100.3 | 101 | 103 | 109.3 | 111.3 |
前年月同比[%] | +9.497 | +5.709 | +12.32 | +5.786 | +14.31 | +5.85 | +10.36 | +10.74 | +7.05 | +15.38 | +8.049 |
これまでの灯油の推移


詳細なデータとグラフ
九州の現状と今後
灯油は9州地方の冬季生活における主要な暖房エネルギー源の1つであり、特に寒冷地域や高齢者世帯が多い山間部では不可欠な生活必需品です。灯油価格の変動は、家計に直結するため、地域経済の1端を担う重要な指標でもあります。
2010年以降の長期的な価格動向
2010年1月以降の9州全体の灯油価格は、世界の原油価格に連動しながら上下動を繰り返してきました。2014年前後には円安や中東情勢の影響で高騰し、2016年頃には1時的に低下。その後、コロナ禍による経済減速で1時落ち着いたものの、2022年以降はロシア・ウクライナ戦争や円安再進行を背景に再び上昇傾向に転じました。
2025年4月時点での最新価格水準
2025年4月時点での9州平均価格は 18Lあたり2,389円です。これは前年同期よりも明確な上昇傾向を示しており、家計への圧力が再び高まっていることを意味します。特に都市間の価格差も大きく、那覇の2,658円から大分の2,259円まで、400円の開きがあります。
都市別の特徴と価格差の要因
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那覇(2,658円)・鹿児島(2,610円) 那覇や鹿児島は物流面での不利や地理的孤立性、離島輸送コストが価格を押し上げています。特に沖縄本島では本州からの輸送コストに加え、在庫保管リスクなども反映され、全国的に見ても灯油価格が高くなりやすい地域です。
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熊本(2,460円)・宮崎(2,412円) 内陸部に位置しながらも流通インフラが発達しているため、離島ほどではないが若干高めの水準。農業ハウスでの使用需要も存在します。
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福岡(2,298円)・北9州(2,268円)・大分(2,259円) 大都市圏や工業地帯では、大手流通網の競争があり価格は比較的抑えられています。特に大分は最安値を記録し、燃料費が家計に与える影響は相対的に小さくなっています。
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長崎・佐世保・佐賀 港湾都市であるがゆえに輸送コストは安定しているものの、消費規模が小さいため仕入れ単価が高くなりがちです。
最近の価格上昇の要因分析
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原油価格の上昇 OPECプラスの生産調整や地政学的リスクにより、原油価格が底堅く推移していることが根本的な要因です。
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円安進行 日本の灯油(石油製品)の多くが輸入に依存しているため、為替の影響がダイレクトに価格に反映されます。
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物流・人件費の増加 長距離輸送の燃料費や、配送業者の人手不足に伴う労務コスト増が価格に転嫁されていると考えられます。
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地域間格差の拡大 需要の集中や店舗数の違い、価格競争の有無が、都市ごとの価格差を拡大させています。特に大分と那覇の差(399円)はこの傾向を象徴しています。
生活者と自治体の対応
灯油価格の上昇は、特に高齢者世帯や低所得層に重い負担をもたらします。地方自治体では、灯油購入助成金制度や省エネ型暖房器具への補助金を通じて支援を行っている例があります。今後も、価格高騰が常態化するならば、こうした生活支援政策の継続と拡充が求められるでしょう。
今後の展望
世界のエネルギー事情が安定しない中で、灯油価格は今後も変動が続くと見られます。再生可能エネルギーやヒートポンプ式暖房への移行も進む中、灯油依存型の地域では引き続き価格動向への注視が必要です。特に9州のように都市間での価格差が大きい地域では、公平なエネルギーアクセスが課題となりそうです。
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