世界の穀物生産量と動向:最新データと将来予測を徹底解説

生産量

2023年の世界の穀物生産量は3134Mtで、アメリカやブラジルが大幅増加した一方、ロシアやアルゼンチンでは気候などの影響で減少しました。全体的に増加傾向にあるものの、気候変動・資源制約・政策不安が地域ごとに明暗を分けています。今後は技術革新と気候適応が生産の鍵となります。

穀物の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界3134100+1.972
1中国643.420.53+1.338
2アメリカ462.614.76+13.14
3インド374.611.95+3.347
4ブラジル155.94.973+14.83
5ロシア136.74.362-10.7
6インドネシア73.972.36-4.071
7バングラデシュ64.332.052+2.84
8フランス64.242.05+7.198
9アルゼンチン62.111.982-32.19
10ウクライナ59.311.892+10.78
11カナダ59.241.89-8.918
12オーストラリア59.041.884+4.862
13パキスタン53.191.697+9.622
14ベトナム47.941.529+1.805
15ドイツ42.461.355-2.337
16トルコ42.191.346+9.12
17タイ38.531.229-0.767
18メキシコ37.021.181+1.888
19ポーランド35.181.123+0.56
20エチオピア30.150.962+0.688
21フィリピン28.470.908+1.616
22ミャンマー28.290.902-7.901
23ナイジェリア28.050.895-7.465
24エジプト23.390.746+6.312
25イギリス22.050.703-9.502
26イラン20.960.669+3.978
27ルーマニア20.780.663+10.2
28南アフリカ19.010.606+5.424
29カザフスタン17.080.545-22.5
30イタリア15.450.493+8.057
31ハンガリー15.040.48+65.99
32カンボジア14.380.459+12.46
33タンザニア12.790.408+7.17
34スペイン11.930.381-38.17
35日本11.50.367-1.877
36ネパール11.150.356+0.203
37セルビア10.830.346+34.8
38ブルガリア10.350.33+5.668
39マリ9.9790.318-3.011
40チェコ7.9960.255-2.712
41ウズベキスタン7.9120.252+5.255
42ベラルーシ7.0530.225-8.972
43デンマーク7.0020.223-26.02
44パラグアイ6.8720.219+2.828
45ガーナ5.7650.184+12.24
46モロッコ5.6750.181+61.61
47リトアニア5.630.18+0.108
48ペルー5.5040.176-2.203
49マダガスカル5.390.172+4.776
50アフガニスタン5.3720.171+11.85
51ギニア5.2930.169+11.54
52オーストリア5.2350.167+0.563
53イラク5.2240.167+40.28
54ニジェール5.1620.165-12.86
55ブルキナファソ5.1480.164-0.601
56ケニア5.1460.164+33.77
57韓国5.1340.164-1.641
58コロンビア4.9870.159+9.408
59シリア4.8790.156+114.3
60スリランカ4.7450.151+29.52
61北朝鮮4.3760.14-4.713
62スウェーデン4.3280.138-25.68
63スロバキア4.3050.137+27.25
64ラオス4.2850.137+5.604
65セネガル4.2530.136+16.09
66コンゴ民主共和国4.2080.134+4.273
67スーダン4.1620.133-45.81
68ウルグアイ3.9370.126-14.36
69カメルーン3.8590.123+0.399
70マラウイ3.7950.121-5.651
71ザンビア3.6590.117+19.7
72アルジェリア3.590.115-12.32
73ギリシャ3.4040.109+6.265
74コートジボワール3.390.108+10.6
75ウガンダ3.380.108-38.82
76アンゴラ3.3350.106+4.918
77ボリビア3.2270.103+23.36
78クロアチア3.1910.102+5.529
79モルドバ3.1770.101+80.72
80アゼルバイジャン3.1540.101+3.205
81フィンランド3.0070.0959-16.25
82ベルギー2.7550.0879-0.887
83エクアドル2.7540.0879-5.949
84ベナン2.7370.0873+19.16
85ラトビア2.7160.0866-16.27
86チャド2.6430.0843-5.546
87チリ2.4970.0797-3.529
88モザンビーク2.4590.0785-13.17
89グアテマラ2.1850.0697+1.256
90マレーシア2.1670.0691-5.05
91ベネズエラ2.1010.067+19.31
92アイルランド1.880.06-24.39
93キルギスタン1.6720.0533-12.61
94シエラレオネ1.5370.049+0.554
95トーゴ1.5140.0483+5.181
96オランダ1.4990.0478-8.978
