中国・四国のメロン市場では、広島市と高松市が主要市場となり、価格・数量ともに縮小傾向が見られます。価格下落の背景には、消費者の節約志向や気候変動による供給の不安定化があります。今後は少量高品質志向と地域内流通の強化が鍵となるでしょう。
メロンの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 539.7 | -2.937 |
2 | 高松市 | 523.3 | -5.079 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 0.108 | -6.087 |
2 | 高松市 | 0.04 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
メロンの卸売り市場の現状と今後
中国・4国地方におけるメロン市場は、広島市と高松市が主要な取引地として機能しています。2025年6月時点での市場価格は、広島市で539.7円/kg、高松市で523.3円/kgといずれも全国平均(559.7円/kg)をやや下回っています。卸売数量では、広島市が0.108kt、高松市が0.04ktで、広島市の市場規模がやや大きいといえます。
都市別の価格と数量の特徴
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広島市市場価格は前年比-2.937%とわずかに下落。数量も-6.087%減少しており、全体としてやや縮小傾向が見られます。消費者価格の上昇圧力を抑えるための調整、あるいは仕入れ抑制の可能性が考えられます。また、広島は広域な流通圏を持つため、季節によって産地の構成が変化することも価格変動に影響しています。
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高松市価格は前年比-5.079%とやや大きく下落しており、卸売数量は0.04ktと小規模です。高松市場は地域消費中心の特性が強く、地元産あるいは近隣県(徳島や香川産)のメロン流通が主体です。価格の下落は需要減退や在庫調整に起因する可能性があり、季節の影響も大きい地域といえます。
過去の価格・数量の推移と傾向
2010年以降、中国・4国のメロン市場は緩やかな成長を遂げてきましたが、2020年代に入り、価格の下落と流通量の減少が顕著になりつつあります。とくに2022年以降、天候不順による収穫量のばらつきや、輸送コストの上昇、需要の2極化(高級品志向と節約志向の分離)が影響しています。市場価格は平均して500〜550円/kg前後で推移してきたものの、ここ数年は下方圧力が増している状況です。
価格下落の要因分析
価格が下落している背景には、以下のような複合要因が存在します:
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消費動向の変化 物価高によって高単価の果物を敬遠する傾向が拡大し、購買力の低下が影響しています。
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気候変動と収穫時期の不安定化 梅雨や猛暑、台風といった気象リスクの増加により、出荷量が読みづらくなっています。
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産地の競争と供給過多 他地域(静岡、熊本、北海道など)のメロンとの競争により、中国・4国地域の価格は安定しにくい構造となっています。
メロン生産と流通の今後
中国・4国では、高知・香川・鳥取などに1定のメロン生産地が存在しますが、いずれも中小規模の個人農家が中心で、高齢化や担い手不足が進行しています。流通についても、今後は「産地直送」や「EC市場への転換」など、新たな形態が求められる段階に入ってきています。
将来的には、高品質少量型のブランド化、および観光農園などと連動した地域内消費の拡大がカギとなるでしょう。
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