バナナの世界生産量の推移と今後の見通し【最新版分析】

果物

2023年のバナナ世界生産量は139.3Mtで前年比+2.784%。インドや中国が自国内需中心で生産を牽引し、エクアドルなどは輸出主導で成長中。今後は人口増による需要拡大が見込まれる一方、病害と気候変動への対応が生産持続の鍵となる。

バナナの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界139.3100+2.784
1インド36.6126.29+6.041
2中国12.068.661-0.545
3インドネシア9.3356.703+0.971
4ナイジェリア7.3085.247-8.831
5エクアドル7.1985.168+17.57
6ブラジル6.8264.901-1.408
7フィリピン5.8714.216-0.48
8アンゴラ4.8943.514+6.637
9グアテマラ4.3913.152-1.89
10タンザニア3.6742.638+1.646
11ケニア2.9072.087+41.62
12メキシコ2.6421.897+1.902
13ベトナム2.6391.895+5.854
14コロンビア2.5541.834+1.291
15コスタリカ2.5331.819+1.551
16ペルー2.4161.735-0.391
17ルワンダ2.3091.658+4.543
18ドミニカ共和国1.6551.188+18.44
19タイ1.2970.931+0.913
20メラネシア1.2830.921+0.931
21パプアニューギニア1.250.898+0.75
22エジプト1.1940.858-1.5
23ブルンジ1.1490.825+7.033
24スーダン0.9470.68-0.0313
25エチオピア0.9380.673-21.35
26トルコ0.930.668-6.719
27カメルーン0.8650.621-4.261
28バングラデシュ0.840.603+1.717
29コンゴ民主共和国0.810.581+0.159
30ラオス0.7240.52-1.887
31マリ0.5640.405+7.529
32ホンジュラス0.5640.405+0.196
33ベネズエラ0.5420.389+2.538
34コートジボワール0.5140.369+4.345
35スペイン0.4670.335+33.94
36南アフリカ0.4290.308-14.6
37ネパール0.4050.291+27.44
38マラウイ0.4030.289+0.576
39マダガスカル0.4020.289+0.234
40カンボジア0.3780.272-5.405
41オーストラリア0.3740.269+33.26
42パナマ0.3730.267-5.688
43モザンビーク0.3710.267-20.39
44ジンバブエ0.3110.223+3.389
45モロッコ0.3090.222-7.576
46ボリビア0.3060.219-0.862
47パキスタン0.2920.21+35.37
48マレーシア0.2780.2-15.86
49キューバ0.2460.177+3.582
50ギニア0.2340.168+0.00623
51ハイチ0.2230.16-3.316
52フランス0.2120.153-5.795
53イスラエル0.1920.138+4.918
54アルゼンチン0.1770.127+0.093
55パラグアイ0.1740.125-53.27
56リベリア0.1440.103+0.296
57イラン0.1350.097-0.41
58イエメン0.1310.0942-3.966
59ガーナ0.1130.0809+2.045
60プエルトリコ0.1020.0735-2.477
61ニカラグア0.09060.0651+1.151
62コンゴ0.08940.0642+0.498
63レバノン0.08230.0591-0.95
64コモロ0.07970.0572-1.492
65ジャマイカ0.07150.0514-1.807
66ベリーズ0.06720.0483-22.03
67ヨルダン0.06250.0449+38.19
68セントビンセント・グレナディーン0.05870.0421+0.755
69中央アフリカ共和国0.05870.0421-2.168
70ブルキナファソ0.04710.0338+1.616
71セネガル0.03610.026+0.398
72赤道ギニア0.03140.0225-0.308
73ポルトガル0.0310.0222+8.855
74トーゴ0.02540.0182+0.605
75ポリネシア0.02410.0173-0.247
76ソマリア0.02360.017-0.00652
77サウジアラビア0.02270.0163+1.347
78サモア0.02260.0162-0.261
79ベナン0.02070.0149-0.265
80ガイアナ0.0190.0136+1.734
81エスワティニ0.01860.0134-31.02
82オマーン0.01840.0132+0.0271
83ガボン0.01830.0131+0.754
84バヌアツ0.01770.0127+0.951
85エルサルバドル0.01310.00943-3.987
86フィジー0.01240.00888+22.46
87ドミニカ0.01150.00828+0.11
88モーリシャス0.01120.00807+14.42
89バハマ0.01060.00759+0.687
90ギニアビサウ0.008560.00615-0.4
91キリバス0.007540.00542+0.549
92キプロス0.006010.00432+2.385
93サントメ・プリンシペ0.005360.00385-9.321
94カーボベルデ0.004160.00299-10.07
95セントルシア0.003760.0027-46.41
96アメリカ0.003540.00254+0.601
97トリニダード・トバゴ0.003370.00242-0.299
98スリナム0.002670.00192-45.6
99ブータン0.002350.00169+9.787
100グレナダ0.002160.00155-15.6
101ミクロネシア0.002040.00147+0.00882
102セイシェル0.0020.00144+0.177
103ニューカレドニア0.001970.00141+4.639
104ブルネイ0.001880.00135+12.45
105パレスチナ0.001770.00127-51.59
106ギリシャ0.001380.000991-6.757
107シリア0.001330.000956+576.1
108トンガ0.0008520.000612-0.664
109バルバドス0.0007190.000516+177.6
110ザンビア0.0006890.000495+0.00871
111モルディブ0.0005130.000368+136
112東ティモール0.0004830.000347-26.52
113ソロモン諸島0.0003190.000229+0.264
114アラブ首長国連邦0.0003080.000221+19.05
115ツバル0.0003010.000216+2.418
116フランス領ポリネシア0.0002640.00019-0.744
117アルジェリア0.0002350.000169-0.815
118ニウエ島8.22E-55.9E-5+0.207
119日本1.79E-51.29E-5-1.862
120トケラウ1.6E-51.15E-5+0.125
121クック諸島5.01E-63.6E-6
122アンティグアバーブーダ4.83E-63.47E-6-31.39
123ルーマニア00
124ルクセンブルク00
125リトアニア00
126ラトビア00
127マルタ00
128ポーランド00
129ベルギー00
130ブルガリア00
131フィンランド00
132ハンガリー00
133ドイツ00
134デンマーク00
135チェコ00
136スロベニア00
137スロバキア00
138スウェーデン00
139クロアチア00
140オーストリア00
141オランダ00
142エストニア00
143イタリア00
144アイルランド00
バナナの生産量
バナナの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

