中国・四国地方のじゃがいも価格動向|地域別の特色と今後の見通し

じゃがいも



2025年4月時点、中国・四国地方では高松市(359.7円/kg)を筆頭に都市部で価格高騰が見られる一方、高知市や徳島市では100円未満に留まるなど、大きな価格格差が顕著です。前月比・前年同月比で20%以上下落した地域もあり、生産体制の偏りや物流課題が浮き彫りとなっています。今後は、都市部での需要集中と地方の価格下落の二極化がさらに進む可能性があり、地産地消の推進や広域流通網の整備が求められています。

じゃがいもの卸売り市場価格

じゃがいもの高い順

高松市 広島市 松江市 鳥取市 福山市 宇部市 松山市 呉市 高知市 徳島市
最新 2025年4月 2025年4月 2021年12月 2021年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2011年12月 2023年12月 2023年12月
最大期 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2020年7月 2011年4月 2020年7月 2020年7月
最新値[円/kg] 359.7 309.3 266 228 212 154 114 110 97 96
最大値[円/kg] 466 448 399 422 499 500 453 290 406 459
前月比[%] +26.79 +15.42 +7.258 +12.32 +3.922 -3.75 -5.785 -1.786 -20.49 -20
前年同月比[%] +58.21 +36.87 +45.36 +41.61 +50.35 +10.79 +3.636 -32.93 -14.91 -10.28

 

じゃがいもの推移

じゃがいも価格の推移

最新の価格データ

最近のじゃがいも価格

 

その他のデータとグラフ

 

じゃがいもの価格についての推移と展望

2025年4月時点における中国・四国地方のじゃがいも市場価格は、高松市(359.7円/kg)が最も高く、徳島市(96円/kg)が最も安いという、約3.7倍もの差がある異常な地域格差が観測されています。これらは、消費地としての都市需要の集中と、生産地としての供給圧力が価格形成に強く作用していることを示しています。


都市別価格の詳細と分析

高価格帯(300円以上)

  • 高松市(359.7円/kg)・広島市(309.3円/kg)瀬戸内地域の中心都市では外食需要や小売需要が強く、特に高松市は+26.79%の急騰を記録しています。流通コストの上昇や春先の供給不安が背景にあります。

中価格帯(200〜280円)

  • 松江市(266円/kg)・鳥取市(228円/kg)・福山市(212円/kg)比較的バランスの取れた地域で、卸売市場も安定していますが、今後の需給によって上下する余地が大きい層です。

低価格帯(100円以下〜150円台)

  • 宇部市(154円/kg)・松山市(114円/kg)・呉市(110円/kg)・高知市(97円/kg)・徳島市(96円/kg)これらの地域では、地元での生産量は多くても流通の外にあるケースが多く、地元消費に偏っているため需給バランスにゆとりがあり、価格が抑制されています。高知市と徳島市は20%以上の下落を記録しており、供給過多や市場圧力が懸念されます。


価格変動の背景と地域的要因

近年、じゃがいも価格には以下のような構造的な要因が影響しています。

  • 都市部での消費集中高松・広島といった中心都市では外食産業や観光需要により需要が高まり、価格上昇の要因となっています。

  • 地方部の価格下落と需給緩和徳島・高知などでは生産量に対して地元消費が伸びず、価格競争が起こっている可能性があります。また、輸送インフラの制約が流通価格に反映しきれていないことも価格低下を招いています。


物流構造と流通の地域差

中国・四国地方は山間部や離島が多く、物流の効率性が地域によって大きく異なります。

  • 都市圏(高松・広島)では中央集約型の流通が整っているため、高価格でも安定供給が確保されています。

  • 農産地(高知・徳島)では地場消費や地産地消の比率が高く、価格が下支えされにくい傾向があります。

  • 交通アクセスが限定される地域(山陰や四国南部)では、流通が制限されることで価格形成が不安定になりやすく、需給バランスが崩れると急激な価格変動につながります。


今後の価格推移と予測

今後のじゃがいも価格は、地域別に以下のような傾向が見込まれます。

都市部:高値安定〜緩やかな調整

外食・観光需要が続く中で、価格は高水準を維持。ただし、今後の収穫期には調整が入る可能性もあります。

地方部:価格反転の余地あり

高知・徳島などは、現在の安値水準が生産意欲を損なうことで、数カ月後には供給減少→価格反発の流れもあり得ます。


政策的課題と地域農業への提言

今後の価格安定と農家保護のためには、以下のような対策が必要です。

  • 広域流通ネットワークの強化地場産を都市部に安定供給できる体制を整えることで、地方の価格低迷を緩和可能。

  • 高付加価値化によるブランド化特産品としての「四万十じゃがいも」など、地域性を活かしたブランディングで市場競争力を高めるべきです。

  • 価格下支え政策の導入検討急激な価格下落に備え、最低価格保証や補助制度による安定化も議論されるべきです。


中国・四国地方におけるじゃがいも価格の地域差は、単なる需給の問題にとどまらず、流通・構造・政策面の複合的な課題に直結しています。今後の持続可能な農業を考える上で、これらの点を地域ごとに精査し、柔軟な対応が求められます。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました