中部・北越地方のイチゴ価格動向と地域別特徴、今後の市場展望

イチゴ

2025年6月の中部・北越におけるイチゴ価格は金沢市で1,637円/kgと大きく上昇。名古屋市では1,536円/kgと安定し、取扱数量も多い。金沢の価格高騰は高級品種の出荷増や観光需要の影響と見られ、地域ごとの流通構造の違いが浮き彫りになっている。

イチゴの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1金沢市1637+31.58
2名古屋市1536-5.768

市場価格の推移

イチゴの市場価格

中部・北越の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1名古屋市0.042+2.439
2金沢市0.002+100

卸売数量の推移

イチゴの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

イチゴの卸売り市場の現状と今後

2025年6月における中部・北越地方のイチゴの市場価格を見ると、金沢市で1,637円/kg、名古屋市で1,536円/kgと、いずれも全国平均の1,533円/kgをやや上回る高水準にあります。特に金沢市では前年同月比+31.58%と大幅な価格上昇を記録しており、地域的な供給減や高級品種の集中が背景と考えられます。

1方で、卸売数量は名古屋市が0.042kt、金沢市は0.002ktと規模に大きな差があります。金沢市の数量は前年の2倍(+100%)となっており、小規模ながらも市場への供給が増えている兆しがあります。


価格と数量の推移と傾向

2008年から2025年までの長期的な傾向を見ると、名古屋市では安定した価格と数量の推移が確認されています。特に2010年代後半以降は1,500円前後の水準を維持しており、産地との安定的な取引関係が背景にあります。

1方、金沢市の価格はもともと中庸かやや低めでしたが、近年は急激に上昇傾向に転じていることが特徴です。特に2024年~2025年にかけては数量の急増とともに価格も跳ね上がり、需要に対して供給が追いついていない構図が見られます。


都市別の市場構造と流通の特徴

  • 名古屋市:中部地方全体の流通ハブであり、静岡・長野・愛知・岐阜といった主要産地からのイチゴが大量に集まる拠点。量の安定性に優れる反面、価格変動は比較的小さい。

  • 金沢市:北陸地域を代表する中規模市場。地場消費が中心であり、流通量が少ないために需給の変動により価格が大きく振れる傾向がある。今回のような数量増による価格上昇は、高付加価値品種の導入や高齢農家の出荷量減少との関係も指摘できる。


価格高騰の背景と要因分析

金沢市における価格上昇には以下のような要因が想定されます:

  1. 高級ブランドイチゴの出荷増:「越のルビー」などの地場ブランドや、甘味の強い品種の普及により、単価が上昇。

  2. 販路の変化:観光地金沢の土産物需要や高級スーパーでの取り扱い強化により、相場より高値での取引が定着。

  3. 出荷者の減少による希少価値の上昇:生産者の高齢化により供給が減少、少量でも高値で取引される傾向が強化。

  4. 季節要因:6月はイチゴの端境期であり、全国的に供給が減る中、1定の需要が価格を押し上げたと見られる。


中部・北越地方のイチゴ生産の動向と今後の展望

中部地方は日本有数のイチゴ産地を擁し、特に静岡県の「紅ほっぺ」や長野県の「章姫」などの高品質品種が名古屋市場に集まります。施設栽培の導入が進んでおり、安定的な供給体制が整っています。

北越地域(石川・富山・新潟)では、施設の小規模分散化やブランド化が進められており、今後も高価格帯を維持する戦略が有効と見られます。

今後は以下の展開が注目されます:

  • 金沢市における販路多様化と観光需要との連携

  • 名古屋市を中心とした量的安定と価格の平準化

  • 輸出やEC販売への取り組み強化による単価向上

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