世界の米生産量と主要国の推移【最新データ・今後の展望】

生産量

2023年の世界の米生産量は800Mt。インドと中国が突出し、バングラデシュやベトナムも堅調。パキスタンは大幅増、ミャンマーは減産。気候変動と都市化がリスク要因であり、今後は省資源型農業と輸出多角化がカギとなる。

米の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界800100+1.403
1中国208.126.01-0.955
2インド206.725.84+1.524
3バングラデシュ58.617.327+2.49
4インドネシア53.986.748-1.403
5ベトナム43.55.437+1.962
6タイ33.074.134-1.661
7ミャンマー25.653.206-8.338
8フィリピン20.062.507+1.535
9パキスタン14.81.85+34.79
10カンボジア12.91.613+10.98
11ブラジル10.291.286-4.553
12日本10.141.267-3.014
13アメリカ9.9021.238+36.4
14ナイジェリア8.9021.113+4.707
15ネパール5.7240.716+4.332
16エジプト5.60.7+30.22
17マダガスカル5.1180.64+5
18韓国4.8980.612-2.008
19スリランカ4.5130.564+33.03
20ラオス3.8350.479+6.682
21イラン3.5990.45-0.843
22タンザニア3.5880.449-13.24
23ギニア3.5350.442+11.93
24ペルー3.3680.421-2.076
25マリ3.0240.378+5.556
26コロンビア3.0060.376+15.24
27マレーシア2.1670.271-5.04
28コートジボワール2.0120.251+18.08
29コンゴ民主共和国1.8120.227+7.092
30北朝鮮1.7760.222-10.86
31セネガル1.520.19+7.847
32ガーナ1.4630.183+14.03
33シエラレオネ1.40.175+0.179
34イタリア1.3790.172+11.45
35ウルグアイ1.3730.172-1.803
36エクアドル1.3130.164+4.805
37アルゼンチン1.1630.145-4.844
38ロシア1.0660.133+15.83
39ガイアナ0.9950.124+7.035
40パラグアイ0.9780.122+0.347
41ドミニカ共和国0.9470.118-7.997
42トルコ0.90.113-5.263
43ベネズエラ0.7220.0903-0.909
44ボリビア0.6990.0873+14.76
45アフガニスタン0.5970.0746+0.845
46ブルキナファソ0.5040.063+14.87
47ニカラグア0.4990.0624-1.075
48オーストラリア0.4970.0621-28.17
49ベナン0.4930.0616-6.169
50カザフスタン0.4850.0606+12.47
51モーリタニア0.4580.0573+13.7
52パナマ0.4360.0545+0.741
53ブルンジ0.4120.0515-8.992
54カメルーン0.3580.0448+4.469
55ウズベキスタン0.3560.0445-0.967
56スペイン0.3340.0418-4.657
57ウガンダ0.260.0325-25.07
58リベリア0.2560.032-11.04
59メキシコ0.2520.0315+2.348
60ケニア0.2290.0286+19.12
61ギニアビサウ0.2260.0283+1.071
62チャド0.2240.028-3.454
63スリナム0.2030.0254+10.27
64エチオピア0.2020.0253-2.885
65ギリシャ0.190.0238-11.32
66トーゴ0.1830.0229+7.955
67ポルトガル0.1790.0224+14.95
68モザンビーク0.1620.0202-34.12
69ニジェール0.1430.0178-0.972
70ハイチ0.1360.017-2.857
71タジキスタン0.1340.0168-5.292
72ルワンダ0.1340.0167-1.071
73キューバ0.130.0163-9.604
74マラウイ0.1240.0155-15.44
75チリ0.1090.0137+8.627
76トルクメニスタン0.08660.0108+0.384
77東ティモール0.0830.0104-2.924
78コスタリカ0.07610.00951-33.43
79フランス0.06830.00853+5.878
80ブルガリア0.06420.00802-0.249
81ザンビア0.06270.00783+0.642
82モロッコ0.05620.00703+14.48
83ガンビア0.05510.00689+23.55
84中央アフリカ共和国0.05330.00667+3
85グアテマラ0.05120.0064+83.55
86キルギスタン0.04680.00585+5.688
87ブータン0.04080.0051-0.597
88アンゴラ0.03980.00498+277.1
89ホンジュラス0.03490.00436-31.8
90南スーダン0.0330.00413-9.626
91スーダン0.02190.00274-21.86
92北マケドニア0.020.0025+5.353
93ベリーズ0.01770.00221+15.21
94アゼルバイジャン0.0140.00175+30.4
95イラク0.01260.00158+8.293
96ルーマニア0.01210.00151-28.58
97ウクライナ0.01110.00139+258.6
98エルサルバドル0.0110.00138-24.16
99メラネシア0.01080.00135-35
100ハンガリー0.008330.00104-17.93
101フィジー0.007170.000896-44.84
102ブルネイ0.00370.000463+2.778
103プエルトリコ0.003630.000454+14.06
104南アフリカ0.003080.000385+0.0198
105ソロモン諸島0.002750.000344+0.176
106ソマリア0.0020.00025
107ガボン0.001730.000216+0.0688
108エスワティニ0.0010.000125+0.063
109コンゴ0.0010.000125
110パプアニューギニア0.0008850.000111+0.366
111サウジアラビア0.0008160.000102+0.182
112トリニダード・トバゴ0.0003264.08E-5+160.8
113アルジェリア0.0003073.84E-5-0.065
114ミクロネシア0.0001822.27E-5-0.313
115ジンバブエ7.35E-59.19E-6-86.36
116コモロ2.1E-52.63E-6+320.4
117ルクセンブルク00
118リトアニア00
119ラトビア00
120モーリシャス00
121マルタ00
122ポーランド00
123ベルギー00
124フィンランド00
125ドイツ00
126デンマーク00
127チェコ00
128スロベニア00
129スロバキア00
130スウェーデン00
131ジャマイカ00
132クロアチア00
133キプロス00
134オランダ00
135エストニア00
136アイルランド00
米の生産量
米の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

