2025年6月の中国・四国地方では、広島市のたまねぎ価格が142.3円/kgと高値、高松市は126.7円/kgと比較的安価。数量は両市とも約0.38ktだが、広島は減少傾向、高松は微増。生産地依存と物流コストの違いが価格差に影響している。
たまねぎの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 142.3 | -15.28 |
2 | 高松市 | 126.7 | -14.6 |
市場価格の推移

中国・四国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 広島市 | 0.382 | -12.98 |
2 | 高松市 | 0.37 | +2.21 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
たまねぎの卸売り市場の現状と今後
中国・4国地方では、2025年6月におけるたまねぎの市場価格は広島市が142.3円/kgとやや高めで推移しており、全国平均(138円/kg)を上回っています。1方、高松市は126.7円/kgで、全国平均を下回る価格帯に位置しています。
前年同月比での価格変化を見ると、広島市は-15.28%、高松市は-14.6%と、いずれの都市も2桁の下落幅を示しており、地域全体として価格調整が進んでいる様子が伺えます。
卸売数量においては、広島市が0.382kt(千トン)、高松市が0.37ktと、ほぼ同規模の流通量を記録していますが、前年比で見ると、広島市は-12.98%の減少、高松市は+2.21%の増加と異なる動きを示しています。
広島市のたまねぎ市場の特徴
広島市は、中国地方の中核都市として広域の農産物流通の拠点を担っており、たまねぎも西日本産・北海道産の移入に支えられた安定供給市場となっています。市場価格が全国平均より高めに推移しているのは、地場産の品薄や、広島県内の需要が比較的堅調であることが影響しています。
また、流通量の減少(-12.98%)は、2025年春以降の供給調整や他地域への分散供給の影響が考えられ、流通の選択と集中が進んでいるとも読み取れます。
高松市のたまねぎ市場の特徴
高松市は、香川県という小規模県域を代表する市場でありながら、4国島内の集荷・分配の役割も持っています。市場価格は126.7円/kgと比較的低めで、価格競争力がある1方、地場産中心のため生産量や作況の影響を受けやすい傾向があります。
2025年6月の卸売数量が前年より+2.21%増と伸びているのは、4国内の収穫状況が比較的良好だったことや、広島など他地域からの仕入れの1部が高松にシフトした可能性もあります。
価格下落の背景とその構造的要因
2022~2023年にかけて日本全国でたまねぎの価格が高騰したのは、北海道や9州での作況不良、物流混乱、輸入減などが複合的に影響したためです。中国・4国地方でもその影響は例外ではなく、価格は160〜180円/kgの高値を記録した時期がありました。
2024年以降は、北海道産の豊作と西日本での作付け回復、国産と輸入のバランス調整が進んだ結果、2025年には供給過多に近い形で価格が反落。広島市・高松市ともに2桁減となったのは、全国的な供給正常化によるものです。
地域的な生産の動向と流通特性
中国・4国地方では、山口県・愛媛県・徳島県などでたまねぎの生産が見られるものの、北海道や兵庫(淡路島)などと比較すると小規模であり、多くは他地域からの仕入れに依存しています。
そのため、価格は他地域の作況や輸送状況に強く連動します。特に4国では、港湾を経由した輸送に強く依存しており、輸送費や輸入品との価格競争の影響が顕著に出ます。
また、広島市は関西や9州との結節点としての役割もあるため、価格がやや高めになりやすい1方、高松市は4国内のローカル流通にとどまることが多く、価格が比較的抑えられる傾向にあります。
今後の展望と課題
中国・4国地方のたまねぎ市場は、流通量としては都市部ほど大きくないものの、価格の変動性は高く、供給の安定と地域間連携が今後の鍵となります。とくに以下の点が課題とされます:
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輸送費の抑制:小規模市場ほど物流コストの影響を受けやすいため、広域集配体制の効率化が必要です。
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地場産振興の強化:香川・愛媛・徳島での中規模生産を支援し、価格の安定性を高めることが求められます。
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市場連携の推進:広島と高松のような近隣市場での在庫・需要情報の共有が価格安定に寄与します。
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