世界のマンゴー生産量の動向と国別比較:最新統計と今後

果物(南国)

2023年の世界のマンゴー生産量は61.11Mtで前年比+0.995%。インドが世界最大の生産国だがやや減少、中国やメキシコ、ブラジルは増加し成長中。中南米は輸出型、アジアは内需主導で構造が異なる。今後は気候変動対応と加工品・輸出向けの強化が成長のカギ。

マンゴーの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界61.11100+0.995
1インド26.2442.93-0.24
2インドネシア4.1046.717-0.504
3中国3.9956.537+2.094
4メキシコ2.7064.428+8.365
5パキスタン2.5944.246-6.773
6ブラジル2.3413.831+6.956
7マラウイ2.1313.488+5.736
8エジプト1.7152.807+4.223
9タイ1.6192.649-1.946
10バングラデシュ1.5092.469+3.873
11ベトナム1.4982.452+5.982
12ナイジェリア0.9541.562+0.189
13ケニア0.911.489+19.98
14フィリピン0.7991.308+10.53
15スーダン0.7261.188+1.152
16マリ0.6771.107+0.877
17ネパール0.5390.881+5.973
18コロンビア0.5350.876-2.083
19タンザニア0.460.752+3.36
20キューバ0.4460.73+20.48
21ペルー0.3930.643-22.78
22イエメン0.3780.619-8.416
23コンゴ民主共和国0.310.507+0.69
24マダガスカル0.3070.503+0.62
25アンゴラ0.2890.472+8.119
26ハイチ0.2230.365-15.39
27コートジボワール0.2080.34+12.13
28ギニア0.2060.337+1.175
29スリランカ0.1940.318-6.009
30グアテマラ0.1860.304+6.152
31ニジェール0.1670.274+0.259
32エチオピア0.1440.236-5.501
33ジンバブエ0.1410.231+0.115
34ベネズエラ0.1220.2-19.03
35セネガル0.1220.2+0.712
36ガーナ0.1030.169+1.103
37サウジアラビア0.0950.155+6.145
38ドミニカ共和国0.09230.151+23.93
39南アフリカ0.09220.151-21.82
40エクアドル0.07840.128-41.99
41オーストラリア0.07490.123+16.19
42カンボジア0.06650.109-0.377
43イスラエル0.0610.0999-2.489
44マレーシア0.06090.0997-7.709
45エルサルバドル0.05390.0882+36.45
46イラン0.04550.0744-1.364
47コンゴ0.0380.0621+0.46
48チャド0.03650.0598+0.608
49パラグアイ0.03440.0563-0.155
50コスタリカ0.03320.0543+9.857
51モザンビーク0.02780.0455-0.204
52シエラレオネ0.02220.0364+0.0517
53ミャンマー0.02060.0338+1.005
54ボリビア0.01760.0288-1.074
55ベナン0.01630.0268-0.364
56オマーン0.01610.0264+0.267
57ブルキナファソ0.01460.0239-0.324
58プエルトリコ0.01450.0237+12.77
59中央アフリカ共和国0.01270.0208+0.535
60ギニアビサウ0.009320.0153+0.808
61メラネシア0.009280.0152-0.162
62バヌアツ0.00760.0124-0.197
63東ティモール0.007480.0122+0.0862
64パナマ0.005810.00951-22.28
65アラブ首長国連邦0.005480.00898+20.8
66ヨルダン0.005380.00881+13.71
67ラオス0.004880.00798-0.261
68ポリネシア0.004750.00778-0.217
69ガイアナ0.004660.00762-8.862
70サモア0.004290.00702+0.209
71パレスチナ0.003990.00654-29.93
72日本0.003520.00576+0.254
73トリニダード・トバゴ0.003380.00554+6.62
74ジャマイカ0.002790.00457-0.257
75バハマ0.002660.00435-0.778
76アルゼンチン0.002240.00367+0.302
77ドミニカ0.002120.00347-0.26
78スリナム0.001640.00269+47.2
79アメリカ0.00150.00245+8.99
80ガンビア0.001450.00237+0.252
81グレナダ0.001440.00236-0.69
82アンティグアバーブーダ0.001410.00231+0.00142
83セントビンセント・グレナディーン0.001330.00217+1.142
84ソマリア0.001270.00208+1.035
85ブータン0.001130.00184+12.93
86ニューカレドニア0.0009780.0016-7.898
87カメルーン0.0008910.00146+0.162
88カーボベルデ0.0007560.00124+4.276
89セントルシア0.0007130.00117-27.24
90フィジー0.0006990.00114+13.63
91ジブチ0.0006230.00102+2.124
92ホンジュラス0.0005420.000887+3.295
93ルワンダ0.0004810.000788-57.46
94クック諸島0.0002540.000416-0.00393
95エスワティニ0.0002410.000394-52.76
96フランス領ポリネシア0.0002070.000338-8.518
97ナミビア0.000190.00031+0.127
98モロッコ0.0001690.000277+69.38
99セイシェル7.06E-50.000116-0.367
100クウェート5.33E-58.72E-5+6.22
101ベリーズ3.6E-55.89E-5+300
102モルディブ2.75E-54.49E-5+2490
103カタール1.0E-51.64E-5+42.86
マンゴーの生産量
マンゴーの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

