世界のパイナップル生産動向:主産地の特徴と今後の展望を徹底解説

果物
生産量



世界のパイナップル生産量は2023年に29.64Mtに達し、主にインドネシア、フィリピン、コスタリカが牽引しています。生産は近年安定していますが、労働環境、土地利用、気候変動などの課題も抱えています。国別に特徴があり、今後は気候変動対策と持続可能性への対応が鍵となります。

生産量のデータとグラフ

パイナップル生産量の最大と最新

世界 インドネシア フィリピン コスタリカ 中国 ブラジル インド ナイジェリア
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2023年 2022年 2023年 2018年 2019年 2007年 2015年 2020年
最新値[Mt] 29.64 3.157 2.944 2.938 2.469 2.387 1.828 1.616
最大値[Mt] 29.64 3.204 2.944 3.418 2.59 2.676 1.984 1.632
前年比[%] 0.2112 -1.473 1.024 12.19 3.475 1.299 -1.243 0.3378
全体比[%] 100 10.65 9.935 9.913 8.33 8.056 6.168 5.451

 

これまでの推移

パイナップルの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

パイナップル生産量についての推移と展望

パイナップルは熱帯果物の代表格で、世界各国で消費・生産される重要な果物です。1961年からのデータを見ると、生産量は着実に伸びており、2023年には29.64Mt(メガトン)に達しています。世界全体では前年比0.2112%とわずかに増加し、安定した成長を維持しています。

この緩やかな増加は、成熟市場における需要の頭打ちと、気候変動の影響を反映しています。過去数十年でパイナップルは加工食品やジュース、輸出品としての重要性を増しており、熱帯地域を中心に広範に生産されています。


国別の生産動向と特徴

インドネシア(3.157Mt、前年比 -1.473%、シェア10.65%)

インドネシアは現在世界最大の生産国ですが、前年比ではやや減少しました。これは気候の変動や収益性の低下、農地の他用途への転換などが背景にあります。国内消費と輸出の両面で安定需要があり、政府も果樹栽培の支援を行っています。

フィリピン(2.944Mt、前年比 1.024%、シェア9.935%)

フィリピンは世界有数のパイナップル輸出国で、特にドール社やデルモンテ社の大規模農園がミンダナオ島を中心に存在しています。労働集約型の生産方式が課題ですが、安定した輸出先を持ち、今後も高い生産量を維持する見通しです。

コスタリカ(2.938Mt、前年比 12.19%、シェア9.913%)

コスタリカは急成長中の生産国で、特にEUや米国向けの輸出が活発です。前年比12%以上の増加は、生産効率の改善や新規農地開発による成果です。一方で、農薬使用や労働問題への批判も強く、持続可能性への対応が急務です。

中国(2.469Mt、前年比 3.475%、シェア8.33%)

中国は広東省や海南島などでの栽培が中心で、内需を主な生産目的としています。近年は気候に強い品種の開発や、スマート農業の導入が進み、安定成長を続けています。輸出にはあまり依存していませんが、国内市場の強さが支えです。

ブラジル(2.387Mt、前年比 1.299%、シェア8.056%)

ブラジルでは中小規模の農家が多数存在し、多様な地域で生産されています。地元消費向けが中心で、他国と比べて輸出志向は低いものの、国内市場の規模が大きいため安定した生産量を維持しています。

インド(1.828Mt、前年比 -1.243%、シェア6.168%)

インドは北東部のアッサム州や南部のケーララ州を中心に栽培されており、主に国内消費向けです。年ごとの変動が大きく、天候や農業政策に左右されやすい面があります。近年は収益性の低さから他作物への転換も進んでいます。

ナイジェリア(1.616Mt、前年比 0.3378%、シェア5.451%)

ナイジェリアでは地場消費が中心で、主に小規模農家による手作業の栽培が主流です。インフラ整備の遅れや市場アクセスの問題が課題で、生産量の大幅な伸びは期待しづらい一方、人口増加による需要は続く見込みです。


世界のパイナップル生産における問題点

  1. 労働問題と賃金格差 一部の大規模農園では過酷な労働環境や低賃金、長時間労働が問題視されています。

  2. 農薬使用と環境負荷 特に輸出向け大規模農園では除草剤や化学肥料の使用が多く、土壌汚染や周辺環境への悪影響が報告されています。

  3. 土地利用と森林破壊 新規農地開発のための森林伐採や生態系への影響も深刻な課題です。

  4. 気候変動の影響 旱魃や豪雨などの異常気象は収量に直接影響し、特に熱帯果樹栽培にとっては重大なリスクです。


今後の展望と予測

  • 技術革新とスマート農業の普及 気候に強い品種の導入、ドローンやAIによる管理が進めば、生産の安定化が期待されます。

  • 持続可能性へのシフト 国際的な規制や消費者意識の変化により、持続可能な農業認証や環境配慮型の生産が求められます。

  • 新興国市場の拡大 アフリカやアジアの新興市場での需要拡大が、生産の地理的分散と安定化に寄与するでしょう。


まとめ

パイナップル生産は一見順調に見えるものの、背景には多くの構造的課題が存在します。インドネシア、フィリピン、コスタリカといった主要国が生産を牽引していますが、環境保護や労働問題の対応が不可欠です。今後は技術革新と持続可能な農業への転換が、世界の果物市場におけるパイナップルの地位を左右するでしょう。

 

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