中部・北越の灯油価格動向:都市別特徴と価格上昇要因

灯油



中部・北越地方の灯油18L価格は2025年4月時点で平均2357円と高止まり。福井が最も高く2620円、甲府が最安の2226円。冬季需要の多い北陸・山間部は価格が高く、都市部でも流通コストや競争状況で差が生じている。原油高や円安、人件費上昇が価格上昇を後押し。今後は省エネ機器の導入や自治体の補助制度活用が鍵となる。

自動車・交通の都市別小売価格

中部・北越価格の高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 福井 静岡 富士 豊橋 富山 名古屋 長岡 岐阜 金沢 新潟
最新値[円] 2357 2620 2538 2442 2376 2370 2364 2354 2340 2298 2292
平均比[%] 100 111.2 107.7 103.6 100.8 100.6 100.3 99.88 99.28 97.5 97.25
前年月同比[%] +10.6 +11.82 +10.73 +12.12 +10.64 +7.65 +11.35 +10.53 +5.51 +9.143

中部・北越価格の低い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 甲府 浜松 長野 松本 新潟 金沢 岐阜 長岡 名古屋 富山
最新値[円] 2357 2226 2244 2250 2282 2292 2298 2340 2354 2364 2370
平均比[%] 100 94.45 95.21 95.47 96.82 97.25 97.5 99.28 99.88 100.3 100.6
前年月同比[%] +10.6 +10.09 +11.31 +7.759 +10.35 +9.143 +5.51 +10.53 +11.35 +7.65 +10.64

 

これまでの灯油の推移

中部・北越の小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

中部・北越の現状と今後

中部・北越地方の灯油価格は、2010年代初頭には1,200〜1,500円程度で推移していたが、2011年の東日本大震災とそれに伴う原油供給体制の変化、円安の進行により、2013年以降は顕著に上昇した。特に2014年にはウクライナ情勢や中東の不安定化によって、1,800円台まで上がるケースも見られた。その後2016〜2018年には1時的な価格の安定が見られたが、コロナ禍の2020年は需要減から1時下落し、2021年以降は再び高騰傾向に転じた。

現在の中部・北越の平均価格は2357円と、過去15年で最も高い水準に迫っており、地域住民の家計への負担は増大している。


都市別に見る価格の違いと背景

高価格地域の特徴
  • 福井(2620円):中部・北越の中で最も高く、前年比+11.82%。豪雪地帯で暖房需要が非常に高く、配送コストや小売業者の数が限定されている点が影響。地域的に分散した住宅構造も効率を悪化させている。

  • 静岡(2538円)、富士(2442円):海沿いに位置するこれらの都市では、輸送距離は短いが、地価や人件費の高さ、都市部特有の小売店間競争の少なさが価格に転嫁されている可能性がある。

中価格地域の特徴
  • 名古屋(2364円)、岐阜(2340円):中部圏の経済中枢であり、流通網の整備は進んでいるものの、灯油販売は専門業者依存が高く価格は高止まりしている。

  • 富山(2370円)、長岡(2354円):冬の厳しさが灯油需要を底上げし、価格も上昇しやすい。

低価格地域の特徴
  • 甲府(2226円)、浜松(2244円)、長野(2250円):相対的に温暖で灯油使用量が少ないため競争が働きやすい。特に甲府は南関東に近く、物流の恩恵を受けやすい。浜松は製造業が中心で、灯油販売は副業的に行われている例が多く、価格が抑えられている可能性がある。


価格上昇の主な要因

  1. 原油価格の高止まり:ウクライナ情勢の長期化、中東の不安定、OPEC+の減産調整が続き、原油価格が高値圏で推移。日本の灯油価格にも直接反映。

  2. 円安の進行:輸入原油の大半がドル建てであるため、為替の影響は大きい。円安が進むことで仕入れコストが上がり、灯油価格も連動。

  3. 輸送・人件費の上昇:都市部を除き、過疎地では効率的な配送が困難。また、ドライバー不足により人件費が増加し、販売価格に上乗せされている。

  4. 災害リスクによる備蓄需要:近年の地震や大雪によって家庭での灯油備蓄意識が高まり、需要が増加。とくに富士や長岡などでは、冬場の急激な需要が価格を押し上げる1因に。


都市ごとの政策・構造的課題

  • 福井・富山・長岡:冬期の高需要を背景に、灯油の価格抑制策や補助金支給が自治体から出されることもあるが、根本的には配送網の整備や省エネ住宅の普及が課題。

  • 名古屋・静岡:都市構造が広がり型であり、小売事業者の収益確保のために価格を高めに設定せざるを得ないケースも見られる。

  • 浜松・甲府:地方都市ながら灯油供給が競争的で、相対的に価格が低く安定している。地元業者間の競争が消費者にとってメリットとなっている。


今後の見通しと対策

灯油価格は今後も高止まり、あるいは冬場にかけての急騰が予測される。原油価格と為替が直接的要因であるため、個人では抑えにくい部分が多いが、以下の対策が求められる:

  • 自治体の補助制度活用:低所得世帯向けの灯油購入補助金の拡充。

  • 省エネルギー機器への転換:断熱住宅、ヒートポンプ式暖房などへの移行。

  • 地域内流通の効率化:共同配送などにより小売事業者の負担を軽減。

  • 情報開示の促進:価格の地域差を公開し、消費者が賢く選択できる環境を整える。

 

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