2025年6月の中部・北越地域では、名古屋市で335円/kg、金沢市で320.7円/kgと高値を記録。前年同月比ではいずれも約40%の上昇。数量は名古屋市1.327kt(-6.4%)、金沢市0.268kt(-22.9%)と減少傾向で、需給逼迫が価格を押し上げた。天候不順や生産者減少が要因で、今後の供給体制整備が急務。
きゅうりの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 名古屋市 | 335 | +39.78 |
2 | 金沢市 | 320.7 | +38.02 |
市場価格の推移

中部・北越の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 名古屋市 | 1.327 | -6.417 |
2 | 金沢市 | 0.268 | -22.99 |
卸売数量の推移

カテゴリー
詳細なデータとグラフ
きゅうりの卸売り市場の現状と今後
2025年6月の最新データでは、名古屋市のきゅうり市場価格は335円/kgと全国的にも高値水準にあります。1方で金沢市は320.7円/kgで、名古屋に次いで高い価格帯に属しています。いずれも前年同月比で見ると、名古屋市は+39.78%、金沢市は+38.02%と大幅な上昇傾向が確認されます。
卸売数量では、名古屋市が1.327ktと圧倒的に多く、この地域の主要な消費市場であることがうかがえます。1方で金沢市は0.268ktと少なめで、供給力の面では限られた規模となっています。加えて、前年同月と比較して、名古屋市は-6.417%、金沢市は-22.99%といずれも減少傾向にあり、需給バランスのひっ迫が価格上昇に拍車をかけていると考えられます。
中部・北越地域における過去の推移と特徴
この地域は、新潟・長野・愛知・富山といった、夏秋きゅうりの産地を多く抱える1方で、寒冷地の北陸と温暖な中部平野が混在するという地理的特徴を持っています。これにより通年供給ではなく、季節変動に強く依存する市場構造が形成されています。
特に名古屋市は、中部圏で最大の消費地であり、静岡や岐阜などの近県からの入荷が多く、品揃えと量ともに豊富な1方、近年はコスト上昇や生産者の高齢化により、出荷量が年々漸減している傾向が見られます。
都市別の流通構造と需要動向
名古屋市の特徴
-
大消費地+交通の要衝として東海地方の流通の中心地。
-
周辺の産地(静岡・岐阜・3重)からの集荷量が多く、供給安定性が高い。
-
しかし2025年は前年同月比で6.4%の数量減少が確認され、今後の供給不安も見込まれる。
金沢市の特徴
-
北陸地方における伝統的な地方都市市場であり、地元産への依存度が高い。
-
雪の影響で冬季の供給に課題があり、価格が高騰しやすい傾向がある。
-
数量減少率が22.99%と大きく、産地減退や流通の効率化に課題が残る。
価格高騰の主な要因
2025年の価格上昇には、以下のような要因が複合的に影響しています:
-
天候不順:春先の低温や長雨により、播種や定植が遅れた。
-
生産資材の高騰:肥料・ビニール・燃料などの値上がりで、生産コストが急増。
-
人手不足と高齢化:新規就農者の不足や担い手の減少で、栽培面積の縮小が進行。
-
市場取引の変化:需要地市場での高単価志向が強まり、高値傾向が続きやすい。
これにより、供給が細る中で需要が1定に維持されることで、結果的に相場は急上昇する状況となっています。
きゅうり生産の地域動向と今後の展望
中部・北越地域では、施設栽培と露地栽培の2極化が進んでいます。特に愛知県・新潟県では大規模ハウスの導入による通年出荷が進む1方、北陸では夏季集中型の生産体系が続いています。
しかし、近年は両地域ともに労働力不足やコスト増の影響で、減産傾向が顕著となっており、将来的な流通量の安定確保が課題となるでしょう。
地域農協や自治体では、スマート農業の導入や新規就農支援を通じて持続可能な生産体制の構築を進めており、今後の市場価格の平準化と数量の回復が期待されます。
コメント