米の現状と今後

米は、世界人口の約半数以上の主食であり、とくにアジアにおいては食文化と不可分の存在です。1961年から2023年までの約60年間で、世界の米生産量は大きく拡大し、2023年には800Mt(8億トン)に達しました。前年からは+1.403%の微増と、全体としては安定した成長を示しています。

この安定性は、品種改良、灌漑整備、農業政策支援によるものであり、米は他の穀物と比較しても、収量変動が比較的小さいことが特徴です。しかし、今後は気候変動、水資源の制約、都市化による農地減少といった新たな課題に直面しています。


主要生産国の動向と特徴

中国(208.1Mt、前年比-0.955%)

中国は世界最大の米生産国であり、国内消費向けにほぼ全量を自給しています。2023年は小幅な減産(-0.955%)となりましたが、生産水準自体は依然として極めて高いです。しかし、高齢化と都市化による農村人口の減少、水不足、耕地の減少がじわじわと影響しており、今後は効率的な農業経営と省水型品種の普及が求められます。

インド(206.7Mt、前年比+1.524%)

インドは中国に次ぐ第2位の米生産国で、国内消費も多いものの、世界最大の米輸出国でもあります。2023年は+1.524%と安定的な増産を記録。米の生産は季節風に強く依存しており、干ばつや洪水の影響を受けやすいのが課題ですが、灌漑インフラの改善や品種多様化によって、安定供給を目指しています。

バングラデシュ(58.61Mt、前年比+2.49%)

バングラデシュは人口密度が高く、食糧安全保障上、米の自給が最優先されています。近年は収量の向上が顕著で、2023年も+2.49%の増加。洪水や高潮などの自然災害のリスクが高い1方で、耐塩性・早稲品種の導入が効果を上げています。引き続き気候変動への適応力強化が鍵です。

インドネシア(53.98Mt、前年比-1.403%)

インドネシアは食糧自給を国策とし、米の生産と価格安定は政府の最優先課題です。2023年はやや減少(-1.403%)し、これは1部地域の干ばつや病害虫の影響によると考えられます。農地の分散化と技術格差が課題であり、今後は生産の集約化と気象対応型農業の導入が求められます。

ベトナム(43.5Mt、前年比+1.962%)

ベトナムは輸出志向が強く、米は同国の主要な外貨獲得作物です。2023年も安定的な増産で、収量の高さが際立ちます。ただし、メコンデルタの海面上昇と塩害、労働力不足が長期的リスクです。今後は輸出品質の高度化と持続可能な農業への転換が求められます。

タイ(33.07Mt、前年比-1.661%)

タイもまた主要な米輸出国の1つですが、2023年は減産(-1.661%)となりました。これは主に干ばつと水不足の影響です。伝統的にジャスミンライスなど高品質米に特化しており、付加価値のある市場を維持しています。今後もブランド米と輸出市場の多様化が鍵となるでしょう。

ミャンマー(25.65Mt、前年比-8.338%)

2023年は大幅な減産(-8.338%)で、政治的混乱と気象リスクの双方が影響しています。農業の機械化率が低く、灌漑施設やインフラ整備の遅れが生産不安定の原因です。将来的には安定した政策・輸出インフラ整備がなければ、生産量の回復は難しいと考えられます。

フィリピン(20.06Mt、前年比+1.535%)

国内消費量が多いため、輸入依存が高いフィリピンですが、近年は自給率向上を目指して政策的に生産拡大が図られています。2023年も+1.535%と安定増加を記録。台風の多発地域であるため、気象リスクへの耐性強化と災害後の回復策が今後の重要テーマです。

パキスタン(14.8Mt、前年比+34.79%)

パキスタンは2023年に驚異的な+34.79%の増産を記録しました。前年の洪水からの回復、灌漑条件の改善、国際価格の高騰による農家の栽培意欲増加が背景にあると推測されます。今後も持続的な水管理と輸出インフラ整備により、生産拡大の余地があります。

カンボジア(12.9Mt、前年比+10.98%)

カンボジアは米の輸出志向を強めつつあり、2023年は+10.98%の増産となりました。小規模農家が多いながらも、機械化と灌漑支援によって生産が向上しています。品質管理の強化と、EUや中国向けの輸出体制の整備が今後の課題です。


地域別の構造と課題

  • 南アジア(インド・バングラデシュ・パキスタン)人口密度が高く、米の需要は依然として増加傾向。気象リスクに脆弱。

  • 東南アジア(ベトナム・タイ・ミャンマー・フィリピン・カンボジア・インドネシア)米の輸出国が集中し、地域経済の柱でもある。海面上昇や干ばつが共通課題。

  • 東アジア(中国)安定した供給を維持するも、構造的には人口減と都市化による生産縮小圧力あり。


将来予想と安定供給への展望

将来の成長可能性:

  • 省水型・耐塩性・早生品種の開発と普及

  • スマート農業・ドローンによる収量予測

  • 輸出品質管理の強化

  • 国際協力による灌漑整備と技術支援

大きな課題:

  • 気候変動による干ばつ・洪水・塩害

  • 水資源の枯渇・過剰な地下水使用

  • 農業従事者の高齢化・離農

  • 輸出依存のリスク(価格変動・国際情勢)

将来的には、安定供給と品質向上の両立が重要であり、とくにアジアの発展途上国では、生産性向上と災害へのレジリエンス構築が鍵となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました