2025年6月の中国・四国地方のピーマン市場では、高松市が539.3円/kg、広島市が527.7円/kgと全国平均を上回る水準で推移。価格は前年比で高松+23.61%、広島+26.34%と急騰しているが、数量は広島-31.21%、高松-6.944%と大幅減。猛暑や栽培放棄の影響が背景にあり、今後の安定供給には施設栽培や中山間地支援の強化が求められる。
ピーマンの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 高松市 | 539.3 | +23.61 |
2 | 広島市 | 527.7 | +26.34 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 0.119 | -31.21 |
2 | 高松市 | 0.067 | -6.944 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
ピーマンの卸売り市場の現状と今後
中国・4国地方では、高松市と広島市がピーマンの主要市場として機能しています。2025年6月時点での市場価格は以下の通りです。
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高松市:539.3円/kg(前年比+23.61%)
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広島市:527.7円/kg(前年比+26.34%)
いずれも全国平均(507.7円/kg)を大きく上回り、価格の急騰が顕著です。
卸売数量は以下のように推移しています。
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広島市:0.119kt(前年比-31.21%)
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高松市:0.067kt(前年比-6.944%)
とくに広島市では数量の落ち込みが著しく、それが直接的に価格の押し上げ要因となっています。
都市別の市場特性
高松市の特徴:4国1円からの集荷と都市型消費
高松市は香川県の県庁所在地であり、4国4県からの集荷が可能な物流拠点です。ピーマンは愛媛県や徳島県の施設栽培が主力となっており、高温期にも安定した出荷が続けられる1方で、2025年は猛暑や病害虫の影響による収量減が指摘され、数量がやや減少(-6.944%)しました。
広島市の特徴:中国地方の広域集散地
広島市は中国地方最大の経済都市であり、岡山・山口・島根・広島本体からの集荷が行われます。過去は安定供給が続いていたものの、2025年は数量が-31.21%と極めて大きく減少しており、流通段階でのひっ迫が価格に大きな影響を与えました。これは露地栽培中心の脆弱な供給構造が1因と考えられます。
価格高騰の背景
中国・4国地方でのピーマン価格高騰は、以下の要因が複合的に重なっています。
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供給量の大幅減 特に広島市では前年比で30%以上の卸売量減少があり、需要とのギャップが拡大。
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高温・少雨による生育不良 2025年春から初夏にかけての気象条件がピーマンにとって過酷であり、特に露地栽培では花落ちや果実障害が多発。
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生産者の減少と高齢化 中山間地の生産者が多い地域では、担い手の確保が難しく、収穫期の人手不足や栽培放棄が進んでいます。
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輸送コストの上昇と市場分散の難しさ 燃料費高騰とドライバー不足による集荷制限により、広域輸送が困難化し、結果的に地場での取引価格が上昇。
生産地の現状と地域構造の課題
中国・4国地方では、ピーマンの生産地は以下のように分布しています。
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4国:徳島・愛媛・高知などの施設栽培 とくに愛媛ではハウス栽培による周年供給体制が構築されつつあるが、近年はコスト上昇により撤退する農家も。
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中国地方:広島・岡山の中山間地の露地栽培 高温・多雨の影響を受けやすく、年ごとの変動が大きい。また、後継者難と圃場の分散化により集約的な栽培が難しい。
今後の安定供給に向けては以下のような対応が必要です。
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施設栽培の導入と拡大:高温下でも生産可能な環境整備
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農業法人化や集約支援:中山間地における作業の効率化と人材確保
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産地間連携の強化:4国~中国間の流通ネットワークの再構築
今後の展望と地域間調整の必要性
今後、同地域では以下のようなトレンドが想定されます。
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高価格基調の継続 生産地の再編が進まない限り、広島・高松をはじめとする市場では供給不足による価格高止まりが続く可能性が高いです。
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広域産地調整の必要性 たとえば9州や関西との連携を強めて、特定の市場に頼らない分散型供給が求められます。
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地場消費と契約栽培の推進 地域内の需要に応じた地産地消体制が、将来的な価格安定の鍵となります。
まとめ
2025年6月時点の中国・4国地方では、広島・高松の両市場でピーマンの価格が大きく上昇し、数量は著しく減少しています。これは天候、生産構造、物流コストといった多くの要因が重なった結果です。将来的な供給安定には、地域ごとの施設化支援・農業政策の強化・物流網の見直しが不可欠です。
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