2025年春の中国・四国野菜価格:都市別の変動と今後の見通し

野菜価格(都市別)

2025年5月の中国・四国地方の野菜価格は、高知市が300円/kgと突出して高く、福山市は220円/kgと最も低価格です。鳥取市や松江市では価格上昇が目立ち、広島市や高松市では大幅な下落が見られました。価格は地域ごとの気候条件、生産構造、物流事情に左右されており、高知県の施設園芸や鳥取の地場供給力が価格を押し上げています。今後は気候変動の影響や担い手不足が課題となる一方で、スマート農業や地産地消の強化により価格の安定化が期待されます。

野菜全体の卸売り市場価格

野菜全体の高い順

高知市 宇部市 高松市 松江市 鳥取市 岡山市 徳島市 松山市 広島市 福山市
最新 2023年12月 2023年12月 2025年5月 2021年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2023年12月 2025年5月 2021年12月
最大期 2017年12月 2020年8月 2025年1月 2020年7月 2018年1月 2016年10月 2020年7月 2016年10月 2025年1月 2016年10月
最新値[円/kg] 300 261 259 256 249 240 239 235 234.7 220
最大値[円/kg] 344 346 358 333 329 312 312 280 340 300
前月比[%] +8.303 +5.668 -9.756 +6.224 +15.81 -4.382 -0.4167 +2.174 -12.65 +4.762
前年同月比[%] +0.3344 +13.97 -15.64 +16.89 +18.01 +11.11 +6.696 +16.92 -23.89 +13.99

野菜全体の推移

野菜全体価格の推移

最新の価格データ

最近の野菜全体価格

その他のデータとグラフ

野菜全体の価格についての推移と展望

中国・4国地方は、瀬戸内海式気候による温暖な環境や中山間地の広がり、施設園芸の発展など、地域ごとの自然条件と農業形態の多様性が特徴です。また、各県で都市と農村が近接しており、地場野菜の流通が活発な1方で、大消費地への輸送のしにくさから価格が相対的に高くなる傾向も見られます。


2025年5月時点の都市別価格と変動の分析

各都市の最新価格と変動状況を見ると、以下の通りです:

  • 高知市(300円/kg):地域内で最も高く、前月比+8.3%。施設園芸(ナス・ピーマンなど)が盛んで高品質だが、輸送コストが価格に反映。

  • 宇部市(261円/kg):上昇傾向(+5.7%)。県内流通中心で安定供給が可能な1方、需要増が価格に影響。

  • 高松市(259円/kg):-9.76%と大幅下落。天候の好転で供給過多か、価格調整の影響がうかがえる。

  • 松江市(256円/kg):+6.22%。山陰地方の気候を活かした露地栽培が盛んで、近年評価が上昇。

  • 鳥取市(249円/kg):+15.81%と最も大きな上昇。生産量に対し需要が強く、供給不足気味の可能性。

  • 岡山市(240円/kg):-4.38%。温暖な気候で露地野菜も安定しているが、市場での需給バランスに変化があったと考えられる。

  • 徳島市(239円/kg):-0.42%。大きな変動はなく、地域供給と地産地消のバランスが取れている。

  • 松山市(235円/kg):+2.17%。家庭菜園も多く、地元市場中心の流通で価格が安定。

  • 広島市(234.7円/kg):-12.65%。中国地方最大都市ながら、流通の変化や1時的供給増で価格下落。

  • 福山市(220円/kg):+4.76%。大都市近郊型農業で流通が効率化され、価格は比較的低水準。


地域別価格に影響する要因

  1. 高知県の施設園芸モデル 高知県は日本有数の施設園芸地域であり、温暖な気候を活かしてハウス野菜(ピーマン、トマトなど)の高品質出荷を実現。そのため他地域より高値で安定する傾向があります。

  2. 山陰地方(鳥取・島根)の供給構造 山陰は消費地からの距離があるため輸送コストが高く、その分価格に上乗せされやすい構造ですが、地元消費向けに供給が集中するため、地域によっては価格が上昇します。

  3. 瀬戸内沿岸部(岡山・広島・香川)の変動性 交通網は発達しているものの、都市部の需給バランスが天候や収穫量によって左右されやすく、月ごとの価格変動が大きくなりがちです。


直近の課題と価格形成への影響

  • 気候変動の影響 2025年春は全国的に気温の変動が激しく、収穫タイミングが地域間でずれたことが、供給過多や不足を引き起こしました。高松・広島などでは下落、高知・鳥取などでは価格が上昇しました。

  • 物流・人手不足 中山間地域が多いこの地方では、収穫後の輸送に人手を要し、コスト上昇や出荷遅れが価格に反映されやすくなっています。特に高齢農家の割合が高い地域では今後の安定供給に不安があります。

  • 都市化と農地縮小 広島市や福山市など都市化が進む地域では、農地の転用が進み、地場野菜の供給量が減少しつつあります。これにより価格の変動幅が大きくなるリスクが高まっています。


今後の価格推移と展望

短期展望(〜2025年夏)

  • 夏野菜の本格出荷期に入り、全体的に供給が増えると予想されますが、酷暑や豪雨があれば1時的な高騰もあり得ます。

  • 特に鳥取・松江では地場供給が強いため、天候次第で大幅な価格変動が予測されます。

中期予測(2025年秋〜2026年初)

  • 高知県など施設園芸に力を入れている地域では安定供給が続く見込み。1方、山間部では高齢化や担い手不足が影響し、供給減による価格上昇の可能性も。

  • 松山・宇部など中規模都市では、直売所や道の駅の活用が価格の下支え要因となるでしょう。

長期的展望

  • ドローンやIoTを活用したスマート農業、地元高校や大学と連携した農業人材育成が鍵となり、安定した供給体制が構築されれば価格も緩やかに安定。

  • また、消費者の地元野菜への支持が高まれば、価格の地域差も小さくなることが期待されます。


まとめ

中国・4国地方の野菜価格は、高知のような高品質出荷地域が価格を牽引する1方で、福山市のように流通効率の高さで低価格を維持する都市もあります。価格変動は気候や物流条件、生産構造に大きく左右され、地域によってその影響はまちまちです。今後は、スマート農業の導入や担い手育成を通じて、安定供給と価格平準化を目指すことがこの地域の課題と展望となるでしょう。

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