世界のビーンズ生産動向:中国・エチオピアが二大拠点に

ナッツ類

2023年の世界のビーンズ生産量は6,074ktで微減傾向。中国が最大生産国で、エチオピアやイギリスなどで増産が見られる一方、ドイツやエジプトは減産。今後は植物性たんぱく質需要の拡大や環境農政を背景に、一部地域での増産が予想されるが、気候リスクも大きな課題。

ビーンズの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[kt]全体比[%]前年比[%]
世界6074100-0.765
1中国169927.97+0.214
2エチオピア115619.03+3.898
3イギリス685.311.28+7.869
4オーストラリア63510.46-1.739
5フランス216.33.562+37.04
6リトアニア190.63.138-9.539
7スーダン179.72.958+3.862
8ドイツ175.32.886-29.74
9エジプト100.31.652-19.82
10イタリア99.811.643+1.495
11ポーランド94.531.556-7.658
12ペルー80.861.331-7.117
13デンマーク74.231.222-27.93
14ラトビア73.91.217-20.88
15アイルランド72.411.192+22.83
16チュニジア69.151.138+8.041
17アルジェリア49.840.821+11.62
18スウェーデン47.740.786-38.55
19モロッコ44.690.736+19.98
20メキシコ28.260.465+20.18
21グアテマラ28.150.463+1.362
22スペイン27.570.454+33.51
23エストニア24.460.403-13.35
24シリア21.940.361+12.97
25イラン17.550.289-0.924
26アルゼンチン17.340.285-0.806
27ウズベキスタン16.050.264-0.629
28パラグアイ15.050.248+0.144
29オーストリア14.520.239+2.687
30ボリビア130.214+0.0158
31フィンランド11.20.184-41.58
32ブラジル10.370.171-14.2
33コロンビア9.2890.153+72.15
34ルーマニア7.460.123+0.134
35ドミニカ共和国6.5840.108-14.8
36トルコ6.4580.106-3.41
37ロシア6.1590.101+4.774
38オランダ5.960.0981-61.2
39ネパール5.5720.0917-0.0257
40イエメン5.4570.0899-4.208
41クロアチア5.230.0861+60.92
42ギリシャ3.660.0603-71.23
43ポルトガル3.590.0591
44ベルギー3.540.0583-37.12
45チェコ2.860.0471-8.333
46ウクライナ1.90.0313-54
47イラク1.4960.0246-21.03
48エクアドル1.4570.024-31.98
49スイス1.3570.0223-31.22
50シエラレオネ1.3110.0216+1.457
51ウルグアイ0.6960.0115+0.375
52ガイアナ0.6710.011+3.55
53ハンガリー0.640.0105+128.6
54カメルーン0.3910.00643-0.314
55エリトリア0.3140.00517+0.58
56パレスチナ0.2960.00487-5.517
57レバノン0.2870.00472-23.84
58リビア0.2130.00351-13.7
59キプロス0.210.00346+10.53
60アルバニア0.2080.00343+0.0914
61ジャマイカ0.2070.00341-15.16
62アゼルバイジャン0.110.00181-5.978
63日本0.09610.00158-0.476
64ルクセンブルク0.080.00132-57.89
65マルタ00
ビーンズの生産量
ビーンズの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

ビーンズの現状と今後

2023年の世界全体のビーンズ生産量は6,074千トン(kt)で、前年比ではわずかに0.765%の減少となりました。1961年からの長期的な視点で見ると、ビーンズ生産は全体的に増加傾向を維持してきましたが、ここ数年は気候変動の影響作付面積の縮小、または他作物との競合により、増加率にやや陰りが見られます。

また、ビーンズはタンパク質源としてだけでなく、土壌改良作物(窒素固定)としての役割もあるため、持続可能な農業システムの中でも注目されています。そのため、各国での生産方針や農政によって増減の振れ幅が比較的大きい作物でもあります。


主要生産国別の現状と特徴

中国(1,699kt、前年比+0.214%)

