世界のブルーベリー生産の現状と主要国別の課題と今後の展望を解説

2023年の世界のブルーベリー生産量は1.221Mtで、前年比-6.409%となり、特にペルーとカナダの減少が目立ちます。アメリカが最大の生産国であり、市場の主導権を握っていますが、気候変動や需給バランスが課題です。メキシコやモロッコは成長を見せており、今後の需要増加が期待されます。持続可能な農業技術の導入が重要な課題です。

ブルーベリーは、近年健康志向の高まりと共に人気を博し、スーパーフードとしての需要が増加しています。1961年から2023年にかけて、世界のブルーベリー生産量は着実に増加してきましたが、2023年には1.221Mt（メガトン）に達し、前年比で-6.409%の減少を記録しました。この減少は、一部国々での収穫量の減少、気候変動の影響、そして供給過剰による需給バランスの調整が影響しています。

ブルーベリーの生産国ではアメリカが圧倒的なシェアを持っており、その影響力は大きいですが、近年はペルーやメキシコ、モロッコなど新興国の台頭が見られます。これにより、世界の生産地図は少しずつ変化しています。

国別のブルーベリー生産の現状と特徴

アメリカ（0.3337Mt、前年比 -5.17%、シェア27.33%）

アメリカは世界最大のブルーベリー生産国であり、主にワシントン州、オレゴン州、ミシガン州、ジョージア州などで栽培されています。アメリカのブルーベリー市場は成熟しており、国内消費だけでなく、輸出も重要な役割を果たしています。2023年は生産が減少しましたが、これは天候不順や供給過剰による調整が影響していると考えられます。今後は品質向上と持続可能な栽培技術が求められるでしょう。

ペルー（0.2294Mt、前年比 -21.6%、シェア18.79%）

ペルーは近年ブルーベリーの輸出国として急成長を遂げた国です。特にアメリカ市場への輸出が好調でしたが、2023年には前年比で大幅な減少を記録しました。この減少は、過剰供給や輸送の遅延、さらに気候変動による影響が考えられます。それでも、ペルーのブルーベリー生産は今後も成長を見込まれており、持続可能な農業方法と品質管理の強化が進むことが予想されます。

カナダ（0.167Mt、前年比 -10.11%、シェア13.68%）

カナダは主にケベック州とノバスコシア州でブルーベリーを栽培しています。カナダのブルーベリー生産は主に冷凍加工用が多く、国内消費とともに輸出も盛んです。しかし、2023年は天候や病害虫の影響で減収が見られました。気候変動への対応と、冷凍ブルーベリーの品質向上が今後の課題となるでしょう。

チリ（0.1215Mt、前年比 -0.7968%、シェア9.95%）

チリは、南半球での季節的な優位性を生かし、早期のブルーベリーの供給を行っているため、特に北半球向けの輸出が強い国です。2023年はわずかな減少に留まりましたが、チリ産ブルーベリーの品質は高く、安定した需要が見込まれます。今後は生産の安定性と持続可能な農業の推進が重要です。

メキシコ（0.08013Mt、前年比 +19.88%、シェア6.565%）

メキシコはブルーベリー生産の新興国であり、近年急速にシェアを拡大しています。2023年には前年比で約20%増加しました。これにより、メキシコは世界市場における重要な供給源となりつつあります。メキシコのブルーベリーは品質が高く、主にアメリカ市場に輸出されています。今後も生産の拡大が期待される国です。

モロッコ（0.06212Mt、前年比 +18.1%、シェア5.089%）

モロッコは近年、ブルーベリーの生産が急成長しています。温暖な気候と水資源をうまく活用し、ヨーロッパ向けの輸出が増加しています。2023年には大幅な成長を見せ、今後もさらなる成長が見込まれます。品質と収穫時期の安定が今後の鍵となるでしょう。

ポーランド（0.0619Mt、前年比 -3.281%、シェア5.071%）

ポーランドは主に冷凍ブルーベリーの生産を行っており、EU内での消費が大きい市場です。2023年はわずかに減少しましたが、依然としてヨーロッパ市場で強い地位を維持しています。気候変動への対応と生産性の向上が今後の課題です。

ブルーベリー栽培における世界的課題

1. 気候変動の影響ブルーベリーは温暖な気候を好みますが、過剰な暑さや異常気象が収量に大きな影響を与える可能性があります。特に生産国の多くが温暖地域に集中しているため、気候変動への適応が急務です。

2. 供給過剰と需給バランスブルーベリーは人気の果物ですが、過剰供給が価格を不安定にさせ、農家の収益に影響を与えることがあります。特に新興国での生産拡大が供給過剰を引き起こす可能性があります。

3. 病害虫の蔓延ブルーベリー栽培は、特に湿度が高い地域では病害虫（例えばうどんこ病や根腐れ病）に悩まされることがあります。これらの問題に対応するための農薬の使用と、持続可能な栽培方法の開発が重要です。

4. 労働力の不足特に収穫時期において労働力不足が問題となっています。新技術やロボット化による自動収穫の導入が期待されていますが、普及には時間がかかる可能性があります。

今後の予測と展望

• 新興国の台頭　メキシコやモロッコは、安定した気候条件と労働力の豊富さから、ブルーベリー生産における重要なプレーヤーとして成長を続けるでしょう。

• 持続可能な栽培方法の普及　環境への負荷を減らすために、オーガニック栽培や水資源を節約する農法がさらに広がることが予想されます。

• 輸送インフラの改善　新興国での生産が増加する中、輸送インフラの整備が必要です。これにより、鮮度を保ちながら効率的に市場に供給できるようになります。

まとめ

ブルーベリー生産は、これからも世界的に重要な産業であり続けるでしょう。しかし、気候変動や需給バランス、病害虫の管理など、さまざまな課題が立ちはだかっています。今後、品質の安定化と持続可能な農業の推進が成長の鍵となります。特にメキシコやモロッコなどの新興国が今後の市場において重要な役割を果たすことが予想されます。