2023年の世界の米生産量は800Mtで、前年比1.403%増と穏やかな伸びに。中国・インドが全体の半分以上を占め、南アジアや東南アジアが中心。気候変動や農地減少が課題となる一方、スマート農業や品種改良による安定供給への期待が高まっています。
生産量のデータとグラフ
米生産量の最大と最新
世界 | 中国 | インド | バングラデシュ | インドネシア | ベトナム | タイ | ミャンマー | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2017年 | 2023年 | 2023年 | 2015年 | 2015年 | 2011年 | 2009年 |
最新値[Mt] | 800 | 208.1 | 206.7 | 58.61 | 53.98 | 43.5 | 33.07 | 25.65 |
最大値[Mt] | 800 | 214.4 | 206.7 | 58.61 | 61.03 | 45.09 | 38.1 | 32.68 |
前年比[%] | 1.403 | -0.9552 | 1.524 | 2.49 | -1.403 | 1.962 | -1.661 | -8.338 |
全体比[%] | 100 | 26.01 | 25.84 | 7.327 | 6.748 | 5.437 | 4.134 | 3.206 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
米生産量についての推移と展望
米は、人口の多いアジア諸国で主食として広く消費されており、農業生産において最も重要な作物の一つです。1961年時点で世界の米生産量は約216Mtでしたが、食糧需要の増加、灌漑技術の発達、品種改良などを背景に大きく成長し、2023年には800Mtに達しました。
2023年の前年比増加率は1.403%とやや控えめな伸びにとどまったものの、高水準の生産量を維持しています。中国やインドを中心に、南アジア・東南アジアの国々がその大半を占めています。
主要生産国の動向と特徴
中国(208.1Mt/世界シェア26.01%/前年比 -0.9552%)
世界最大の米生産国でありながら、2023年はわずかに減産。高齢化や耕地の都市化、水資源の制約などが影響しています。今後はスマート農業や垂直農法の導入が鍵となるでしょう。
インド(206.7Mt/25.84%/+1.524%)
僅差で中国に次ぐ第2位。農村部の所得向上と水管理の改善により着実に増産を続けています。ただし、輸出規制や極端気象への脆弱性が課題です。国際市場での影響力も非常に大きく、価格変動の一因となる国です。
バングラデシュ(58.61Mt/7.327%/+2.49%)
人口密度の高いバングラデシュでは、米は主食として極めて重要。洪水に対する耐性品種の導入や農家支援政策が功を奏し、生産は堅調に増加しています。
インドネシア(53.98Mt/6.748%/-1.403%)
気候変動や水不足により、2023年は前年から減少。政府は食糧自給率を重視し、米の増産を目指していますが、急速な都市化と農業従事者の高齢化が進んでいます。
ベトナム(43.5Mt/5.437%/+1.962%)
輸出志向の強い国であり、ジャスミン米や香り米など高品質米での競争力が高いです。生産は安定しており、メコンデルタの農業基盤が今後の生産維持の鍵となります。
タイ(33.07Mt/4.134%/-1.661%)
長年、世界最大の米輸出国の一つとして知られるタイですが、2023年は減産。雨季の不安定化と農地の縮小が原因とされます。プレミアム米のブランド力は健在です。
ミャンマー(25.65Mt/3.206%/-8.338%)
政情不安や経済制裁の影響により、2023年は大幅な減産を記録しました。潜在的な農地面積は広く、安定すれば再び成長が期待される国ですが、国際的な支援と改革が不可欠です。
米生産を巡る世界的課題とリスク
米の生産は多くの国で政策・自然・社会条件の影響を受けやすく、以下のような課題があります。
-
気候変動:干ばつ、洪水、気温上昇により水稲栽培が脅かされる。
-
水資源の逼迫:灌漑農業依存度が高いため、水不足は深刻なリスク。
-
農業従事者の高齢化:後継者不足が各国で共通の問題。
-
国際貿易の不安定性:輸出規制や関税の変化が価格に直結。
-
土地の都市化:都市拡大により農地面積が減少。
今後の展望と予測
世界の米生産は、安定成長を見込むものの、下記の要因が影響を与えます。
-
品種改良とテクノロジー:耐乾性・耐塩性などの品種開発が進む。
-
スマート農業:AIによる収量予測、ドローン散布、自動水管理技術などが期待される。
-
人口動態の変化:アジアの人口ピークアウトにより、食料消費パターンの変化が生産にも影響。
-
国際協力と食料安全保障:多国間での備蓄や供給網構築が焦点。
-
輸出国の影響力拡大:インド・ベトナム・タイの政策が国際価格に与える影響は今後も大きい。
なお、食生活の多様化や健康志向の変化によって、米の一人当たり消費量は先進国で減少傾向にあります。これが将来的に生産・流通構造の転換を促す可能性もあります。
コメント