九州のバナナ市場では、沖縄県が最も高価格(274円/kg)かつ最多取扱量を記録し、地域特有の需要と物流条件が影響。北九州市は安定価格で流通量も多く、福岡市は価格が低めながら量販型志向が特徴。今後は輸入コストや消費志向の変化が市場を左右すると予測される。
バナナの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 沖縄県 | 274 | +2.622 |
2 | 北九州市 | 237 | -0.139 |
3 | 福岡市 | 198 | +2.948 |
市場価格の推移

九州の卸売数量
市場 | 卸売数量[k円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 沖縄県 | 0.274 | +2.622 |
2 | 北九州市 | 0.237 | -0.139 |
3 | 福岡市 | 0.198 | +2.948 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
バナナの卸売り市場の現状と今後
9州におけるバナナの市場は、沖縄県・北9州市・福岡市が主要な拠点となっています。2025年6月時点で、沖縄県は274円/kgと地域内最高価格を示しており、卸売数量も0.274k円/kgと最多です。1方で、北9州市は237円/kg、福岡市は198円/kgと、価格には地域内でも明確な差が存在します。卸数量は北9州市が0.237k円/kg、福岡市が0.198k円/kgと続きます。
都市別に見る価格と数量の特徴
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沖縄県:バナナの単価が最も高く、数量も最多。これは輸送コストの高さや地理的条件からくる物価全体の高さ、および地元消費の安定性が反映されていると考えられます。また、地域需要が強く、安定供給のための価格調整も行われやすいのが特徴です。
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北9州市:価格は237円/kgで沖縄に次ぐが、数量は比較的多く、9州内流通のハブ的存在です。前年同月比ではわずかに減少(-0.139%)しており、安定した市場環境が読み取れます。
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福岡市:価格は198円/kgと低めながら、数量は0.198k円/kgで1定の取扱量を維持。大都市圏として価格競争が激しく、量販向けの安価な品種が主流である可能性があります。
過去の価格と数量の推移
2008年以降のバナナ価格は、全国的に200~250円/kg前後で安定推移しています。9州においても大きな価格変動は少なく、輸入果実としての価格安定性が際立っています。しかし、2019年以降の円安や輸送コスト上昇の影響で1時的に上昇する局面も見られました。
数量面では、沖縄・北9州・福岡の3市場でほぼ1定のバランスを維持してきたものの、近年は福岡のシェアがやや減少傾向にあります。
価格変動の要因と構造的背景
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輸入コスト:バナナはほぼすべてをフィリピン・エクアドルなどからの輸入に依存しており、為替変動や国際物流の混乱が価格に直結します。沖縄では地理的にフィリピンに近く、輸入のタイミングや契約条件により高単価な供給ルートが選ばれることも。
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流通構造:福岡市では大手流通企業が集まり、大量仕入れによる価格抑制効果が強く働く1方、北9州や沖縄は地域卸売市場を経由するケースが多く、価格への転嫁が行われやすい。
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消費者志向:沖縄では健康志向や朝食フルーツ需要の高さから、高品質なプレミアム系バナナの取り扱いも見られ、それが価格上昇に寄与していると考えられます。
今後の展望と課題
今後もバナナは9州で安定した需要が見込まれますが、国際的な供給不安定(気候変動・疫病)の影響を受けるリスクが続きます。特に沖縄の高価格傾向は、物流費や為替の変動が大きく反映されやすい地域であるため、持続的な価格管理が求められます。また、福岡では価格重視が続くなかで、品質維持と価格競争のバランスが今後の焦点になるでしょう。
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