中国・四国のバナナ価格動向｜都市別特徴と今後の市場展望分析

中国・四国地方のバナナ市場では、広島市が278.7円/kgと全国的にも高価格で安定し、数量も地域最大を維持。対して高松市は価格・数量ともに減少傾向。広島市では高品質志向や輸送効率の高さが価格を支えており、今後も流通拠点としての役割が期待される。

中国・4国地域では、広島市と高松市がバナナの主要な流通拠点となっており、ともに1定の卸売数量を維持しています。2025年6月時点では、広島市が278.7円/kgの価格で全国でも高水準を記録し、卸売数量でも0.279k円/kgと地域最大です。これに対して高松市は246.3円/kgで、数量は0.246k円/kgと続きます。

都市別価格と数量の比較分析

• 広島市は中国地方最大の都市であり、港湾を活用した輸入青果物流が強みです。2025年6月は価格が前年比+1.704%と上昇傾向を示し、需要と供給のバランスが取れた状態を保っています。数量も安定しており、広域流通拠点としての機能を反映しています。

• 高松市は4国における主要市場ですが、価格は前年比-4.152%と下落しており、数量も減少。需要停滞、流通の分散化、あるいは価格競争の影響が背景にあると考えられます。

過去の価格と数量の推移傾向

中国・4国地域では、2008年から2020年代半ばにかけて、バナナ価格は200円/kg前後で安定的に推移してきました。とりわけ広島市は価格変動の少ない市場として知られており、年々の増減は小幅にとどまります。数量においても広島市は1貫して地域の中心市場であり、災害や港湾物流の影響が軽微な年ほど安定的な出荷量を記録する傾向にあります。高松市は天候や流通コストにやや敏感で、数量変動がやや大きくなりやすい特性があります。

価格高騰の背景と構造的要因

広島市のバナナ価格が全国的に高めに維持されている背景には、以下の要因が関係しています：

• 輸送距離の最適化：港湾都市であるためフィリピンなどからの輸入が効率的に行われ、仕入れコストは抑えられつつ、高品質果実の供給も受けやすい。

• 高品質志向の消費者層：安価な果物の中でも、味や鮮度を重視する傾向があり、プレミアム系バナナの取扱率が比較的高いと推察されます。

• 販売チャネルの多様性：スーパー、専門青果店など複数の流通が存在し、単価の高い商品群でも需要が維持されています。

バナナの国際生産動向と今後の地域展望

バナナは主にフィリピンやエクアドル、メキシコなどからの輸入に依存しており、2020年代は気候変動や疫病の影響で不安定な供給リスクも存在します。ただし、2023〜2025年にかけては東南アジア産の供給が安定し、広島・高松ともに価格は比較的落ち着いて推移。今後の見通しとしては、高松市における数量減少が続けば、他都市への分散や需要喚起策が必要とされる1方、広島市は中4国全域への供給基盤として、さらなる拡大の余地を残しています。