中国・四国のたまねぎ価格の地域別動向と今後の展望【2025年4月時点】

たまねぎ



中国・四国のたまねぎ価格は、宇部・鳥取などで高く、広島・高松など都市部で安価という傾向にあります。高知・松江では価格上昇が顕著で、気候リスクや流通構造が影響しています。今後は、物流効率化やブランド化が価格安定の鍵となる見通しです。

たまねぎの卸売り市場価格

たまねぎの高い順

宇部市 鳥取市 岡山市 高知市 松江市 福山市 徳島市 広島市 松山市 高松市
最新 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月 2023年12月 2025年4月 2023年12月 2025年4月
最大期 2022年4月 2016年8月 2022年4月 2022年5月 2016年8月 2016年7月 2022年4月 2022年4月 2022年4月 2022年4月
最新値[円/kg] 221 203 201 200 198 188 175 164.3 161 149.3
最大値[円/kg] 296 225 280 281 222 198 318 278 246 283
前月比[%] -2.643 +3.046 +1.515 +7.527 +8.197 +3.297 -3.846 +8.112 +4.545 +2.986
前年同月比[%] +102.8 +147.6 +89.62 +78.57 +138.6 +147.4 +66.67 +15.18 +59.41 +22.73

 

たまねぎの推移

たまねぎ価格の推移

最新の価格データ

最近のたまねぎ価格

 

その他のデータとグラフ

 

たまねぎの価格についての推移と展望

中国・四国地方は、日本の中でも温暖な気候と多様な地形を活かした農業が盛んな地域であり、たまねぎの生産・流通にも一定の影響力を持ちます。本章では、2008年から2025年4月までのデータを踏まえて、地域ごとの価格動向、背景要因、今後の見通しを多角的に解説します。


都市別の最新価格と動向

2025年4月時点での各都市のたまねぎ価格(円/kg)は以下のとおりです:

  • 高価格帯 宇部市(221円)、鳥取市(203円)、岡山市(201円)、高知市(200円)、松江市(198円)

  • 中価格帯 福山市(188円)、徳島市(175円)

  • 低価格帯 広島市(164.3円)、松山市(161円)、高松市(149.3円)

このように、山陰(鳥取・松江)や山陽西部(宇部・岡山)で高値、四国や都市部(広島・松山・高松)で相対的に安値という構図が見られます。


地域別価格の特色と背景

宇部市・鳥取市・岡山市:供給地の役割

これらの都市では、比較的農業地帯が近くにあり、物流コストが低いように見えても、地場産品の高品質志向や地元消費を重視する傾向が価格を押し上げています。特に宇部市は価格が最も高く、地元の少量多品目生産や販売戦略が影響していると推察されます。

松江市・高知市:地理的制約と付加価値化

松江市は物流の要所からやや離れており、流通コストが価格に転嫁されやすい地域です。また高知市は露地栽培の割合が高く、天候の影響を受けやすい一方で、ブランド化が進み価格が高止まりする傾向があります。

広島市・松山市・高松市:都市型流通と価格競争

これら都市では流通業者が多く、価格競争が活発です。特に高松市は四国地方で最安値(149.3円)であり、量販店中心の流通構造と、県外産たまねぎの流入が大きく影響しています。


価格変動の現況分析

上昇傾向の都市

松江市(+8.197%)、広島市(+8.112%)、高知市(+7.527%)などでは、収穫タイミングの影響で需給が逼迫し、一時的な価格上昇が見られます。特に高知市や松江市は前年同月比でも高く、継続的な値上がり傾向が確認されます。

下落傾向の都市

宇部市(-2.643%)や徳島市(-3.846%)では、供給が一時的に過剰となり価格が調整されています。徳島県は四国最大級の農業地帯であり、他地域への供給圧力も価格を抑制していると見られます。


中国・四国地方におけるたまねぎ市場の課題

気候変動と収穫時期の不安定化

西日本では台風や長雨などの異常気象が多く、たまねぎの栽培において病害・収穫遅れが価格変動のリスクとなっています。

労働力不足と高コスト化

小規模農家が多く、高齢化により作業効率が低下。労働力確保にコストがかさみ、単価上昇の一因になっています。

地場消費の減少と広域流通への依存

若年層を中心とした地元野菜離れや都市部への集中により、広域流通で価格が統制される傾向が強まっています。


今後の推移と予想

  • 価格の高止まり傾向が続く見通し 特に高知・松江のような供給が限られる地域では、地場生産の縮小も加わり、価格はやや高めで推移する可能性があります。

  • 物流効率化による価格是正も視野に 広島・高松・松山など流通のハブ都市では、AIによる需給予測とスマート物流の進展により、価格の安定化・下落圧力も期待されます。

  • 品種改良とブランド化で付加価値向上 近年は辛味の少ない「サラダ用たまねぎ」などが商品化され、都市部では高価格帯でも需要が見込まれる流れが出てきています。


まとめ

中国・四国地方のたまねぎ価格は、地理的・経済的背景によって多様な動きを見せています。今後は、気候リスクへの対応と流通最適化、ブランド化の強化が、価格の安定と地域農業の持続可能性を左右すると考えられます。

 

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