97トルクメニスタン1.4690.0469-5.618
98タジキスタン1.3690.0437+1.967
99エストニア1.2010.0383-21.45
100サウジアラビア1.1930.0381+11.63
101ジンバブエ1.1680.0373-20.09
102南スーダン1.0860.0346+2.135
103ブルンジ1.0730.0342-32.2
104ボスニア・ヘルツェゴビナ1.0630.0339-25.76
105ポルトガル1.0430.0333+2.442
106ドミニカ共和国1.0290.0328-5.807
107ガイアナ0.9990.0319+7.005
108ニュージーランド0.960.0306-0.99
109ニカラグア0.8810.0281-7.131
110エルサルバドル0.8810.0281-2.12
111ルワンダ0.8460.027+4.852
112スイス0.8090.0258-6.427
113ノルウェー0.7850.025-40.75
114ホンジュラス0.7740.0247+3.041
115アルバニア0.7010.0224+1.515
116スロベニア0.6670.0213+15.74
117パナマ0.5970.019+4.192
118モーリタニア0.5660.018+2.4
119チュニジア0.5420.0173-68.38
120北マケドニア0.5230.0167-3.54
121モンゴル0.470.015+9.725
122イエメン0.4350.0139-2.247
123ジョージア0.40.0128+5.822
124ハイチ0.330.0105-2.941
125エリトリア0.3050.00974+0.0264
126中央アフリカ共和国0.3030.00965+2.898
127ギニアビサウ0.2990.00954-0.731
128キューバ0.2940.00939-6.582
129アルメニア0.2880.00919+20.22
130リベリア0.2560.00817-11.04
131イスラエル0.2320.00741-3.594
132オマーン0.2250.00718-4.723
133リビア0.2080.00664-0.889
134スリナム0.2030.00648+10.27
135ソマリア0.1780.00568+27.13
136東ティモール0.1680.00536-2.609
137ベリーズ0.160.00511+9.17
138ナミビア0.1530.00488-9.019
139ルクセンブルク0.1480.00472-13.24
140レソト0.1430.00456+73.55
141レバノン0.1330.00426-0.101
142ガンビア0.1290.00411+19.74
143エスワティニ0.08720.00278-32.51
144コスタリカ0.08340.00266-31.07
145ボツワナ0.07440.00237-35.55
146ヨルダン0.07270.00232+42.76
147ブータン0.070.00223-1.923
148パレスチナ0.0510.00163+6.2
149キプロス0.0510.00163-11.29
150ガボン0.04810.00153+0.25
151メラネシア0.03460.0011-16.67
152クウェート0.0310.000988+14.52
153コンゴ0.03040.000969+0.45
154アラブ首長国連邦0.0220.000702+2.728
155コモロ0.01970.000629+2.747
156パプアニューギニア0.01870.000597-0.423
157フィジー0.009190.000293-37.45
158アイスランド0.007680.000245-13.72
159モンテネグロ0.006850.000218+3.636
160トリニダード・トバゴ0.005330.00017+3.922
161プエルトリコ0.003950.000126+10.84
162ブルネイ0.00370.000118+2.778
163ニューカレドニア0.002919.3E-5-31.37
164ソロモン諸島0.002758.78E-5+0.176
165ジャマイカ0.002297.31E-5-5.565
166カタール0.002217.05E-5+85.06
167モーリシャス0.00154.79E-5+82.5
168バヌアツ0.0009833.14E-5-0.294
169サントメ・プリンシペ0.0007872.51E-5+0.811
170セントビンセント・グレナディーン0.0006332.02E-5-1.094
171バハマ0.0006161.97E-5+0.146
172カーボベルデ0.0004641.48E-5+109.4
173グレナダ0.000391.24E-5+0.407
174ミクロネシア0.0002899.23E-6-0.331
175モルディブ0.0002056.55E-6+0.166
176ドミニカ0.0001936.16E-6+0.244
177アンティグアバーブーダ4.63E-51.48E-6-2.529
178バルバドス4.17E-51.33E-6-18.31
179ジブチ1.73E-55.53E-7+0.814
180マルタ00
穀物の生産量
穀物の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

穀物の現状と今後

2023年における世界全体の穀物生産量は3134Mt(メガトン)に達し、前年比+1.972%と緩やかな増加を示しました。1961年からの長期的な傾向を振り返ると、世界人口の増加と食糧需要の高まりに呼応して、生産量はおおむね右肩上がりで推移してきました。

