世界のマーガリン生産動向|アメリカ減速とトルコ・メキシコの成長

生産量

2022年の世界のマーガリン生産量は13.96Mtで前年比-1.689%。アメリカが最大生産国ながら減少傾向にあり、代わってトルコやメキシコなどが増加。健康志向の高まりと業務用需要の堅調さが市場を二極化させ、今後は無トランス脂肪・高付加価値化と環境対応が鍵となる。

マーガリンの生産量ランキング

2022年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界13.96100-1.689
1アメリカ4.28530.68-3.264
2パキスタン1.5210.88-11.74
3ブラジル0.96.443+2.625
4トルコ0.7235.18+6.073
5メキシコ0.5654.043+9.398
6ロシア0.4533.243-0.581
7インド0.4363.122-9.731
8ベルギー0.3812.73+3.831
9ケニア0.3582.56-7.308
10ポーランド0.3392.427+11.7
11日本0.3242.32-11.1
12インドネシア0.3212.296+4.34
13ドイツ0.3132.239-1.239
14イギリス0.2391.711-5.159
15オランダ0.21.432-6.323
16ウクライナ0.21.432+12.75
17マレーシア0.1521.088+6.113
18イタリア0.1511.082+18.27
19スウェーデン0.1471.052-6.048
20スペイン0.1270.912+2.463
21ハンガリー0.1060.76+15.73
22ペルー0.1050.749-3.198
23カナダ0.1020.73-2.857
24チュニジア0.1010.722+10.52
25オーストラリア0.09940.712-6.101
26南アフリカ0.08220.589+5.389
27オーストリア0.07370.528-0.405
28カザフスタン0.06450.462-1.571
29ルーマニア0.06190.443+0.65
30アゼルバイジャン0.05940.426+24.91
31ノルウェー0.0550.394-0.362
32フランス0.05220.374+1.163
33デンマーク0.050.358-2.724
34チェコ0.04720.338-3.673
35ベネズエラ0.04610.33+13.86
36コロンビア0.04590.329-32.2
37ギリシャ0.03960.284+0.763
38ウズベキスタン0.03950.283-13.27
39ポルトガル0.0390.279+14.04
40ジンバブエ0.03420.245+10.51
41セルビア0.03340.239+4.983
42イラン0.03290.236-10.55
43イスラエル0.02690.193+4.598
44タイ0.02670.191-8.165
45フィンランド0.02210.158-10.54
46ボリビア0.0220.158+29.1
47スイス0.02170.155-0.913
48オマーン0.02060.148+165.8
49ベラルーシ0.01890.135+61.57
50エジプト0.01790.128+3.355
51チリ0.01770.127+17.8
52エクアドル0.01760.126-5.374
53ホンジュラス0.01730.124-1.717
54グアテマラ0.01720.123+16.65
55アルゼンチン0.01660.119+5.63
56アイルランド0.01490.107-0.667
57スロバキア0.01380.0988+0.73
58パナマ0.01360.0975+138.6
59リトアニア0.01250.0895+1.626
60エルサルバドル0.01080.0774-2.711
61コートジボワール0.01070.0764-16.95
62クロアチア0.01050.0752
63ジャマイカ0.01040.0745-4.124
64ラトビア0.009080.065+13.61
65ガーナ0.008910.0638-25.68
66シンガポール0.0080.0573
67ニュージーランド0.007840.0561+5.658
68ネパール0.007670.0549-25.33
69ブルガリア0.007110.0509-7.325
70スロベニア0.00530.038+1.923
71アルジェリア0.00440.0315+147.2
72モーリシャス0.00390.0279+45.45
73トリニダード・トバゴ0.003770.027+14.24
74バルバドス0.00330.0236-8.333
75中国0.003140.0225-2.429
76セネガル0.003060.0219+56.25
77コスタリカ0.002970.0213-24.93
78イラク0.002830.0202-38.73
79タンザニア0.002520.0181+8.267
80スリランカ0.00250.0179-73.86
81コンゴ民主共和国0.002490.0178
82トルクメニスタン0.002390.0171+105.2
83キルギスタン0.002350.0168+6.406
84ガイアナ0.002260.0162+18.26
85北マケドニア0.00220.0158
86モロッコ0.001260.00906+33.33
87韓国0.001160.00834+0.079
88スリナム0.0006980.005+6.792
89モルドバ0.0004220.00302-10.71
90モザンビーク0.0002740.00197+0.79
91シリア0.0002150.00154+9.812
92アルメニア0.0001390.000994+43.69
93ボスニア・ヘルツェゴビナ0.0001210.000864-25.93
94セントルシア0.0001080.000775-19.09
95セントクリストファーネイビス2.69E-50.000193-67.27
96ブルネイ00
97バーレーン00
マーガリンの生産量
マーガリンの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

