中部・北越地方の柿価格は2025年4月時点で名古屋市が最高値(665円/kg)、高岡市が最安値(357円/kg)と都市間格差が大きい。全都市で2桁の上昇率を記録し、気候影響や人手不足による供給制限が価格高騰を招いている。今後も高水準の価格が続く見通しで、地域ごとの流通戦略が注目される。
柿の卸売り市場価格
柿の高い順
名古屋市 | 金沢市 | 富山市 | 甲府市 | 福井市 | 新潟市 | 長野市 | 松本市 | 浜松市 | 高岡市 | |
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最新 | 2025年4月 | 2025年1月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2011年12月 |
最大期 | 2014年6月 | 2011年7月 | 2019年7月 | 2018年7月 | 2011年7月 | 2020年8月 | 2014年7月 | 2011年7月 | 2020年8月 | 2011年2月 |
最新値[円/kg] | 665 | 529.3 | 515 | 506 | 448 | 422 | 413 | 392 | 377 | 357 |
最大値[円/kg] | 3024 | 1995 | 1410 | 3571 | 1286 | 1800 | 1570 | 1235 | 2678 | 471 |
前月比[%] | +15.85 | +24.84 | +52.37 | +26.5 | +48.34 | +45.02 | +14.72 | +15.63 | +20.06 | +62.27 |
前年同月比[%] | +9.291 | +41.1 | +10.24 | +44.05 | +133.1 | +21.83 | +3.43 | +146.4 | -4.8 |
柿の推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
柿の価格についての推移と展望
中部・北越地方は、全国的にも柿の産地が点在する地域であり、長野・福井・富山・山梨などで渋柿や干し柿用の生産が盛んです。特に市田柿(長野)やあんぽ柿(福島隣接地域)などは地域ブランドとして確立しています。一方、都市部での流通価格は、生産地での収穫量や輸送コスト、需要動向によって大きく左右されます。
2025年4月の価格状況と都市別の傾向
最新の価格(2025年4月時点)を見ると、名古屋市(665円/kg)が最も高く、高岡市(357円/kg)が最も安いという結果でした。都市別の特色は以下の通りです。
高価格帯(500円以上):
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名古屋市、金沢市、富山市、甲府市 → 大都市や観光需要のある地域で、高品質の柿や贈答用の需要が根強い。特に名古屋は流通の中心であり、単価が高くなりやすい。
中価格帯(400〜500円):
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福井市、新潟市、長野市 → 生産地近郊でありながらも、地域内での消費需要が安定。バランス型の価格形成。
低価格帯(〜400円):
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松本市、浜松市、高岡市 → 地元産の流通や市場競争が強く、価格が抑えられている。
価格の変動率から見る需給の不安定さ
すべての都市で前年同月比・前月比ともに2桁%の上昇を記録しており、特に以下のような特徴が浮かび上がります:
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高岡市(+62.27%)・富山市(+52.37%)・福井市(+48.34%) → 北陸地域での価格高騰が目立ち、生産量の減少や流通遅れがあった可能性が高い。
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名古屋市の安定した高値維持(+15.85%) → 他地域に比べ上昇率は穏やかだが、価格水準は非常に高い。流通の効率と安定した需要の反映と考えられる。
最近の課題とその背景
生産者の高齢化と担い手不足:
山間地に多い柿の生産現場では、労働力不足が深刻化。剪定・収穫作業が省力化できないため、生産量の維持が困難となっている。
気候の不安定化:
暖冬や春先の霜害などで、結実率の低下や品質不良が発生し、流通量の減少→価格高騰という構図が顕著。
観光需要の再開と地場販売の活発化:
特に金沢・甲府といった観光都市では、土産品や贈答需要が復活し、地元市場での価格が引き上げられている傾向がある。
今後の見通しと市場価格の展望
短期的展望(2025年秋に向けて):
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今春の在庫不足や高値傾向を引き継ぎ、秋の出回り期にも価格は高水準で推移する可能性がある。
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消費者の価格抵抗感が強まり、安価な加工品(干し柿・冷凍品)に需要がシフトする兆しも。
中長期的展望:
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生産現場の再編(規模拡大や法人化)やデジタル販売(ふるさと納税、EC化)が価格の安定化に寄与する可能性。
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高岡市や浜松市のような中小都市では、地元流通を活かした割安市場として注目が高まる可能性がある。
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