中部・北越地方では福井市や浜松市で果物価格が急上昇し、天候や物流の影響が大きい。名古屋市や松本市では安定傾向にあり、地域によって価格変動の要因が異なる。今後は高付加価値品の価格上昇とスマート農業の進展が鍵となる見通し。
果実計の卸売り市場価格
果実計の高い順
福井市 | 名古屋市 | 浜松市 | 静岡市 | 松本市 | 金沢市 | 長野市 | 新潟市 | 沼津市 | 甲府市 | |
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最新 | 2023年12月 | 2025年4月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2016年12月 | 2021年12月 |
最大期 | 2020年8月 | 2024年8月 | 2023年9月 | 2020年9月 | 2021年9月 | 2024年8月 | 2021年9月 | 2023年9月 | 2016年3月 | 2021年9月 |
最新値[円/kg] | 550 | 532.3 | 483 | 440 | 419 | 413 | 397 | 395 | 383 | 375 |
最大値[円/kg] | 629 | 595.3 | 590 | 567 | 601 | 535.3 | 703 | 504 | 500 | 772 |
前月比[%] | +33.82 | -3.155 | +30.19 | +29.03 | -0.4751 | +1.724 | +2.85 | +19.7 | +18.21 | +3.306 |
前年同月比[%] | +11.11 | +5.412 | +23.53 | +12.53 | +18.03 | -3.204 | +15.41 | +25.8 | -7.264 | +11.28 |
果実計の推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
果実計の価格についての推移と展望
中部・北越地方は、山地と平野が入り交じる地形により、地域ごとに果物の生産状況や消費スタイルが大きく異なります。長野県や山梨県のように果物生産が盛んな地域と、名古屋市や新潟市など都市消費地が混在しているため、流通と価格形成が複雑になりやすいのが特徴です。
また、果物の消費傾向も地元産を重視する「地産地消型」が多く見られ、季節や地域の農業生産の状況に価格が敏感に反応しやすい傾向があります。
都市別価格と地域特性(2025年4月時点)
最新の価格データでは、福井市(550円/kg)が最も高く、これは地場の高級果物(例:甘柿や梨など)の収量減少や贈答需要の影響が考えられます。価格の上昇率も+33.82%と群を抜いており、供給面での圧迫が示唆されます。
続く名古屋市(532.3円/kg)は大都市としての消費地需要を反映しつつも、今月は前月比・前年比ともに-3.155%と下落。これは物流の安定や仕入れ先の分散によって、価格が落ち着いた結果と見られます。
一方で、浜松市(483円/kg)、静岡市(440円/kg)といった中堅都市では、30%近い価格上昇が見られます。これは気候や天候被害、収穫時期の前倒しなどが影響した可能性があります。
北信越エリアでは、松本市(419円/kg)や長野市(397円/kg)など、比較的安定的な価格帯にありますが、価格変動は小さく、市場全体の安定性を示す結果となっています。
最近の価格変動の背景と地域ごとの傾向
全体として、4月時点では多くの都市で果物価格が上昇傾向にあります。特に福井市、浜松市、静岡市、新潟市、沼津市といったエリアでの急激な上昇が注目されます。
背景には以下のような要因が考えられます。
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春先の霜や気温変動による収穫量減少
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輸送コストや人件費上昇による市場価格への転嫁
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観光復活による贈答・土産用果物需要の増加
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直売所中心の取引から中央市場への出荷切り替えによる価格上昇
一方で、名古屋市や松本市のように価格がほぼ横ばいまたは下落している都市もあり、これは供給網の安定や都市機能としての流通分散の強さを示すと考えられます。
果物市場の構造的課題と地域間格差
この地域では、果物の価格が「都市の規模」よりも「産地との距離」や「産地自体の地力」に依存する傾向があります。例えば、
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長野県や山梨県のような果物産地都市では、出荷量が安定しており価格も安定傾向
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消費型都市(福井市・名古屋市・新潟市)は需給や物流の影響を強く受けやすい
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浜松市や静岡市のような中間型都市では、局地的な需要増減により価格が振れやすい
また、果物の生産者数の減少と高齢化も価格変動の根本的要因の一つであり、今後の安定供給の障壁となっています。
今後の価格動向と期待される対応
今後、中部・北越地方における果物価格は以下のように推移することが予想されます。
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高品質果物の価格上昇は続く見込み。特にギフト需要が堅調な都市では、消費者の選好に合わせた高単価商品が拡大
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天候依存のリスクが大きいため、異常気象による供給ショックが繰り返される懸念
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JAや道の駅などの直販ネットワークの強化により、価格安定化が期待される地域も
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スマート農業や新品種開発の普及により、生産効率向上と品質維持が中期的な鍵になる
また、地域間での情報連携・需給予測の高度化によって、市場の急変動を防ぐ取り組みが重要になります。
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