世界アスパラガス生産:中国が86%超を占める現状と課題

生産量

2023年の世界のアスパラガス生産量は8.594Mtで、前年比-0.731%の減少。中国が7.441Mtと全体の約87%を占める中、ペルーやメキシコなどの中南米諸国が輸出用に重要な位置を占めています。ドイツや日本、アメリカなどの先進国では消費の安定と技術革新による小規模ながらも高品質な生産が継続中。今後は気候変動や人件費高騰への対応、また多様な市場ニーズに応えるための産地分散と効率化がカギとなります。

アスパラガスの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界8.594100-0.731
1中国7.44186.59-0.325
2ペルー0.3574.151-5.439
3メキシコ0.3474.041-2.948
4ドイツ0.1121.302+1.451
5イタリア0.05190.604+0.64
6スペイン0.04410.514-1.824
7アメリカ0.03510.409+1.91
8フランス0.02730.318+4.152
9日本0.02670.31+2.534
10タイ0.02450.285+0.0157
11イラン0.02210.257-0.162
12ポーランド0.01710.199-28.15
13オランダ0.01450.169-6.817
14カナダ0.01070.124+7.305
15アルゼンチン0.01060.123-0.38
16チリ0.009840.114-11.42
17ギリシャ0.009010.105+1.808
18オーストラリア0.00530.0616-20.99
19ハンガリー0.004960.0577-1.782
20イギリス0.00470.0547+16.28
21ベルギー0.004050.0471-13.65
22オーストリア0.002320.027-10.08
23エクアドル0.001980.0231-0.755
24トルコ0.00160.0186+19.23
25ニュージーランド0.001260.0146+0.24
26北マケドニア0.0007130.0083-0.213
27スイス0.0006620.0077-9.932
28フィリピン0.0006260.00728+2.802
29南アフリカ0.0006250.00727+111.1
30チェコ0.000510.00593-19.78
31コロンビア0.000480.00559+46.34
32ケニア0.00040.00465
33クロアチア0.00040.00465-88.27
34ポルトガル0.000390.00454+290
35デンマーク0.000320.00372+3.226
36スロバキア0.000320.00372+3.226
37ジンバブエ0.0003050.00354+0.204
38スロベニア0.00030.00349-9.091
39スウェーデン0.000260.00303-13.33
40チュニジア0.0002570.00299+0.556
41コスタリカ0.0001410.00164+1.339
42ルクセンブルク0.000120.0014+71.43
43イスラエル0.0001020.00119+41.67
44ブータン9.67E-50.00113-16.37
45フィンランド5.0E-50.000582+66.67
46ルーマニア1.0E-50.000116
47モロッコ1.0E-50.000116
48エストニア00
アスパラガスの生産量
アスパラガスの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

アスパラガスの現状と今後

アスパラガスは高級感と栄養価を兼ね備えた野菜であり、ビタミンやアスパラギン酸などを含み、健康志向の高まりとともに需要が伸びています。旬の季節性がありつつも、温室栽培や輸入により年間を通じて消費されています。


世界全体の生産動向|減少傾向の背景

2023年の世界の生産量は8.594Mtで前年比-0.731%。長期的には増加と停滞を繰り返してきましたが、近年はやや頭打ちの傾向が見られます。アスパラガスは栽培に手間がかかり、収穫も労働集約型であるため、気候変動や人件費上昇の影響を受けやすい作物でもあります。


中国|世界の中心を占める圧倒的生産国

中国は7.441Mtを生産し、世界の約87%を占める生産大国です。特徴として:

  • 内需だけでなく輸出量も多い

  • 地理的多様性により周年生産が可能

  • 労働力確保と集約農業が実現

ただし2023年は前年比-0.325%と微減。生産の飽和や1部地域の土壌疲弊、労働コストの上昇が影響している可能性があります。


ペルー・メキシコ|輸出指向型の中南米勢

  • ペルー(0.357Mt / -5.439%)

  • メキシコ(0.347Mt / -2.948%)

両国は、欧米市場向けの輸出で知られており、旬の異なる北半球への供給源として重要です。特に冷涼な高原地帯での栽培が盛んで、品質・味ともに評価が高いですが、減産傾向は水資源制約や国際市場価格の変動が背景にあると考えられます。


欧州|消費と地産地消の両立

  • ドイツ(+1.451%)

  • イタリア(+0.64%)

  • スペイン(-1.824%)

  • フランス(+4.152%)

欧州では地産地消志向が強く、春の味覚としてアスパラガスは文化的にも重要な食材です。生産量は多くありませんが、品質重視であり、露地栽培と直販が中心。ドイツは欧州最大の消費国でもあり、今後も安定した生産が見込まれます。


アメリカ・日本|需要は安定、生産は縮小傾向から回復へ

  • アメリカ(+1.91%)

  • 日本(+2.534%)

アメリカは1時減少が続いていましたが、施設栽培やオーガニック対応のニーズにより、やや回復傾向です。日本も同様に、輸入依存が強まる中、地元産の価値が見直され、北海道などで栽培が持続しています。


東南アジアの台頭と課題

  • タイ(+0.0157%)などの国では、小規模ながらアジア域内の需要に応える形で生産が行われています。温暖な気候により複数回の収穫が可能ですが、品質安定や物流インフラが課題です。市場としては成長性がある1方、輸出競争力はまだ限定的です。


将来予測|効率化と市場分散のカギ

今後のアスパラガス生産の行方には以下の要素が影響します:

  • 人件費の上昇と収穫の機械化ニーズ

  • 栽培期間短縮や品種改良による生産性向上

  • 地球温暖化の影響で栽培可能地域の拡大・変化

  • 消費者の健康志向と有機アスパラガス市場の成長

  • 主要産地からの多極化(中国依存の緩和)

中南米やアジア各国では、輸出戦略の再構築と品質管理の徹底が今後の競争力を左右するでしょう。


まとめ|地域ごとの特色とグローバルな戦略の融合

アスパラガスの世界生産は、圧倒的な中国依存の構図が続く1方で、欧米市場向けの輸出国やローカル生産国が着実に存在感を高めています。労働負担の大きい作物であるがゆえに、持続可能な栽培体制の確立や市場の多様化、技術革新が将来の安定供給と品質向上の鍵になると考えられます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました