中国・四国の灯油価格動向と都市別特徴:最近の価格上昇要因解説

灯油



2025年4月の中国・四国の灯油18L平均価格は2368円で、特に高松や松山で高騰。全体的に前年より10%前後上昇しており、要因は原油高、円安、配送コストの増加。都市別では地理・需要・インフラの差が価格に影響。今後も高止まりが予想され、地域ごとの支援策や省エネ施策が求められる。

自動車・交通の都市別小売価格

中国・四国価格の高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 高松 松山 岡山 松江 広島 徳島 山口 福山 今治 高知
最新値[円] 2368 2448 2439 2406 2400 2400 2376 2364 2346 2346 2310
平均比[%] 100 103.4 103 101.6 101.3 101.3 100.3 99.82 99.06 99.06 97.54
前年月同比[%] +9.371 +11.78 +8.787 +8.086 +7.527 +5.263 +11.55 +10.06 +11.08 +9.524 +12.24

中国・四国価格の低い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 鳥取 宇部 高知 今治 福山 山口 徳島 広島 松江 岡山
最新値[円] 2368 2286 2298 2310 2346 2346 2364 2376 2400 2400 2406
平均比[%] 100 96.53 97.03 97.54 99.06 99.06 99.82 100.3 101.3 101.3 101.6
前年月同比[%] +9.371 +6.723 +10.37 +12.24 +9.524 +11.08 +10.06 +11.55 +5.263 +7.527 +8.086

 

これまでの灯油の推移

中国・四国の小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

中国・四国の現状と今後

2010年以降の中国・4国地方における灯油価格は、全国平均と同様に、国際原油価格や為替の影響を強く受けてきた。2010年代前半には、1,300円〜1,600円程度で推移していたが、2011年の東日本大震災以降、エネルギー需給構造の見直しが行われ、価格は上昇基調に入った。

2014年には原油高と円安の影響で2,000円を超え、2020年には新型コロナウイルスの影響で1時的に価格が下落。しかし、2022年以降は再び上昇傾向が強まり、2025年4月には平均2368円と、過去最高水準に迫っている。


都市別灯油価格とその特徴

高価格帯の都市
  • 高松(2448円):中国・4国の中で最も高い価格。島嶼部に近い地理的特徴や市街地の規模に対して灯油販売のインフラが限定的であり、流通コストが高くなりやすい。前年比+11.78%と上昇幅も大きい。

  • 松山(2439円):愛媛県の県庁所在地でありながら、交通アクセスに制約が多く、配送に手間がかかる。住宅密集地では個別配送が中心で、価格上昇が反映されやすい。

  • 岡山(2406円)、松江(2400円)、広島(2400円):それぞれ地域の中核都市であるが、地理的に山間部と都市部が混在しており、配送効率が下がりやすい。松江は冬季の寒さも灯油需要を押し上げる要因。

中価格帯の都市
  • 徳島(2376円)、山口(2364円):県庁所在地でありながら、価格がやや抑えられているのは、地元密着型の業者が多く競争が働いていることが要因と考えられる。ただし前年比で+11.55%、+10.06%と大きく上昇している点には注目が必要。

  • 福山(2346円)、今治(2346円):広島・愛媛の都市圏に属するが、地域密着型のディーラーやコープなどの価格調整力が強く、1定の価格安定が見られる。

低価格帯の都市
  • 高知(2310円)、宇部(2298円)、鳥取(2286円):いずれも地理的に温暖で、灯油の使用量が他地域よりも少ない。競争が働きやすい上、販売量が限られるため価格調整が効きやすい。特に高知は+12.24%と上昇幅が大きく、ベース価格が低かった反動も影響している。


灯油価格上昇の背景要因

  1. 国際的な原油価格の高騰ロシアのウクライナ侵攻以降、エネルギー資源の供給懸念から原油価格は高止まりが続く。中国・4国地方でもこの影響を受けて、仕入れ価格が大幅に上昇した。

  2. 円安の進行為替レートの悪化により、輸入燃料のコストが上昇。灯油の輸入価格に反映されている。

  3. 物流コストと人件費の上昇特に山間部や島嶼地域が多い中国・4国では、配送にかかるコストが全国平均より高い。高齢化によるドライバー不足も深刻で、販売業者はコストを価格に転嫁している。

  4. 需要の季節性と住宅事情1戸建て中心の住宅構造が多く、都市ガスが普及していないエリアでは、今も灯油が主要な暖房手段として利用されている。寒冷地においては、特に冬季の需要集中により価格が上がりやすい。

  5. 販売チャネルの寡占化と競争低下過疎化が進む地方では、灯油販売店の減少が価格競争を妨げている。大手の1括供給体制による価格決定力が強まっている地域も見られる。


地域ごとの課題と対策の方向性

  • 高松・松山・岡山などの都市部:流通コストの高さが価格に直結。行政主導で共同配送の支援や価格情報の透明化が望まれる。

  • 徳島・山口・福山などの中価格層:業者間の価格競争が存在しているが、原油価格や物流費の外的要因で限界がある。価格の変動幅が大きいため、住民の負担増が懸念される。

  • 鳥取・高知・宇部などの低価格地域:温暖であることが需要を抑えているが、今後の原油高や円安が続けば、価格上昇圧力は他地域と同様にかかる。価格が急騰しないように、安定供給体制の強化が必要。


今後の見通しと住民・行政の対応策

中国・4国地方においても、灯油価格は今後も不安定で上昇傾向が続くと予想される。そのため、以下の対策が地域全体で求められる:

  • 行政による灯油助成制度の拡充:特に高齢者や低所得世帯に対して、灯油費用の補助を行うことで冬季の生活不安を軽減。

  • 住宅の断熱性能向上:省エネ住宅への転換を促進し、暖房効率を上げることで使用量そのものを減らす。

  • 灯油以外のエネルギーへの転換支援:電気ヒーターやヒートポンプ式暖房への移行を促すための補助金政策が有効。

  • 価格比較ツールの導入促進:ユーザーが地域ごとの灯油価格を把握しやすくすることで、市場の健全な競争を促す。

 

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