中国が圧倒的首位:世界のプラム生産動向と今後の展望を解説

果物(南国)
生産量



プラムの世界生産は2023年に12.49Mtを記録し、中国が全体の55%を占める圧倒的な首位。東欧諸国は伝統的な用途で根強い生産が続き、チリやトルコは輸出型で存在感を示す。課題は気候変動と労働力不足だが、今後は技術導入と市場拡大で成長が見込まれる。

生産量のデータとグラフ

プラム生産量の最大と最新

世界 中国 ルーマニア ユーゴスラビア チリ セルビア トルコ イラン
最新 2023年 2023年 2023年 1991年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2022年 2019年 1969年 1969年 2019年 2007年 2023年 2019年
最新値[Mt] 12.49 6.895 0.6451 0.5497 0.4339 0.3627 0.3551 0.3548
最大値[Mt] 12.56 7 0.962 1.292 0.445 0.6806 0.3551 0.3592
前年比[%] -0.5922 -0.4094 -3.1 10.18 1.855 -25.76 1.83 6.79
全体比[%] 100 55.21 5.165 4.401 3.474 2.904 2.843 2.841

 

これまでの推移

プラムの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

プラム生産量についての推移と展望

プラムは温帯から亜熱帯地域で広く栽培される果樹であり、生食用のほか、乾燥させたプルーンやジャム、菓子原料としても重宝されています。2023年の世界の総生産量は12.49Mt(メガトン)で、前年比では-0.5922%とわずかに減少しましたが、全体としては安定した需要に支えられ、長期的には成長を続けています。

中国の圧倒的なシェアと国内需要

中国はプラム生産で世界の55.21%(6.895Mt)を占め、突出したトップ生産国です。同国では地方農家による栽培が盛んで、広大な内陸部を中心に多品種が生産されています。健康志向の高まりにより国内消費も旺盛で、輸出よりも内需中心の構造が特徴です。2023年は前年比-0.41%と微減しましたが、依然として高い水準を維持しています。

東欧諸国の伝統的な生産国としての役割

ルーマニア(0.6451Mt)や旧ユーゴスラビア地域(現セルビアなど)も、伝統的にプラムの生産が盛んな地域です。自家消費・蒸留酒(シュリヴォヴィッツ)用としての需要が根強く、農業の文化的背景と密接に結びついています。特にユーゴスラビア(0.5497Mt)は前年比10.18%増と回復傾向が見られますが、セルビアは-25.76%と大幅減で、天候や労働力不足が影響したと考えられます。

南米・中東における台頭と輸出志向

チリ(0.4339Mt)やトルコ(0.3551Mt)、イラン(0.3548Mt)は、比較的温暖な気候を背景に品質の良いプラムを生産しており、主に海外市場向けに輸出志向の強い栽培体系を持っています。チリやトルコでは乾燥プルーンの輸出が経済の一部を支えており、輸出競争力の維持が焦点です。これらの国々は気候変動や水資源管理の課題を抱えつつも、収益性の高い作物として栽培面積の拡大が進むと見られます。

今後の課題と展望

プラム生産は世界的に見ると分散しており、多様な消費文化と結びついています。しかし課題も多く、気候変動による開花不順や果実の裂果、病害虫(シンクイムシなど)の被害が顕在化しつつあります。また、収穫や選果に人手がかかるため、高齢化や労働力不足が深刻な地域では栽培継続が困難になるケースもあります。

将来的には、高収量・耐病性のある品種の開発、ドローンやセンサーを活用したスマート農業技術の導入により、収量の安定と品質向上が図られるでしょう。中国のシェアが今後も高止まりする一方で、ルーマニアやイラン、トルコなどの中規模生産国が輸出競争で存在感を強める可能性があります。

 

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