マンゴーの現状と今後

マンゴーは「果物の王様」とも呼ばれる熱帯果実で、主にアジア、アフリカ、中南米などの温暖地域で広く栽培されています。その甘みと香り、栄養価の高さから世界的に需要が拡大しており、生鮮果実としての利用だけでなく、ジュース、乾燥果実、ピューレなど加工品としての需要も急増しています。


2023年の世界生産概況と総体的傾向

2023年における世界全体のマンゴー生産量は61.11Mt(百万トン)で、前年から+0.995%の増加という緩やかな上昇傾向が見られます。大きな成長ではないものの、各国の動向を見ると地域ごとの差異が拡大しており、特にアジアと中南米で明確な傾向の違いが出ています。


主要生産国の動向と特徴

インド(26.24Mt、前年比 -0.24%)

世界最大の生産国であり、全体の約43%を占める圧倒的なシェアを持ちます。国内需要が非常に高いため、輸出比率は比較的低め。2023年は微減ながら、長期的には安定的。気候リスク(干ばつや高温)と都市化による農地減少が今後の課題です。

インドネシア(4.104Mt、-0.504%)

東南アジア有数の生産国。国内需要に加え、加工用としての需要が高く、特に農村部での果樹栽培の1部として根付いています。前年比でやや減少していますが、天候や開花条件による1時的なブレの可能性が高いと考えられます。

中国(3.995Mt、+2.094%)

近年、生産量を急拡大させており、アジア市場への影響力が増しています。温暖な南部地域を中心に、品種改良や集約的農業によって生産性が向上。今後も国内市場の需要増と品種多様化によって、増産が見込まれます。

メキシコ(2.706Mt、+8.365%)

アメリカ市場を中心に輸出主導型の生産体制が確立されており、収益作物としての成熟度が高いのが特徴。近年の急増は、輸出需要の高まりと農業インフラの整備が影響しており、今後も成長が期待されます。

パキスタン(2.594Mt、-6.773%)

長期的に安定して高い生産を誇りますが、2023年は大幅減。これは気候災害(熱波や洪水)や労働力不足などの要因が影響していると推察されます。国内外での需要は高く、安定回復すれば再び上位に戻る可能性があります。

ブラジル(2.341Mt、+6.956%)

南米での成長株。温暖な気候と広大な土地を活かし、集約的・大規模農業による生産拡大が進んでいます。今後は欧州市場への輸出拡大も見込まれ、持続的な増加が期待されます。

マラウイ(2.131Mt、+5.736%)

アフリカでの急成長国の1つ。生産の多くは自家消費用ですが、地域内需要の高まりと輸出潜在力が注目されています。インフラ整備と収穫後の損失管理が今後の課題となります。

エジプト(1.715Mt、+4.223%)

ナイル川流域を中心に灌漑を活用した果樹栽培が展開されており、国内消費と中東向け輸出の両面で需要があります。安定成長が続いており、地域輸出の要所となりつつあります。

タイ(1.619Mt、-1.946%)

東南アジアでは歴史あるマンゴー生産国。減少は気候の不安定性によるものと見られますが、国内消費と観光関連の需要が根強く、今後はプレミアム市場への転換も視野に入ります。

バングラデシュ(1.509Mt、+3.873%)

小規模農家中心の生産体系でありながら、生産量を着実に伸ばしています。人口増と都市部での消費増により、今後も中長期的には拡大傾向が続くと予想されます。


地域別の傾向と注目点

アジア圏 ― 世界の中心軸

アジア諸国(特にインド・中国・パキスタン)は、世界全体の約70%超を占める生産量を誇ります。今後も人口増と内需の拡大によって、生産と消費の両面で中心的役割を果たすと考えられます。1方で、気候変動の影響を受けやすい地域も多く、灌漑技術や耐乾燥性品種の導入が課題です。

中南米 ― 輸出型成長モデル

メキシコ、ブラジル、ペルーなどは輸出指向の農業モデルを展開し、アメリカや欧州市場への供給拠点として成長中。インフラや冷蔵技術、品質規格の整備によって今後も競争力を保つでしょう。

アフリカ ― 潜在力と構造的課題

マラウイやエジプトなどが成長を見せていますが、農業技術や物流インフラ、ポストハーベスト(収穫後処理)の面ではまだ改善の余地があります。国際機関の支援や投資が進めば、地域内貿易や輸出の拡大が進む可能性があります。


将来予測と持続可能な成長に向けて

今後のマンゴー生産は、以下の要因を軸に成長していくと予測されます:

  • 気候変動への適応(耐乾燥性品種の開発など)

  • 輸出向け高品質品種の選抜と管理

  • 加工品需要の拡大

  • スマート農業の導入による生産効率の向上

  • サプライチェーンの強化とフードロス削減

特に、インドと中国の内需主導型の成長と、中南米の輸出主導型の拡大が世界の市場構造を変化させていくでしょう。アフリカ諸国の潜在力が引き出されれば、2030年までにマンゴーの世界生産量は70Mt超に達する可能性もあります。

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