中国・四国地方の輸入果実市場は、広島市が価格・数量ともに上昇し中心的役割を担う一方、高松市では数量・価格共に減少し停滞傾向にある。今後は、需要構造の再構築や国際供給リスクの回避が市場安定化のカギとなる。
輸入果実の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 409 | +8.01 |
2 | 高松市 | 382 | -2.633 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 0.508 | +7.4 |
2 | 高松市 | 0.126 | -14.29 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
輸入果実の卸売り市場の現状と今後
中国・4国地方の輸入果実市場において、広島市は409円/kg・卸売数量0.508ktと価格・数量ともに地域の中心的存在となっています。1方、高松市は382円/kg・数量0.126ktと比較的小規模な市場です。
前年同月比で見ると、広島市は価格+8.01%、数量+7.4%と共に上昇傾向を示しているのに対し、高松市は価格-2.633%、数量-14.29%と下落。地域間で明確な差が生じている点が注目されます。
これまでの価格・数量の推移
2010年以降、中国・4国の輸入果実市場は、全国的な流通構造の変化とともに緩やかな成長を遂げてきました。特に広島市は中国地方最大の中核都市として港湾機能と都市需要の双方を背景に安定した取扱量を維持しています。
近年の物価上昇や為替変動の影響を受けながらも、広島市では数量・価格ともに増加傾向を示しており、2025年上期には価格・数量共に前年同月を上回る実績となっています。
1方の高松市では、消費需要の鈍化や調達コスト上昇を背景に数量の減少が顕著です。これに伴い価格も微減となっており、輸入果実の仕入れに慎重な姿勢がうかがえます。
都市別の市場構造と特徴
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広島市広島港を中心とした流通機能が整備されており、量販店・中食向け需要が安定して高いことが特徴です。また、周辺地域からの集荷機能も強く、輸入果実の集約地としての役割も果たしています。
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高松市4国地方の中心都市であるものの、流通規模は限定的。小売需要に依存し、業務用需要の薄さが取扱数量の伸び悩みに影響。2025年は卸数量の減少が顕著であり、市場としての縮小傾向が懸念されます。
価格変動要因の分析
広島市の価格上昇には、以下の要因が関係していると考えられます:
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為替変動(円安)による輸入コスト増。
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原産国の生産不安定(天候不順・輸送遅延)。
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観光・外食需要の回復による業務用需要の増加。
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仕入れ集中化により高品質な輸入果実が集まりやすい構造。
1方、高松市では:
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地元需要の縮小や消費者の節約志向が価格抑制要因に。
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4国全体の市場が比較的小さく、価格転嫁が困難な環境。
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輸入業者の取引縮小や取扱品目の減少も影響した可能性あり。
輸入果実流通の今後の展望
今後の中国・4国地方における輸入果実市場の課題と展望は以下のとおりです。
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広島市は今後も中国地方の拠点として安定供給が続く見通し。物流インフラの維持や観光業との連携による需要拡大がカギ。
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高松市では、需要回復と販売戦略の見直しが急務。生鮮食品の質と価格バランス、業務用市場へのアクセス拡大などが求められます。
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輸入果実は国際的な供給リスク(気候変動・港湾混雑など)に左右されやすく、リスク分散と代替原産地の確保が今後重要になるでしょう。
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