2025年6月の中国・四国地方では、さつまいも価格が高松市434.7円/kg、広島市425円/kgと高騰。高松市は数量も安定しており堅調だが、広島市は数量が25%以上減少。供給不足と需要増が価格を押し上げており、今後は地場産の強化と流通の安定化が鍵となる。
さつまいもの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 高松市 | 434.7 | +47.18 |
2 | 広島市 | 425 | +31.85 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
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1 | 高松市 | 0.095 | +4.396 |
2 | 広島市 | 0.05 | -25.37 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
さつまいもの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点において、中国・4国地方の主要市場である高松市と広島市におけるさつまいもの価格はそれぞれ434.7円/kg、425円/kgと、全国平均(362.3円/kg)を大きく上回る水準となっています。前年同月比では高松市+47.18%、広島市+31.85%と著しい価格上昇が確認され、両都市とも全国でも有数の高騰率を記録しています。
1方、卸売数量では高松市が0.095kt、広島市が0.05ktと、いずれも規模は小さいながらも、高松市では数量も前年比+4.396%と堅調な増加を見せたのに対し、広島市では-25.37%と大幅に減少しています。
価格と数量の長期的推移
さつまいもの価格は2008年以降、ゆるやかな上昇基調を保っていましたが、特に2020年以降は急速に値を上げています。これは全国的なさつまいも人気の高まりに加え、天候不順や病害(例:基腐病)による生産量の減少、燃料費高騰による輸送コスト上昇などが重なった結果です。
数量については、高松市では比較的安定した出荷量を保っている1方で、広島市では供給の不安定さが露呈しており、需給バランスの不均衡が価格上昇をさらに加速させている可能性があります。
都市別市場の特徴
高松市
4国における主要な青果物流通の拠点の1つで、さつまいもの取扱価格は中国・4国で最も高い434.7円/kg。香川県内外からの仕入れを行い、都市型需要に対応した高品質・高単価な品目が集まりやすい傾向があります。数量面でも安定感があり、供給の安定性と価格の高さを兼ね備えたバランスのよい市場です。
広島市
中国地方最大の市場であるものの、さつまいもに関しては数量が0.05ktとやや控えめ。その背景には流通先の分散や地場産品との競合があるとみられ、2025年6月は数量が前年比25%以上も減少しており、価格のみが突出する需給のミスマッチ状態が生じています。
価格高騰の主な要因
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全国的な収穫減
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鹿児島県や茨城県など主産地において、近年は基腐病や異常気象による収量減が続いています。中国・4国もこうした外部供給に依存しており、供給減がそのまま価格上昇に直結しています。
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スイーツ・健康志向による需要増
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近年の焼き芋ブームや干し芋の人気により、特に高糖度品種(紅はるか・シルクスイートなど)の需要が急増。これが平均単価の上昇要因となっています。
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流通コストの上昇
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燃料費や人件費の高騰に加え、2024年問題に端を発する物流網の逼迫が、輸送コストの上昇として価格に反映されています。
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さつまいも生産と流通の地域的背景
中国・4国地方は、全国有数のさつまいも主産地(鹿児島、茨城)と比べると生産量は少なめで、他地域からの仕入れに依存する構造となっています。しかし、香川県や愛媛県、岡山県などでは、地元ブランド芋の栽培や加工用さつまいもの供給体制が徐々に整備されており、将来的な地産地消の可能性も期待されています。
今後の展望
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価格面では高止まりまたは更なる上昇が見込まれます。全国的な需給逼迫とブランド志向の高まりから、高松・広島両市場とも価格水準を維持する可能性が高いです。
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数量面では安定供給が課題。特に広島市では出荷数量の減少に歯止めをかけることが喫緊の課題です。
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地場ブランドや輸入芋との競合を活かし、品揃えの多様化による価格安定化策も模索される必要があります。
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