この成長の主因は以下のとおりです:

  • 高収量品種(HYV)の普及

  • 灌漑設備の整備

  • 機械化・化学肥料の導入

  • 世界各地での農業支援政策の強化

しかし近年は気候変動や水資源の制約、土壌劣化といった要因が新たな制約となっており、増加率は鈍化する傾向も見られます。


主要国別の生産動向と特徴

中国(643.4Mt、+1.338%)

世界最大の穀物生産国であり、米、小麦、トウモロコシの3本柱が主力です。2023年の増加率は控えめながら、安定した灌漑体制と国家主導の食料安全保障戦略により、供給基盤は極めて強固です。1方で、耕地の減少や農業人口の高齢化が今後の課題です。

アメリカ(462.6Mt、+13.14%)

大豆・トウモロコシの世界的な輸出国としても知られ、2023年は好天と技術革新、ならびに輸出需要の回復により大きく増加しました。広大な農地と効率的なサプライチェーンが強みですが、モノカルチャーによる環境負荷も懸念されています。

インド(374.6Mt、+3.347%)

稲作と小麦が中心で、国内消費をまかなう形で自給を重視しています。モンスーンの影響を強く受けるため年ごとの変動が大きく、2023年は比較的良好な気象条件が増加に貢献しました。小規模農家が多く、構造改革が求められています。

ブラジル(155.9Mt、+14.83%)

トウモロコシと大豆の2毛作体制が定着し、2023年も大幅な増加となりました。輸出志向が強く、中国などへの供給で存在感を高めています。アマゾン開発による環境問題と、雨季と乾季の変動が生産に大きく影響します。

ロシア(136.7Mt、-10.7%)

主に小麦の大生産国ですが、2023年は干ばつや地政学的な影響により大きく減少しました。気候的には寒冷地農業に強みがありますが、輸出規制やサンクションなどが生産性に影響を与えています。

インドネシア(73.97Mt、-4.071%)

コメを中心とした穀物体系で、国内需要を優先しています。2023年はエルニーニョによる降水不足が減収の原因となりました。農地の分散性や低機械化率が生産効率の課題です。

バングラデシュ(64.33Mt、+2.84%)

主に稲作が中心で、国土の大部分が農業に依存しています。灌漑とHYVの導入で生産は伸びていますが、洪水リスクが依然高い状況です。2023年は比較的安定した気象条件が増加を後押ししました。

フランス(64.24Mt、+7.198%)

EU最大の農業国で、小麦と大麦の生産が中心です。2023年は天候に恵まれたことが増加の要因です。精密農業や環境配慮型の生産体制が進んでおり、持続可能性の観点から注目されています。

アルゼンチン(62.11Mt、-32.19%)

干ばつによる大打撃を受け、前年比で大幅な減少となりました。穀物輸出が経済の柱であり、気候影響への脆弱性が課題です。農業政策の1貫性の欠如も問題視されています。

ウクライナ(59.31Mt、+10.78%)

紛争の影響下にも関わらず、農業活動が部分的に回復しました。小麦やトウモロコシの供給国として重要な存在で、農業再建の進展が期待されています。


世界の穀物生産の構造変化と将来予測

構造的な変化

  • 需要の質的変化:肉類消費の拡大により、飼料用穀物(特にトウモロコシ)の需要が増加。

  • 土地・水の制約:耕地面積の拡大が限界に近づいており、1haあたりの収量向上が鍵。

  • 気候変動の不確実性:エルニーニョやラニーニャによる極端気象が収量に直接的な影響を与える。

技術革新の進展

  • 精密農業、気候スマート農業、遺伝子編集技術(CRISPR)などが、気候変動への適応策として注目。

  • ドローンやIoTによるリアルタイム監視と施肥管理が生産性を押し上げる可能性。

今後の展望(2030年に向けて)

今後の穀物生産は、以下の2方向での分岐が見込まれます。

  • 高技術導入国:アメリカ、ブラジル、中国などは、収量向上と持続可能性の両立で引き続き成長。

  • 気候脆弱国:インドネシアやアルゼンチンなどでは、天候依存度が高いため生産が不安定化する懸念。

さらに、国際政治の影響も無視できず、貿易摩擦や輸出規制、地政学リスクが食料安定供給に与える影響は大きくなると予想されます。

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