2025年6月の中国・四国の桃市場では、広島・高松の両市場で価格が上昇し、数量は大幅に減少。天候被害や物流費上昇が主因で、生産地では担い手不足も顕著。安定供給と地場消費の両立が今後の課題となっている。
桃の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 1154 | +6.458 |
2 | 高松市 | 1014 | +4.567 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 高松市 | 0.05 | -16.67 |
2 | 広島市 | 0.047 | -32.86 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
桃の卸売り市場の現状と今後
中国・4国地方における桃の市場は、価格のゆるやかな上昇と卸売数量の縮小という傾向が近年強まっています。2025年6月時点での市場価格は、広島市が1,154円/kg(前年比+6.458%)、高松市が1,014円/kg(+4.567%)と上昇傾向にあります。1方、卸売数量では高松市が0.05kt(−16.67%)、広島市が0.047kt(−32.86%)と、前年同月比でいずれも大幅な減少を記録しており、供給不安が価格を押し上げる要因となっています。
都市別の市場の特徴
広島市は、中国地方の中心都市として流通機能が充実しており、岡山県など近隣の桃産地からの集荷が可能な拠点です。もともと中価格帯で安定的に供給される傾向がありましたが、近年の天候不順や物流難により価格の変動が顕著になっています。高松市は、香川県という小規模県に位置しながらも、4国各地からの果実流通を受ける中継地であり、地元消費に加え外食産業向けの需要もあります。比較的安価な価格帯ながら、卸売数量が安定しにくく、価格はじわじわと上昇しています。
価格上昇の背景とその構造
桃の市場価格上昇の背景には以下のような要素が複合的に絡んでいます:
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生産地での天候被害:岡山・徳島・広島などの桃産地で、2025年は春先の霜害や降雹、猛暑による果実の品質低下が発生。
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② 労働力不足:中山間地での桃栽培が多く、収穫・選果・出荷に必要な労働力の確保が難しくなっている。
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③ 物流コストの増加:特に4国島内からの出荷ではフェリー等の物流費が高騰し、小規模市場ではそれが価格に転嫁されやすい。
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④ 高齢化による農地の縮小:桃の栽培には専門技術が必要とされるため、新規就農が進まず、供給力が減少傾向にある。
中国・4国地域の桃生産の動向
この地域の代表的な桃産地には、岡山県(特に白桃の名産地)や徳島県、愛媛県の1部があります。とくに岡山県は「白桃の本場」として知られ、贈答用高級果実の生産地としてのブランド力がありますが、2020年代に入り気候変動・病虫害・担い手不足が深刻化し、収量が不安定化しています。また、4国においては生産量自体が多くはないため、広島・高松両市場ともに他地域からの集荷に依存しており、供給の途絶や遅れが価格に直結しやすい構造です。
今後の展望と課題
中国・4国の桃市場が直面する課題と対応策は以下のとおりです:
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地元産地との直接連携による安定供給の確保
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物流効率化と共同出荷体制の整備
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B級品活用やジュース・加工品への展開による需要創出
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観光・ふるさと納税との連動による地元消費の強化
とくに流通量が限られがちな高松市場では、将来的に都市消費と地場生産のバランスの再構築が求められます。
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