中国・四国地方イチゴ市場の価格動向と地域別特徴、今後の展望解説

イチゴ

2025年6月時点で中国・四国地方のイチゴ価格は広島市が1,767円/kgと高水準だが数量は減少傾向。一方、高松市は1,037円/kgで上昇し安定した流通を維持。広島は高品質品種中心の直販シフトが進み市場数量が減る一方、高松は地産地消型で観光需要に支えられている。

イチゴの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1広島市1767-8.903
2高松市1037+2.937

市場価格の推移

イチゴの市場価格

中国・四国の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1広島市0.018-21.74
2高松市0.015

卸売数量の推移

イチゴの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

イチゴの卸売り市場の現状と今後

2025年6月時点での中国・4国地方におけるイチゴの市場価格は、広島市が1,767円/kgと全国でも高水準に位置し、高松市は1,037円/kgと比較的安価です。前年同月比では、広島市が-8.903%と大幅下落している1方、高松市は+2.937%の上昇となっています。

卸売数量は、広島市が0.018kt、高松市が0.015ktでほぼ拮抗していますが、広島市は前年同月比で-21.74%と大きく減少しており、数量面でも縮小傾向が見られます。


価格と数量の長期的推移

2008年から2025年にかけてのデータを振り返ると、次の傾向が明らかになります。

  • 広島市は長年にわたり中国地方の流通拠点として機能し、価格は全国平均を上回ることが多いです。2010年代には1,500円/kg台で推移し、2020年以降は高単価を維持。しかし2025年には消費鈍化や流通コスト上昇の影響から価格が落ち込んでいます。

  • 高松市は香川県産イチゴの流通中心地ですが、価格水準は全国平均以下で、比較的安定した価格推移を示します。ここ数年は観光農園などの地産地消型流通の増加により、数量が微増傾向です。


都市別の市場構造と消費傾向

  • 広島市では、大消費地を背景に高品質なブランドイチゴ(例:「紅ほっぺ」「おいCベリー」)の取り扱いが多く、百貨店や高級スーパー向けに出荷されることが価格高騰の要因となっていました。しかし近年は卸売市場を経由せず、直販・EC化の進展により市場流通数量が減少しています。

  • 高松市では、価格は全国的に見て抑えめですが、観光と結びついた販売(いちご狩りや地元マルシェ等)が活発で、1定の市場規模を維持しています。


価格高騰・下落の要因分析

2025年6月の価格動向から読み取れる要因は以下の通りです。

  1. 広島市の価格下落と数量減

    • 高級品種に対する需要の鈍化(インフレ・消費控え)。

    • 市場を通さない流通(直販やふるさと納税向け)へのシフト。

    • 農家の高齢化と減反傾向による供給減少。

  2. 高松市の価格上昇

    • 地元産イチゴのブランド化が進行(例:「さぬきひめ」など)。

    • 比較的手頃な価格で観光・地元需要を両立したバランス型市場。


イチゴ生産の地域特性と今後の展望

  • 広島県は平地と中山間地の両方に農地を持ち、施設栽培も多く行われてきましたが、近年の生産者の減少と気候変動の影響で栽培面積が減少傾向にあります。

  • 香川県では「さぬきひめ」などの県独自の品種を軸に、安定供給を重視した生産体制を整えており、県内消費を中心に健全な市場循環を築いています。

今後は、広島市では市場流通外の販売網の強化が進む1方で、高松市では観光農業の持続性がカギを握ると見られます。両都市とも、中間流通の効率化と品質保証型販売が収益安定に不可欠です。

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