中国・四国地方の柿市場では、広島や高松で高価格を維持しつつも、下関や松山など価格が上昇傾向にあります。生産量の減少や物流費高騰が影響しており、今後は販路の多様化と地域ブランドの強化が価格安定の鍵となります。
柿の卸売り市場価格
柿の高い順
広島市 | 高松市 | 松江市 | 岡山市 | 福山市 | 高知市 | 宇部市 | 下関市 | 松山市 | 呉市 | |
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最新 | 2025年2月 | 2025年1月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2011年12月 | 2023年12月 | 2011年12月 |
最大期 | 2022年8月 | 2013年7月 | 2015年8月 | 2010年7月 | 2015年7月 | 2017年7月 | 2018年7月 | 2010年9月 | 2020年7月 | 2010年3月 |
最新値[円/kg] | 601 | 569 | 392 | 360 | 346 | 316 | 309 | 296 | 284 | 260 |
最大値[円/kg] | 1437 | 1729 | 2106 | 1450 | 1058 | 1419 | 1210 | 455 | 2160 | 1588 |
前月比[%] | +16.85 | +20.13 | +15.98 | +18.42 | +25.36 | +15.33 | +53.37 | +22.94 | +30 | |
前年同月比[%] | +25.73 | +41.54 | +50.77 | +29.5 | +14.57 | +32.77 | +21.18 | -0.3367 | +14.98 | -11.86 |
柿の推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
柿の価格についての推移と展望
中国・四国地方は、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、古くから渋柿・甘柿ともに多様な品種が育てられてきました。特に愛媛県や高知県では家庭消費向けや加工用の柿が多く出荷され、岡山県や広島県では比較的高品質な品種の栽培も進められています。ただし、関西や中京圏と比べると輸送・流通の面でハンデがあり、市場価格が地域内消費に大きく左右される特徴があります。
2025年2月の価格水準と地域別特色
最新の価格データを見ると、広島市(601円/kg)と高松市(569円/kg)が突出して高く、他地域は概ね300円前後で推移しています。
高価格帯(500円以上):
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広島市・高松市 → 大都市であり、需要が安定して高く、贈答品需要や高級果実の取扱が多い。百貨店・高級スーパー中心に展開。
中価格帯(300〜400円):
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松江市・岡山市・福山市・高知市・宇部市 → 地場消費に加えて都市部への出荷も一定。市場規模が中程度で安定しており、品質と価格のバランスが良い。
低価格帯(300円未満):
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下関市・松山市・呉市 → 比較的生産量が多く、かつ流通経路が限られるため価格が抑えられている。地元消費が中心で、贈答用ニーズは少なめ。
最近の価格上昇傾向とその背景
すべての都市で前年同月比・前月比ともに2桁%以上の価格上昇が見られるという点は注目です。
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下関市(+53.37%)・呉市(+30%)・福山市(+25.36%) → これまで価格が抑えられていた地域で、一気に高騰。原因としては「生産量の減少」「寒波や天候の影響」「物流費の高騰」などが考えられます。
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広島市・高松市 → 元々高価格帯だったが、さらに高騰。市場での高品質柿の需要が維持されていることや、節分・贈答用など季節要因の影響も。
現在の課題と価格に影響する要素
柿離れの影響:
都市部では消費の安定性がある一方、若年層を中心とする「柿離れ」が地方で顕著。結果として価格の維持が難しく、生産者の離農も一部で進んでいる。
高齢化と労働力不足:
果樹栽培の高齢化が進み、収穫や剪定などの作業が追いつかない農家も。結果として「市場出荷量が減少→単価上昇」という構造が一部地域で見られる。
台風・豪雨の影響:
特に四国地方では近年台風による被害が顕著で、樹勢低下や果実の落下が多発。安定的な生産体制の維持が課題。
今後の展望と予想される価格推移
短期的見通し(〜2025年秋):
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天候次第で価格がさらに上下する見込み。とくに豊作年には価格が調整される可能性。
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物流費の上昇が今後も価格に影響し、高価格帯の都市ではやや落ち着く可能性がある。
中長期的な展望:
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地産地消と直販チャネルの強化がカギ。JA経由だけでなく、道の駅・通販などの販売ルートが価格維持を後押し。
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若手農業者支援策や6次産業化(加工品展開)によって、価格の底上げが期待される地域もある。
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