マーガリンの現状と今後

マーガリンは、植物油や動物性脂肪を水素添加・乳化して作られる加工食品です。19世紀にバターの代替品として登場し、長期保存性・低価格・調理用途の多様性から、世界中で利用されてきました。近年では「トランス脂肪酸問題」など健康への意識の高まりを受け、植物性油脂100%使用・無トランス脂肪マーガリンへの移行が進んでいます。


世界全体の生産推移と2022年の概況

2022年の世界全体のマーガリン生産量は13.96Mt(1,396万トン)で、前年比-1.689%とやや減少しました。これは、健康志向や消費者の嗜好変化、植物油価格の高騰などが影響したと見られます。

なお、マーガリンの生産は地域ごとの食文化や技術力、消費市場の性質によって大きく異なります。以下に、主要国ごとの動向を詳述します。


主要国別のマーガリン生産の特徴と変動

アメリカ(4.285Mt|前年比 -3.264%)

最大のマーガリン生産国で、世界シェアの約31%を占めます。しかし、生産量は減少傾向にあり、背景には以下の要因があります:

  • バター回帰のトレンド(ナチュラル志向の高まり)

  • トランス脂肪酸規制の強化(FDAの使用制限)

  • 代替商品(オリーブオイルスプレッド等)の登場

ただし、業務用(製パン・製菓)での需要は安定しており、用途の分化が進行中です。

パキスタン(1.52Mt|-11.74%)

マーガリンを日常的に使用する文化が定着しており、家庭用需要が中心。前年比では大幅な減少が見られましたが、これは経済情勢の悪化や原材料の価格上昇、輸入制限などの外的要因によるものと考えられます。

ブラジル(0.9Mt|+2.625%)

堅調な成長を維持している国の1つです。マーガリンは中・低所得層のバター代替品として浸透しており、都市部・地方部の両方で安定した需要があります。生産業者も国内原料に依存しており、価格変動に強い体制を築いています。

トルコ(0.723Mt|+6.073%)

成長著しい国で、健康志向対応型マーガリン(オメガ3強化、無トランス脂肪酸)の投入が功を奏しています。食文化ではバターよりもパン用スプレッドや炒め油代用としてのマーガリンが広く使われています。

メキシコ(0.565Mt|+9.398%)

大幅な増加を記録しており、これは製パン・製菓業界の拡大と外食産業の成長に支えられています。人口増加と中間層の拡大も生産増加の背景となっています。

ロシア(0.453Mt|-0.581%)

わずかながら減少傾向。バター志向の高まりと国際市場との流通制限が影響しています。1方で、業務用加工製品としての利用は堅調です。

インド(0.436Mt|-9.731%)

近年の健康志向の高まりと、伝統的なギー(澄ましバター)の見直しにより、マーガリンの需要は減少傾向。主に都市部の加工食品企業や外食産業での需要が残っています。

ベルギー(0.381Mt|+3.831%)

ヨーロッパではマーガリンの製造・輸出に強い伝統を持つ国。EU規制の下で環境・健康への対応が進んでおり、無トランス脂肪対応品の技術力が高く、将来的には高付加価値輸出型のモデルとして注目されます。

ケニア(0.358Mt|-7.308%)

アフリカでは比較的高い生産量を誇りますが、インフレや原材料コスト上昇が直撃し、生産量は減少。マーガリンは都市部の手頃な脂質源として位置づけられており、今後の食料政策と経済安定性が鍵です。

ポーランド(0.339Mt|+11.7%)

今回最大の前年比増加率を記録。背景には輸出拡大と国内製造の強化があります。EU内での需要増に対応し、健康配慮型商品の品揃えを拡充しています。


マーガリン市場の構造的変化と課題

健康志向の高まり

マーガリンの主原料である部分水素添加油脂(トランス脂肪酸)への懸念から、消費者の目はより厳しくなっています。これにより、以下の動きが顕著になっています:

  • 無トランス脂肪・オーガニック対応製品の増加

  • 植物性原料100%マーガリンの開発・販売

  • 「バター風味」のマーガリンから「ナチュラル志向」商品へ

業務用 vs 家庭用の2極化

家庭用マーガリンの需要は世界的に減少傾向ですが、製パン・製菓・冷凍食品用など業務用の需要は依然堅調です。今後は「高機能・高付加価値型マーガリン」が業界の差別化要素となります。


将来予測と注目の動向

緩やかな減少傾向に転じる可能性

世界的には、マーガリン全体の生産量は今後横ばい~緩やかな減少が予測されます。ただし、以下の点に注目すれば成長余地も存在します:

  • 発展途上国での低価格脂質需要

  • 環境配慮型マーガリン(パーム油代替など)への転換

  • 代替マーガリン(アボカドオイル、ナッツオイル)商品の台頭

持続可能性と環境対応が重要に

マーガリンの原料である植物油の生産には、土地利用、水資源、温室効果ガスなどの課題が伴います。今後は、以下のような認証や取り組みが重視されるでしょう:

  • RSPO(持続可能なパーム油)認証

  • トレーサビリティの確保と環境フットプリントの開示

  • リサイクル可能な包装材の導入

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