中国・四国のみかん市場価格動向：地域差と価格変動の特徴、今後の展望分析

中国・四国地方の2025年6月のみかん市場は高松市が1389円/kg、広島市が1332円/kgと高価格を示す一方、卸売数量は両市とも減少傾向。価格上昇は気候変動や物流コスト増加が主因で、卸売数量減少は流通チャネルの多様化や生産減少によるもの。今後は生産安定化と流通効率化が重要課題である。

2025年6月の中国・4国地域におけるみかんの市場価格は、高松市が1,389円/kg、広島市が1,332円/kgと地域内で高水準にあります。前年同月比では高松市が10.65%、広島市が8.76%の価格上昇を示しています。1方、卸売数量は広島市が0.053ktと最も多く、高松市は0.012ktにとどまっており、両都市とも前年から数量が減少傾向にあります。具体的には広島市で約13.1%、高松市では20%の減少となっています。

価格推移の背景と要因

中国・4国地域でのみかん価格上昇は主に以下の要因が挙げられます。

• 生産量の減少と品質維持の努力近年の気候変動や自然災害の影響で生産量が減少する1方、品質の良いみかんを確保するための生産者の努力が価格を支えています。

• 物流・輸送コストの増加原油価格の上昇や人件費の高騰が輸送費を押し上げ、特に地方の市場での価格転嫁が顕著です。

• 需要の高まり健康志向の高まりや贈答用需要の増加も、価格上昇の1因となっています。

卸売数量の減少と市場構造の変化

卸売数量が前年から大幅に減少している背景には、

• 流通経路の多様化小売店や直販、インターネット通販の利用拡大により市場を介さない取引が増え、卸売市場を通じる量が減少。

• 生産減少による出荷量減少収穫量自体の減少が卸売数量に直結しています。

このような変化は、卸売市場の役割の再定義や効率的な流通体制の構築が求められていることを示唆しています。

都市別の特徴と消費動向

高松市

価格は地域最高水準である1方、卸売数量は20%減少。地元消費においては高品質みかんの需要が堅調であるものの、卸売市場の流通量は減少しており、流通チャネルの変化が影響しています。

広島市

価格上昇は高松市に次ぐ8.76%で、卸売数量は0.053ktと地域で最大だが13.1%減少。広島は市場流通が比較的活発であるものの、同様に直接取引増加や生産減少の影響が見られます。

みかん生産の動向と今後の課題

中国・4国地方はみかんの主要産地ではありませんが、品質の良さや地域ブランドの構築が進んでいます。今後の課題としては、

• 生産基盤の強化気候変動への適応策や品種改良を通じた安定生産。

• 物流効率化と市場活性化流通構造の見直しによるコスト削減と新規販路の開拓。

• 消費者ニーズへの対応健康志向やギフト需要に対応した商品開発。

これらの取り組みが地域の持続的発展に不可欠です。