2023年世界アスパラガス生産:中国が86%超を占める現状と課題

生産量
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アスパラガスの世界生産は2023年で8.594Mtに達し、中国がその86.59%を占めています。南米や欧州諸国は地産地消型の持続的生産を行っていますが、生産減も見られます。気候変動や労働力不足が今後の課題であり、中国依存のリスクから生産地の多極化が求められています。

生産量のデータとグラフ

アスパラガス生産量の最大と最新

世界 中国 ペルー メキシコ ドイツ イタリア スペイン アメリカ
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2015年 2015年 2011年 2022年 2018年 2023年 1990年 1963年
最新値[Mt] 8.594 7.441 0.3567 0.3473 0.1119 0.05188 0.04414 0.03511
最大値[Mt] 8.684 7.668 0.3923 0.3578 0.133 0.05188 0.1045 0.1704
前年比[%] -0.7306 -0.3248 -5.439 -2.948 1.451 0.6402 -1.824 1.91
全体比[%] 100 86.59 4.151 4.041 1.302 0.6037 0.5136 0.4085

 

これまでの推移

アスパラガスの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

アスパラガス生産量についての推移と展望

アスパラガスは、高付加価値な野菜として世界中で生産・消費されてきました。1960年代は欧州が中心でしたが、2000年代以降、急速にアジア、特に中国が台頭し、2023年には世界総生産量8.594Mtのうち86.59%(7.441Mt)を中国が占めるに至っています。世界全体では前年比0.7306%減と微減傾向にありますが、これは需要の頭打ちや気候変動、労働力不足などが影響しています。

中国の圧倒的主導と国内市場の特性

中国は2000年代に入ってからアスパラガスの一大生産国として成長し、今や他国を圧倒する86.59%のシェアを持ちます。この背景には、広大な農地と安価な労働力、そして国内外の需要増があります。また、輸出よりも国内消費が主体となっている点も特徴です。前年比は-0.3248%とわずかに減少しましたが、これは生産の飽和や農業収益性の見直しに伴う調整とも考えられます。

南米・北米の台頭と減速の兆し

ペルー(0.3567Mt、全体の4.151%)やメキシコ(0.3473Mt、4.041%)は、20世紀末以降、対米輸出を中心に成長を遂げてきました。しかし、2023年はペルーで-5.439%、メキシコで-2.948%といずれも生産減。これは輸送コストの高騰、労働力不足、アメリカ市場の需要の鈍化などが背景にあるとみられます。さらに気候変動の影響も無視できません。

欧州諸国の持続的な地域型生産

ドイツ(0.1119Mt)、イタリア(0.05188Mt)、スペイン(0.04414Mt)は、伝統的に地産地消型の生産が行われており、各国の春の風物詩ともなっています。前年比で見ると、ドイツは+1.451%、イタリア+0.6402%と微増。これは環境保全型農業の拡大や、地域消費を支えるための農業支援政策の成果と考えられます。一方でスペインは-1.824%と減少しており、乾燥や水不足の影響が懸念されます。

アメリカの縮小と将来への可能性

アメリカはかつての大消費国であり、国内でも生産を続けていますが、現在の生産量は0.03511Mtと全体の0.4085%にとどまります。ただし前年比では+1.91%と回復傾向が見られ、これは輸入依存から自国生産への回帰や、地産地消志向の高まりが影響していると考えられます。今後も効率的な温室栽培などで生産の拡大余地はあると予想されます。

今後の予測と課題

今後の世界のアスパラガス生産は、以下の点に左右されるでしょう:

  • 気候変動の影響:干ばつ、熱波などによる作柄不安定

  • 労働力の確保:特に収穫期に集中する労働需要の逼迫

  • 消費動向の変化:健康志向や高級食材としての需要増

  • 生産の多様化:中国一極集中のリスク回避と新興国の台頭

中国の圧倒的なシェアは今後も続くと見られますが、リスク分散の観点からメキシコ、米国、欧州諸国での拡大の余地があります。特にサステナブル農業や技術導入の進展が鍵となります。

 

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