2025年6月現在、中部・北越地方のピーマン市場では、名古屋市が521円/kg、金沢市が506.3円/kgと全国平均を上回る水準で推移。価格は前年同月比で名古屋+20.14%、金沢+14.21%と大きく上昇している一方、数量はそれぞれ-20.03%、-12.99%と減少。高温や天候不順による生育障害、生産者減少、物流コストの増加が背景にある。今後の安定供給には地域の栽培支援と流通の見直しが求められる。
ピーマンの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 名古屋市 | 521 | +20.14 |
2 | 金沢市 | 506.3 | +14.21 |
市場価格の推移

中部・北越の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 名古屋市 | 0.487 | -20.03 |
2 | 金沢市 | 0.067 | -12.99 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
ピーマンの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点で、中部地方の中心市場である名古屋市のピーマン価格は521円/kgと、全国平均(507.7円/kg)を上回る高水準です。北越地域の代表市場である金沢市も506.3円/kgとほぼ同等の水準にあり、両都市とも前年同月比で大幅な価格上昇を記録しています(名古屋+20.14%、金沢+14.21%)。
卸売数量を見ると、名古屋市は0.487ktで地方では多い部類ですが、前年比では-20.03%と大幅減。金沢市は0.067ktで中規模市場にとどまり、こちらも-12.99%の減少となっています。
名古屋市と金沢市の市場特性
名古屋市の特徴
名古屋市は中部圏最大の経済・流通拠点であり、愛知県や岐阜県、静岡県西部の生産地からの集荷が活発です。しかし、2025年6月時点で卸売数量が前年比で2割減少していることから、供給不足による価格の急騰が発生したと考えられます。
気候的にも、春から初夏にかけての高温傾向や日照の偏りが露地ピーマンの収量に影響した可能性が高いです。
金沢市の特徴
金沢市は北陸地方の拠点市場であり、富山・石川・福井からの出荷を支える地方集約型の構造を持っています。金沢市におけるピーマン価格は、全国的にはやや低めながら、2025年には全国平均並みに上昇しました。これは数量の減少(-12.99%)に加えて、地域内需要の堅調さや他地域との競争激化が影響していると考えられます。
価格高騰の要因
名古屋市・金沢市ともに共通して見られる価格高騰の背景は以下のように整理できます:
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供給量の大幅な減少 主産地における作付面積の縮小や、生育障害による収量減少が顕著。特に高温・乾燥に弱いピーマンにとって、2025年春の気象条件は厳しかった。
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生産者の減少と高齢化 中部・北越地方では農家の高齢化が進行し、特に手間のかかるピーマンの栽培は敬遠されがち。地域によっては撤退が相次ぎ、構造的な供給不足が価格に反映。
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流通コストの上昇 ガソリン代・人件費の上昇により、遠距離からの流通コストが価格に加算。特に北陸地方では他都市への出荷調整の影響も受けやすい。
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需要の安定と都市集積 名古屋市のような大都市圏では1定の消費需要が維持されるため、供給が絞られた状況では価格が急上昇しやすい。
中部・北越のピーマン生産の現状と展望
中部・北越地方は、他地域に比べてハウス栽培の導入が限定的で、主に露地栽培に依存しています。特に愛知県では春先の出荷が多い反面、気象条件に左右されやすいという脆弱性があります。
北越地方では、水はけや寒暖差のある気候を生かした栽培も行われてきましたが、生産量は小規模で、流通インフラの整備が課題とされています。
今後は以下のような取り組みが求められます:
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施設園芸(温室・ハウス)化の促進
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若手農家への就農支援策
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都市近郊農業の振興による地産地消体制の強化
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広域流通に頼らない分散型供給網の構築
今後の動向と地域間連携の可能性
価格が高止まりする中で、地域間の連携も重要となります。中部・北越市場では、生産地からの集荷だけでなく、他地方(9州・関東)からのピーマンを受け入れることで需給の安定を図る動きもあります。
また、都市消費地(名古屋)と中山間農村地域との契約栽培の促進やバリューチェーンの再構築が、今後の価格安定と数量確保に寄与する可能性が高いと見られます。
まとめ
中部・北越地方では、名古屋・金沢両市場でピーマン価格が上昇し、数量は大幅に減少しました。これは天候不順や流通コスト、生産構造の変化が重なった結果であり、今後も継続的な供給不安が価格変動に影響を与える可能性があります。地域ごとの特色を活かした生産支援と流通最適化が求められる時期に来ています。
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