2025年6月の九州におけるたまねぎ価格は沖縄県が153円/kgで最高、福岡市は127.7円/kgで最安。福岡市は九州最大の流通量(2.648kt)を誇り、価格は比較的安定。北九州市と沖縄は価格が高めで変動も大きく、地域ごとの流通・生産構造の差が鮮明。
たまねぎの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 沖縄県 | 153 | -15.16 |
2 | 北九州市 | 143 | -18.44 |
3 | 福岡市 | 127.7 | -7.034 |
市場価格の推移

九州の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 福岡市 | 2.648 | +13.89 |
2 | 北九州市 | 0.836 | +13.28 |
3 | 沖縄県 | 0.232 | -26.81 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
たまねぎの卸売り市場の現状と今後
2025年6月のたまねぎ市場における価格は、沖縄県が153円/kgと9州で最も高く、全国平均(138円/kg)も大きく上回っています。次いで北9州市が143円/kg、福岡市は127.7円/kgと、都市によって価格に顕著な差が見られます。
前年同月比でみると、沖縄県が-15.16%、北9州市が-18.44%、福岡市が-7.034%といずれも価格は下落傾向にあり、特に北9州市では2割近い減少幅が確認されました。
卸売数量については、福岡市が2.648ktと圧倒的に多く、次いで北9州市が0.836kt、沖縄県は0.232ktと小規模です。しかしながら、福岡市と北9州市は前年比でそれぞれ+13.89%、+13.28%と増加しているのに対し、沖縄県は-26.81%と大幅に減少しています。
福岡市の市場特性と流通の中心性
福岡市は9州最大の青果物流通拠点として、他県からのたまねぎ移入も活発で、2.6kt超の流通量はその広域性を反映しています。9州内の大手スーパーマーケットや外食チェーンへの供給基地ともなっており、価格は比較的安定的です。
価格が127.7円/kgと9州内で最も低いのは、流通量が多く供給が潤沢なためであり、2025年の価格下落幅(-7%)も他都市に比べて緩やかでした。これは、全国的な供給増加の中でも需要とのバランスが保たれていることを示します。
北9州市の市場の特徴と価格の背景
北9州市は福岡県内における第2の流通拠点でありながら、卸売数量は福岡市の約1/3にとどまります(0.836kt)。1方で、市場価格は143円/kgと高めで、前年より大幅な下落(-18.44%)が見られました。
この背景には、2024年の高騰期に価格が急上昇したことへの反動や、供給元である9州中南部(熊本・佐賀・長崎など)の豊作傾向が影響していると考えられます。市場の規模が小さく変動に敏感であることも要因です。
沖縄県の特殊性と市場価格の高さ
沖縄県のたまねぎ価格は153円/kgと全国でも上位に位置し、その水準は本土主要都市と比べても高い傾向にあります。これは地理的な輸送コストの高さ、島内の自給率の低さ、地場産の生産規模の小ささが重なっており、価格が構造的に高止まりする要因となっています。
卸売数量は0.232ktと小規模であり、前年比-26.81%と大きく減少している点は、輸送遅延や輸入たまねぎの調整、あるいは消費側の価格抵抗感による需要減が考えられます。今後も市場の変動幅が大きい地域といえます。
価格変動の要因と全国的な影響
9州地方のたまねぎ価格は、全国的な作柄に大きく影響される構造です。特に北海道や淡路島の作況が安定すると、全国的な供給量が増え、9州にも波及します。2022~2023年の高騰期にはたまねぎが200円/kgを超えることもありましたが、2024~2025年には作柄回復と輸入増により価格は急落しました。
福岡市や北9州市ではこの調整が明確に出ており、2025年は需要と供給の均衡が再び形成されつつあります。1方、沖縄県は地理的事情から全国動向の影響を受けにくく、価格高止まり傾向が続いています。
9州のたまねぎ生産と今後の流通課題
9州地方は全国的にも重要なたまねぎ生産地を複数抱えています。特に佐賀県、長崎県、熊本県などは平地が広く、温暖な気候を活かした春~初夏収穫のたまねぎ生産が盛んです。これにより、4~6月の市場供給を支える重要な役割を果たしています。
ただし、生産者の高齢化、労働力不足、輸送コストの上昇といった課題も浮上しており、将来的には福岡市や北9州市といった市場での安定供給を維持するために、流通の効率化や農業支援策の充実が求められます。
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