九州のたまねぎ価格動向と都市別比較、今後の見通し【2025年4月】

たまねぎ



九州のたまねぎ価格は、久留米・鹿児島などで高く、福岡・北九州など都市部で低い傾向にあります。供給過多による下落や物流コストによる高騰が見られ、今後はブランド化や流通最適化により地域間の価格差縮小が期待されます。

たまねぎの卸売り市場価格

たまねぎの高い順

久留米市 鹿児島市 長崎市 宮崎市 大分市 熊本市 沖縄県 佐賀市 福岡市 北九州市
最新 2023年12月 2023年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月 2025年4月 2021年12月 2025年4月 2025年4月
最大期 2022年4月 2022年4月 2022年4月 2022年4月 2021年12月 2016年8月 2022年4月 2016年8月 2022年4月 2022年4月
最新値[円/kg] 219 211 206 193 182 180 178.7 166 158.7 155
最大値[円/kg] 281 293 260 309 182 188 274 189 251 301
前月比[%] -4.783 -0.9615 -7.212 +4.598 +1.695 +4.284 +12.93 +5.78 +1.753
前年同月比[%] +92.11 +86.73 +79.13 +83.81 +130.4 +130.8 +11.44 +97.62 +15.82 +12.05

 

たまねぎの推移

たまねぎ価格の推移

最新の価格データ

最近のたまねぎ価格

 

その他のデータとグラフ

 

たまねぎの価格についての推移と展望

九州地方は、温暖な気候と広大な農地を活かした農業が盛んで、たまねぎにおいても全国有数の産地のひとつです。ここでは、2008年から2025年までの流れと、2025年4月時点の都市別価格に焦点を当て、九州各地のたまねぎ市場の現状と将来を考察します。


都市別の最新価格と傾向

2025年4月時点の各都市の価格(円/kg)は以下の通りです:

  • 高価格帯 久留米市(219円)、鹿児島市(211円)、長崎市(206円)

  • 中価格帯 宮崎市(193円)、大分市(182円)、熊本市(180円)、沖縄県(178.7円)

  • 低価格帯 佐賀市(166円)、福岡市(158.7円)、北九州市(155円)

地域的に見ると、九州南部(鹿児島・宮崎)や西部(長崎・久留米)で高値傾向、都市部や北部(福岡・北九州)では低価格傾向が表れています。


地域別の価格の特色と背景

久留米市・鹿児島市・長崎市:高値の背景

久留米市や鹿児島市、長崎市では、地元生産品の品質志向と輸送コストの高さが価格に反映されています。特に鹿児島や長崎では、収穫量は多いものの、物流の地理的制約や他県出荷が多く、地元市場での価格が上振れしやすい傾向にあります。

宮崎市・大分市・熊本市:中位価格を維持

宮崎市では全国的にも有名な生産地でありながら、価格は比較的安定しています。気候による安定した供給と広域流通の確保が背景です。大分・熊本は生産地でもありながら消費地としての比重が小さく、需給バランスが良好であることが価格の落ち着きにつながっています。

福岡市・北九州市:価格競争と流通集中

これらの都市は九州最大の都市圏であり、他地域からの流入や量販店での価格競争が激しいため、価格が全国水準よりも抑えられる傾向があります。


価格変動の現況分析

下落傾向の都市

久留米市(-4.783%)、宮崎市(-7.212%)などでは、季節要因による供給増加や、天候による作柄改善で市場価格が調整されていると考えられます。特に宮崎市は下落率が大きく、春先の収穫期による供給過多の影響が想定されます。

上昇傾向の都市

佐賀市(+12.93%)や福岡市(+5.78%)では、地元生産の減少や物流コストの変動が価格上昇に反映されています。佐賀市は通常低価格帯ながら、4月の急上昇が目立ち、短期的な需給不均衡が疑われます。


九州におけるたまねぎ市場の課題

労働力と農地の高齢化

九州各地では、農家の高齢化と後継者不足が深刻です。特に宮崎・鹿児島では広大な農地を維持するための機械化が進んでいる一方、人的資源の限界が露呈しつつあります。

輸送コストと市場格差

たまねぎは重量作物のため、輸送コストが価格形成に強く影響します。離島を含む長崎・鹿児島・沖縄では、地理的なハンデが価格上昇の要因となっています。

他県・輸入品との競合

関西や北海道産のたまねぎとの価格競争が、都市部市場での価格抑制要因となっています。九州産のブランド確立が不十分な地域では、価格競争力が課題です。


今後の価格推移の展望

  • 季節要因による短期的な変動は継続 特に宮崎や熊本のような産地では、春から夏にかけての供給過多が一時的な価格下落を招くと予想されます。

  • 高付加価値品とブランド化の進展がカギ 今後は「生で食べられるたまねぎ」や機能性成分を強化した品種などの開発が進み、単価上昇の余地があります。

  • 流通最適化で価格の地域差縮小へ AI物流や広域流通網の強化により、久留米・鹿児島など高値地域と福岡・北九州など安値地域の価格差はやや縮小する方向と考えられます。


まとめ

九州のたまねぎ市場は、産地と都市部の間で価格差が見られ、地理的・構造的要因がその背景にあります。今後は、地域ごとの課題解決と付加価値戦略の導入によって、安定供給と価格持続性の両立が求められるでしょう。

 

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