2025年6月の中部・北越におけるだいこん価格は金沢市が117.7円/kg(+9.3%)、名古屋市が117.3円/kg(+16.2%)と上昇傾向。数量は名古屋が1.311ktで最多だが減少、金沢は0.272ktで増加。価格高騰の背景には気候変動や生産者不足、流通コスト上昇がある。
だいこんの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 金沢市 | 117.7 | +9.288 |
2 | 名古屋市 | 117.3 | +16.17 |
市場価格の推移

中部・北越の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 名古屋市 | 1.311 | -10.27 |
2 | 金沢市 | 0.272 | +16.24 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
だいこんの卸売り市場の現状と今後
2025年6月のデータによると、中部・北越地域では金沢市のだいこん価格が117.7円/kg、名古屋市が117.3円/kgと、わずかな差で金沢市が上回っています。前年同月比では、金沢市が+9.288%、名古屋市が+16.17%と、どちらも価格上昇を示していますが、名古屋市の上昇幅の方が大きいのが特徴です。
卸売数量については、名古屋市が1.311ktと圧倒的なボリュームで、金沢市の0.272ktを大きく上回っています。ただし、数量の前年同月比で見ると、名古屋市は-10.27%の減少に対し、金沢市は+16.24%と大幅増加。これは、供給体制や需要の地域差を反映した結果と考えられます。
価格と数量の長期推移(2008年〜2025年)
長期的に見ると、中部・北越地方のだいこん価格は2010年代を通じておおむね80〜100円/kg前後で推移していました。しかし、2020年代に入ると気候変動や流通コストの上昇、労働力不足の影響を受けて、価格は110円以上へと上昇トレンドに入りました。
数量面では、名古屋市は長年にわたり安定した流通量を維持してきましたが、近年は漸減傾向にあります。逆に金沢市は、もともとの取扱量は少ないものの、近年は地場産品や近隣産地からの供給強化により数量が回復傾向にあります。
都市別の市場構造と特色
名古屋市は東海地方最大の消費都市であり、愛知県・静岡県・岐阜県・長野県などからの集荷に強みを持ちます。大量流通を背景に価格は比較的安定しやすく、業務需要(外食・加工)と家庭需要の両面で需給を支える基幹市場です。
金沢市は北陸の中心市場として、石川県内の地場農家の出荷に加え、富山県や福井県などからの調達も行われています。最近は地域ブランド野菜としての差別化戦略も進み、価格における独自性を発揮しつつあります。また、需要側では観光地における飲食需要の復調も背景にあると考えられます。
価格上昇の背景と要因分析
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気候変動と作柄不安:2024年〜2025年にかけて、冬から春にかけての異常高温や降水不足がだいこんの成長に悪影響を及ぼし、供給不安が価格を押し上げました。
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物流費と資材費の高騰:燃油高により輸送コストが増加。これが市場価格に転嫁される傾向が強まりました。
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生産者の高齢化と作付減:中部・北越の多くの生産地で、担い手不足が深刻化。特に冬だいこんを中心に作付面積が減り、市場に出回る量が制限されるようになっています。
今後の見通しと対応の方向性
今後、中部・北越地域においては以下の点が鍵となるでしょう。
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産地間連携の強化:北陸と中部の中間地に位置する福井・長野などの連携強化による供給安定化。
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ICT農業の導入拡大:高齢化への対応として、スマート農業による作業効率化と作付維持が求められています。
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流通の多様化:地場消費の拡大、産直やECなどを通じた販売経路の拡大によって、生産者の安定収入と市場価格の安定化を両立させる動きが広がる可能性があります。
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