中国は世界最大のビーンズ生産国であり、安定的な供給力を維持しています。年間の変動は小さく、政府の作付管理や内需バランスに基づいた生産体制が整備されていると考えられます。国内の消費は豆腐・味噌・発酵食品など多様な用途があり、今後も堅調な需要が見込まれます。

エチオピア(1,156kt、前年比+3.898%)

アフリカにおける最大のビーンズ生産国であり、地元消費と輸出の両方に対応した生産体制が存在します。気候や農業慣行が豆類の生育に適しており、今後も生産量の漸増が続くと予想されます。特に小規模農家による生産が多く、地場産業との関連も深いです。

イギリス(685.3kt、前年比+7.869%)

欧州で近年急速に生産量を伸ばしている国のひとつです。環境重視型農業政策の1環として、窒素肥料の使用削減に寄与する豆類の栽培が奨励されている可能性があります。ビーンズは国内でのベジタリアン食品需要に応じて消費が広がっており、今後も増産傾向が続くと予測されます。

オーストラリア(635kt、前年比-1.739%)

広大な農地を活かした機械化栽培が特徴ですが、2023年はわずかに減産。これは干ばつなどの気象リスクが影響した可能性があります。近年ではアジア向け輸出を重視した豆類戦略が進められており、今後の回復が期待されます。


中位〜小規模生産国の動向

フランス(216.3kt、前年比+37.04%)

前年から大幅な増加を記録しており、これは気候条件の好転や、EUのグリーンディール政策下での作物多様化支援が影響した可能性が高いです。環境意識の高い農家を中心に、ビーンズなどの窒素固定作物が拡大しています。

リトアニア(190.6kt、前年比-9.539%)

バルト3国の中でも農業依存度が高いリトアニアでは、天候や国際価格の影響を受けやすく、2023年は約10%の減少となりました。他の穀物作物(麦類など)との競合作付が増減要因として働いていると考えられます。

スーダン(179.7kt、前年比+3.862%)

スーダンでは、豆類は主に自国の食料自給のために生産されており、地理的にも雨季に依存する農業構造のため、年によって大きな変動がある中、2023年は穏やかな増加を記録しました。気候変動への耐性が課題です。

ドイツ(175.3kt、前年比-29.74%)

大幅な減産となったドイツでは、2023年の干ばつや収穫期の天候不順が原因と見られます。また、価格低迷や収益性の低さも影響し、生産意欲がやや低下した可能性があります。将来的な回復には政策支援が不可欠です。

エジプト(100.3kt、前年比-19.82%)

灌漑に依存する農業構造のもと、年ごとの水利用制限がビーンズ生産に強く影響を与えています。2023年は灌漑用水の確保が難しかった年と考えられ、2割近い減少となりました。水資源とのバランスが今後の鍵です。

イタリア(99.81kt、前年比+1.495%)

気候に恵まれた南欧に位置するイタリアでは、比較的安定した生産が続いています。国産ビーンズのブランド化や地域特産品としての活用が進んでおり、今後も品質重視の生産スタイルが中心となるでしょう。


今後の展望とグローバルトレンド

ビーンズの将来的な生産トレンドには以下の要素が大きく影響すると考えられます。

  1. 植物性たんぱく質の需要拡大 ビーンズは動物性たんぱく質に代わる栄養源として注目されており、プラントベース食品市場の拡大とともに需要が増すと予測されます。

  2. 環境重視の農業政策 欧州を中心に、窒素固定作物としてのビーンズの価値が再評価されており、農政の支援対象として増産が進む可能性があります。

  3. 気候変動と水資源 生産の持続可能性は、灌漑に依存する地域にとっては特にリスク要因となりうるため、乾燥耐性品種や栽培技術の革新が必要です。

  4. 技術革新と作付効率 精密農業やスマート灌漑技術の導入により、生産効率の向上が期待され、特に中小規模国にとっては競争力の源泉となるでしょう。

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