中国・四国のトマト価格動向｜都市別比較と今後の展望分析

中国・四国のトマト価格は鳥取市が最高値を記録する一方、多くの都市で価格変動が目立ちます。特に鳥取・松江・高知では急落し、安定性に課題が残ります。今後は需要増が見込まれる夏場に向けて回復が期待される一方、物流整備や付加価値化が重要です。

トマトの卸売り市場価格

中国・四国地方は、温暖な気候や瀬戸内の穏やかな天候を活かし、トマト栽培が盛んな地域です。特に高知県や岡山県はハウス栽培に強みを持ち、通年出荷が可能な体制を築いてきました。一方で鳥取県や松江市などでは夏季の露地栽培が中心であり、出荷時期に価格が左右されやすい特徴があります。

高価格帯（450円/kg以上）

鳥取市は中国地方で最高値を記録している一方、前月比・前年同月比ともに大幅な下落となりました。地元需要が一定ある中で、供給増による価格調整と見られます。呉市は逆に急騰しており、出荷量の減少や需要増が考えられます。

中価格帯（400〜450円/kg）

下関市は今月最も大きな上昇率を記録しており、出荷の端境期における供給不足が要因と見られます。高松市は比較的安定しており、香川県のバランスの取れた市場流通が反映された形です。

低価格帯（〜400円/kg）

このゾーンでは、高知県や松山市など、露地栽培・温室栽培の混在が価格に複雑な影響を与えており、今月は高知市で大きく値崩れしています。岡山・福山は流通の要所でありながら、価格は抑えられています。

鳥取・松江など山陰地域：高価格だが変動大冬場の出荷量が少なく、春先に供給が一気に増えるため、価格が乱高下しやすいです。今回の大幅下落はその典型例です。
瀬戸内沿岸部：安定供給と価格の平準化岡山・福山・高松などは、安定した物流網と契約栽培の割合の高さから、価格変動が比較的小さい傾向にあります。
高知県：供給力はあるが価格に弱さも高知は全国有数のハウス栽培地ですが、他地域との競争が激しく、価格がやや抑えられる傾向があります。今月のような大幅下落も需給バランスの乱れを反映しています。
下関市・呉市など都市型需要地域：需給ギャップに敏感この2都市では上昇傾向が見られ、都市部でのスポット的な需要増加が価格に強く影響したと考えられます。

価格変動リスクの緩和が課題鳥取・松江・高知のように供給量に応じて価格が大きく変動する地域では、農家の収益安定が大きな課題です。出荷調整や加工用転用などの工夫が必要です。
物流網の再構築と地産地消の拡大小規模産地でも、地場スーパーとの契約栽培や地元学校給食との連携により、販路を安定させることが重要です。
付加価値トマトの推進高糖度ミニトマトや有機・減農薬トマトへのシフトが進めば、他地域との差別化が図れます。特に観光地を抱える高知や松山では、直売所との連携強化が有効です。