バナナの現状と今後

2023年の世界のバナナ総生産量は139.3Mt(メガトン)で、前年から+2.784%の増加を記録しました。バナナは世界で最も生産量の多い果物の1つであり、生鮮果実・主食代替・輸出品・加工品の原料など多様な役割を果たしています。

この139Mtのうち、上位10か国で全体の約70%を占めており、特にインドや中国など人口大国が上位に入っている点が注目されます。また、南米やアフリカからはエクアドルやアンゴラなど、輸出志向または自給的生産の色が強い国々が名を連ねています。


最大生産国・インドの独自性

インド(36.61Mt、前年比 +6.041%)

インドは世界最大のバナナ生産国であり、世界全体の約26%を占める圧倒的なシェアを有しています。その多くは国内消費に充てられており、輸出は限定的です。バナナはインドにおいて米や小麦と並ぶ日常的な食品であり、特に南インドでは主食の1部としての役割もあります。

2023年の生産増(+6.041%)は、気象条件の安定、灌漑設備の普及、病害管理の強化などによるものと考えられます。今後もインドの人口増・需要増を背景に、引き続き堅調な増加が期待されます。


中国・インドネシア:アジアの生産と消費の両輪

中国(12.06Mt、前年比 -0.545%)

中国は世界第2位のバナナ生産国で、主に南部の熱帯地域(広西、雲南など)で生産されています。2023年は微減でしたが、これは洪水・寒波・病害など地域的な天候要因の可能性が高いと考えられます。

中国では輸入依存度が高い時期もありましたが、現在では国内自給率向上政策の1環としての増産努力が継続されています。将来は、品質向上と流通インフラの整備による市場拡大がカギとなります。

インドネシア(9.335Mt、+0.971%)

インドネシアは赤道直下の豊かな熱帯環境を活かして、安定したバナナ生産を行っており、ローカルな市場中心の自給型生産が主流です。2023年も堅調に増加しており、今後も国内人口増・都市化に伴う食料需要の拡大が背景となって、生産は右肩上がりで推移すると見込まれます。


ラテンアメリカとアフリカの多様なモデル

エクアドル(7.198Mt、前年比 +17.57%)

エクアドルは世界有数のバナナ輸出国であり、アメリカ・ヨーロッパ向けの主要供給国です。2023年の大幅な増加(+17.57%)は、国際需要の回復、インフラ投資、気象条件の好転によるものとみられます。

エクアドルのように輸出志向の高い国では、国際市場価格や物流体制の変動が直接的に生産量に影響します。将来的には、気候変動や新たな病害(例:TR4)への耐性品種導入が安定供給の鍵となります。

ブラジル(6.826Mt、前年比 -1.408%)

ブラジルは国内消費を中心とした生産体制ですが、2023年は微減。これは降雨の不足や1部病害の影響が考えられます。中長期的には、アマゾン以外の農地利用拡大と輸出対応インフラの整備が成長余地を広げる要因となるでしょう。

グアテマラ・アンゴラ・ナイジェリア・タンザニア

これらの国々はいずれも地域ごとの特色が見られます:

  • グアテマラ(4.391Mt、-1.89%) 中米地域の輸出国。輸送コストや病害リスクの影響を受けやすい。

  • アンゴラ(4.894Mt、+6.637%) アフリカ南西部でバナナ栽培が急拡大中。主に国内消費型。

  • ナイジェリア(7.308Mt、-8.831%) 大幅減少の背景には、政情不安・農業インフラ未整備があると推察されます。

  • タンザニア(3.674Mt、+1.646%) 東アフリカでの栽培は安定傾向。地場品種の多様性と低コスト栽培が強み。


バナナ生産の今後の展望(〜2030年)

需要増と生産構造の変化

世界人口の増加、都市化の進行、生活水準の向上により、バナナの需要は安定的に増加していくと見込まれます。特に新興国における果物需要の伸びが顕著で、バナナはその中でも価格が安く、流通しやすい果実として優位です。

病害リスクへの対応

バナナ生産の将来にとって最大のリスク要因は、パナマ病(TR4)などの土壌病害です。現在主流のキャベンディッシュ種は遺伝的多様性が乏しく、感染拡大への脆弱性が指摘されています。各国では耐病性品種の開発と導入が急がれており、それが成否の分かれ目になります。

気候変動と持続可能性

熱帯果樹であるバナナは、気候変動の影響を受けやすい作物です。異常高温・豪雨・干ばつなどが生産量に直結します。将来的には、持続可能な農業(低農薬・灌漑の効率化)と輸送インフラの整備が求められます。

地域別展望

  • アジア(インド・中国・東南アジア):内需中心に生産増が継続

  • ラテンアメリカ(エクアドル・グアテマラ):輸出特化型で国際競争力を維持

  • アフリカ(アンゴラ・タンザニア):成長余地大。農業政策次第で飛躍も可能

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