中部・北越地方の桃価格は安定傾向が強く、長野や新潟などでは地元流通が主で価格も抑制されている。一方、金沢市では観光需要や高級志向から価格が急騰。全体としては生産コスト上昇や供給不安により、今後も価格変動の幅が拡大する可能性がある。
桃の卸売り市場価格
桃の高い順
金沢市 | 長野市 | 岐阜市 | 浜松市 | 松本市 | 新潟市 | 福井市 | 静岡市 | 沼津市 | 豊橋市 | |
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最新 | 2024年10月 | 2021年10月 | 2023年10月 | 2023年9月 | 2021年9月 | 2023年10月 | 2023年9月 | 2023年10月 | 2016年9月 | 2016年9月 |
最大期 | 2018年4月 | 2010年4月 | 2009年4月 | 2014年4月 | 2008年4月 | 2022年5月 | 2023年5月 | 2008年4月 | 2015年5月 | 2008年4月 |
最新値[円/kg] | 1059 | 862 | 756 | 751 | 714 | 651 | 555 | 540 | 514 | 447 |
最大値[円/kg] | 5856 | 5040 | 3058 | 3363 | 3701 | 2893 | 2341 | 2890 | 2595 | 2756 |
前月比[%] | +110.4 | +26.21 | -11.68 | +9.316 | +7.046 | +7.603 | -23.02 | -1.28 | +1.984 | -4.691 |
前年同月比[%] | +352.6 | +27.51 | +40 | +21.92 | +4.386 | +253.8 | +12.58 | +145.5 | +18.71 | -8.025 |
桃の推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
桃の価格についての推移と展望
中部・北越地方(長野・新潟・静岡・愛知・福井など)は、日本有数の桃の産地を抱える地域であり、特に長野県・福島県の隣接地域としても消費地と産地が接近するという特色を持っています。このため、地元流通型の新鮮な桃が比較的安価に手に入るという傾向があり、関東圏と比べて平均価格は抑えられています。
都市別の価格動向と地域差の分析(2024年10月時点)
2024年10月現在の価格では、以下の点が顕著です:
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最も高値を示すのは金沢市(1059円/kg)で、前月比・前年比ともに+110.4%の急騰。一時的な高級品流通や流通量の制限が原因と考えられる。
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長野市(862円/kg)・岐阜市(756円/kg)・浜松市(751円/kg)などは中位に位置。
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新潟市以下(651円/kg〜豊橋市の447円/kg)は安定的かつ安価な価格帯。
都市ごとの価格形成には、以下のような要因が作用しています:
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金沢市・長野市:観光都市として贈答需要や高級品流通が多く、価格が上振れしやすい。
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福井市・豊橋市・静岡市:地元産の流通が中心で価格が抑えられ、日常消費向けの市場。
価格変動の背景にある構造的要因
今期の価格動向から読み取れるのは、価格の上昇が必ずしも一様でない点です。
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金沢市の急騰(+110%)は例外的で、流通数の少なさや特殊な高価格品の反映が要因と見られます。
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福井市(-23.02%)・岐阜市(-11.68%)の下落は、供給過多や消費の冷え込みの兆候とも解釈できます。
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一方で、長野市・松本市・新潟市などでは7〜26%の穏やかな上昇が見られ、これは生産コストの上昇や気象変動に伴う収量減に起因すると思われます。
地域別価格の特色と消費傾向
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長野・松本エリア:地元産出の品質の高い桃が安定供給され、価格帯も中庸で、観光地需要と家庭消費が両立。
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金沢市:観光客向け市場や百貨店ルートで高級志向が色濃く反映され、価格が変動しやすい。
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静岡・浜松・沼津:関東圏との流通接点を持ちながら、比較的地場流通が強く、価格は控えめ。
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豊橋市:愛知県東部に位置し、価格は最安クラス。桃が主力果物ではなく、他果物との競合が激しいため需要が限定的。
今後の価格動向と期待される展開
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安定供給による価格維持傾向中部・北越は比較的温暖な気候を活かした安定供給が可能な地域であり、極端な高騰や暴落は少ないと考えられます。
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観光地需要による局地的な価格上昇金沢や長野といった観光都市では、インバウンド再拡大により、今後も季節的な価格上昇が繰り返される可能性が高いです。
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生産者高齢化と労働力不足のリスク一方で、産地での人手不足や高齢化により、将来的な供給量減少→価格上昇リスクは内在しています。
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加工品需要と品種開発による価格変動フルーツゼリー・ドリンク・スイーツなどへの加工用桃の需要が強まり、B級品の価格上昇も見込まれます。
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