2025年6月の中国・四国地方では、広島市の果実計価格が583.3円/kgと高水準を維持する一方、高松市は507.7円/kgでともに前年よりやや下落。卸売数量も微減傾向。背景には供給変動や消費の停滞、直販の増加などがあり、今後は地域の生産基盤の維持と流通の多様化が鍵を握る。
果実計の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 583.3 | -1.851 |
2 | 高松市 | 507.7 | -2.309 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 1.612 | -0.678 |
2 | 高松市 | 0.605 | -0.82 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
果実計の卸売り市場の現状と今後
2025年6月現在、中国・4国地方の主要市場における果実計の市場価格は、広島市で583.3円/kg、高松市で507.7円/kgとなっており、いずれも全国平均(521.7円/kg)を上回る、比較的高水準に位置しています。
しかし、両都市とも前年同月比では下落傾向を示しており、広島市は-1.851%、高松市は-2.309%となっています。これは1時的な供給増や消費低迷、あるいは価格調整的な動きによるものであると推察されます。
卸売数量の比較と動向
卸売数量は広島市が1.612ktと地域最大を占め、高松市が0.605ktで続いています。ただし、数量においても両都市とも前年同月比で減少しており、それぞれ-0.678%、-0.82%となっています。
この数量減少は、以下のような背景があると考えられます:
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地場生産の不安定化:天候不順や高齢化による出荷量の減少
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消費の鈍化:果物の価格上昇により、家庭用需要がやや後退
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直販やネット販売の増加:市場経由の流通量の減少
広島・高松両市場の特徴
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広島市 中国地方最大の都市圏として、広島県内はもちろん、岡山・山口・愛媛などからも広く集荷がなされる広域集積市場。柑橘類やもも、ぶどうなど、瀬戸内の豊かな気候を活かした果実が多く流通。贈答需要も根強く、単価は高めで推移。
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高松市 4国4県の中心に位置し、徳島・愛媛・高知といった果物産地からの流通拠点。規模はやや小さいものの、地場品種のブランド化(例:さぬきゴールド等)も進み、高付加価値果実が市場を支える。生産と消費の距離が近いのも特色。
価格高騰・下落の要因と構造的背景
近年の果実計価格は全国的に上昇傾向を見せてきましたが、広島・高松では2025年6月時点でやや下落。これは短期的には以下の要因が想定されます:
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供給増による価格調整 1部果実(特に初夏の柑橘類やすもも等)が豊作傾向にあり、相場が軟化。
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消費の季節性 6月は贈答シーズン直前で中だるみしやすく、特に家庭向け果実の価格が抑制される。
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コスト増を転嫁しきれない中小農家の出荷 燃料費や資材費の高騰に対して、価格転嫁が難しい現状が市場価格を押し下げている面も。
果実生産の地域性と今後の展望
中国・4国地方は、果物の生産が非常に盛んな地域です。特に以下の果物が重要です:
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愛媛・広島・和歌山:みかん、柑橘類全般
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岡山:白桃、マスカット、ピオーネ
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徳島・香川:すだち、レモン、小粒柑橘、さぬきキウイ
これらの果実は、地域ブランドとしての価値も高く、首都圏や関西圏への出荷も多く、卸売市場の基盤となっています。ただし、今後は以下の課題が予想されます:
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担い手不足と生産規模の縮小
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異常気象による品質・収量のばらつき
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国内消費の停滞と高齢化
これに対処するには、農業の機械化・法人化、輸出の強化、観光農業との連携などがカギとなります。また、地元消費の掘り起こしや学校給食などへの導入も、地域の流通維持に有効です。
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