中国・四国地方のなす価格動向:都市別比較と今後の市場予測分析

なす



中国・四国地方のなす価格は地域によって大きく差があり、鳥取市や呉市では高値、松山市や広島市では安値傾向が見られます。下関市などでは急な価格上昇が見られ、供給体制の不安定さや天候の影響が影を落としています。今後はスマート農業や物流改革が価格安定のカギとなるでしょう。

なすの卸売り市場価格

なすの高い順

鳥取市 呉市 宇部市 徳島市 福山市 岡山市 下関市 広島市 高知市 松山市
最新 2021年12月 2011年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2011年12月 2025年4月 2023年12月 2023年12月
最大期 2017年12月 2011年12月 2017年12月 2017年12月 2017年12月 2017年12月 2010年4月 2017年12月 2017年12月 2017年12月
最新値[円/kg] 504 467 436 433 414 379 376 369.3 363 348
最大値[円/kg] 689 467 599 716 616 606 387 603 598 637
前月比[%] +2.231 +29.01 +6.601 +13.05 +7.813 -9.113 +49.21 -12.34 +10.67 +4.192
前年同月比[%] +12 +21.3 +15.04 +0.2315 +0.9756 +10.5 +10.26 -14.9 +4.011 +11.18

 

なすの推移

なす価格の推移

最新の価格データ

最近のなす価格

 

その他のデータとグラフ

 

なすの価格についての推移と展望

中国・四国地方は、温暖な気候と豊富な日照時間により、なすを含む夏野菜の栽培に適した地域です。地域ごとの農業形態により、価格帯は多様であり、消費地・生産地の性格や物流の影響を受けています。2025年4月のデータをみると、鳥取市(504円/kg)が最も高く、松山市(348円/kg)が最も安い価格を示しており、実に150円以上の差があります。


直近の価格動向と背景分析

この1か月間で注目すべきは、下関市(+49.21%)呉市(+29.01%)、徳島市(+13.05%)などで顕著な価格上昇が見られた点です。特に下関市の急騰は、局地的な供給不足、天候の影響、あるいは物流の遅延などが背景にあると考えられます。一方で、広島市(-12.34%)岡山市(-9.113%)では価格が下落しており、これは供給過多や販路の一時的な停滞が影響した可能性があります。

また、前年同月比でも全く同じ増減比を示しており、これは価格変動の主な要因が短期的な需給バランスではなく、季節的・構造的なものであることを示唆しています。


地域別価格の特色と背景

高価格帯地域

  • 鳥取市(504円/kg):地場での生産量は限られており、他地域からの仕入れに依存しているため、運送費や需給バランスに敏感です。

  • 呉市(467円/kg)・宇部市(436円/kg):都市化が進んでおり、消費者ニーズが高く、物流コストが反映されやすい傾向があります。

中価格帯地域

  • 徳島市(433円/kg)・福山市(414円/kg):徳島は四国における重要な農産地のひとつであるが、出荷調整などにより価格が安定しやすい。福山市は備後地方の中心都市として流通が活発で、需給バランスが保たれやすい。

低価格帯地域

  • 松山市(348円/kg)・高知市(363円/kg)・広島市(369.3円/kg):これらの地域は地元での生産体制が整っており、地産地消が進んでいることや、物流コストが抑えられる点が価格の安定・低下に寄与しています。


中国・四国地方の直面する課題

  1. 気候変動の影響近年、四国では豪雨や台風の被害が多発しており、特にハウス栽培の被害によって収量の低下が懸念されています。

  2. 高齢化と担い手不足地方農村部では高齢化が著しく、なすを含む施設栽培の継続が困難になる農家が増加。人手不足が今後の供給に影響を与える可能性があります。

  3. 流通インフラの地域差特に山間部や離島を抱える四国では、流通効率が低く、価格に不安定要素を残しています。


今後の価格推移予測と期待

短期的には、春から初夏にかけての生産量増加により価格はやや軟化する傾向があります。しかし、梅雨や台風の影響を受ける7月以降は、再び価格上昇リスクが高まります。

中長期的には、

  • スマート農業の導入

  • 地域間連携による安定出荷体制の構築などが進めば、価格の安定が期待されます。

また、高知県や徳島県などでは県独自のブランド化や輸出支援が進んでおり、これが市場価値の底上げにもつながる可能性があります。


まとめ

中国・四国地方のなす市場は、地域ごとの生産体制と物流の違いにより価格差が大きく、今後も気候と人材の課題に左右される可能性があります。下関市や呉市のように急激な価格上昇を見せる地域がある一方、広島市や岡山市のように価格が軟化する地域もあります。今後は、農業の持続可能性とスマート流通の構築が価格の安定につながる鍵となるでしょう。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました