世界の雑穀生産動向｜主要国の比較と健康志向による再注目

2023年の世界の雑穀生産量は1.772Mtで前年から約20%減少。ポーランドが最大生産国だが大幅減少、フランスやイギリスは増加傾向。気候変動や市場縮小が課題だが、健康志向の高まりでオーガニック需要増加に期待がかかる。将来は技術革新と政策支援が重要。

雑穀は米や小麦などの主要穀物に比べて生産量が少ないものの、栄養価が高く多様な食文化で重要な役割を果たしています。2023年の世界全体の生産量は約1.772Mtで、前年から大幅に約20.2%減少しました。生産は主に欧州の中北部や北部諸国に集中しており、ポーランドとフランスで全体の約75%を占めています。

主要生産国の状況と動向

ポーランド（0.906Mt、前年比-22.5%）

世界最大の雑穀生産国であり、主にライ麦やオーツ麦など多様な雑穀を栽培しています。しかし2023年は生産量が大幅減少し、気候変動や農業経営の変化が影響しています。

フランス（0.473Mt、前年比+2.244%）

ヨーロッパ有数の穀物生産国であり、比較的安定した生産を維持しています。増加傾向は持続可能な農法や新市場への対応が寄与している可能性があります。

カナダ（0.153Mt、前年比-24.61%）

寒冷地での雑穀栽培が盛んですが、2023年は大幅減少。天候不順や経済的な影響による生産縮小が考えられます。

イギリス（0.0473Mt、前年比+11.31%）

規模は小さいものの、近年健康志向の高まりから生産拡大傾向がみられます。オーガニック雑穀などの需要増加も背景にあります。

その他ヨーロッパ諸国（フィンランド、スペイン、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、オーストリア）

多くの国で大幅減少が目立ち、特にスペイン（-67.36%）、スウェーデン（-62.2%）、ドイツ（-36.07%）が顕著です。これは気候変動の影響、農業構造の転換、そして主要穀物への集中が進んでいるためと考えられます。

雑穀生産の地域別傾向と課題

• 東ヨーロッパ・中央ヨーロッパポーランドを中心に伝統的な雑穀栽培が残るが、近年は市場価格の低迷や農地の他作物への転換が進んでいます。

• 北欧諸国フィンランドやスウェーデンは冷涼な気候を活かした雑穀生産が伝統ですが、近年の減産は気候変動の影響も示唆されます。

• 西欧諸国フランスやドイツでは環境負荷低減の動きや健康志向により、1部で雑穀の需要が増加しているものの、生産量は減少傾向です。

将来の展望と課題

生産量の減少傾向継続の可能性

雑穀は主要穀物に比べて市場規模が小さく、気候リスクや経済性の問題から生産縮小が続く可能性があります。

健康志向と持続可能な農業の追い風

高い栄養価と環境適応力を活かし、オーガニック市場やグルテンフリー食品としての需要拡大が期待されます。

技術革新と政策支援の重要性

生産性向上や耐気候性品種の開発、農家支援策が成長の鍵となり、雑穀の多様な利用拡大が今後の鍵です。