世界のハイド生産量の動向と主要生産国の特徴:今後の展望と課題

天然素材

2023年の世界のハイド生産量は1.458Mtで前年比+1.858%増。インドや中国、パキスタンが伸長し、特に中国は+4.79%の成長。ネパールやエジプトでは大幅な減少も見られ、地域差が拡大中。将来はアジアを中心に増産が続くと予想される一方、環境規制や産業構造の転換が課題となる。

ハイドの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界1.458100+1.858
1インド0.98567.58+2.759
2中国0.21814.92+4.79
3パキスタン0.15910.88+2.954
4エジプト0.02381.631-6.013
5ネパール0.01961.342-39.97
6ベトナム0.01260.862+2.58
7フィリピン0.007460.512-2.894
8ミャンマー0.003910.268+1.225
9インドネシア0.003650.251+4.692
10ラオス0.003190.219+1.406
11ベネズエラ0.003060.21+1.004
12バングラデシュ0.002790.191+0.796
13スリランカ0.002460.169-1.086
14タイ0.002250.155-10.46
15トルコ0.00210.144+13.25
16コロンビア0.001960.135+38.78
17カンボジア0.00170.116-0.974
18イラク0.001160.0794+3.462
19イラン0.0008520.0584-24.28
20マレーシア0.0004020.0276-19.48
21東ティモール0.0001190.00815+6.148
22ブルネイ8.28E-50.00568-10.24
23シリア3.82E-50.00262-36.74
24ブータン2.65E-50.00182+2.597
25トリニダード・トバゴ1.35E-69.26E-5-27.42
ハイドの生産量
ハイドの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

ハイドの現状と今後

2023年の世界全体のハイド生産量は1.458Mt(メガトン)となり、前年比で+1.858%の増加を記録しました。これは近年続いた停滞基調からの回復傾向を示す可能性があり、主にアジア地域における需要回復や畜産業の回復が背景にあると推測されます。


主要生産国別の特徴と変化

インド(0.985Mt、+2.759%)

世界のハイド生産量の約68%を占める最大の生産国。豊富な家畜資源と国内需要の強さが背景にあり、特に牛・水牛・ヤギの皮革利用が盛んです。宗教的な制約もある中で、加工技術や輸出志向の強化が生産維持を支えています。

中国(0.218Mt、+4.79%)

経済回復に伴い、皮革製品(靴、鞄、家具など)の国内需要が拡大。輸出用の皮革原料としての活用もあり、生産量が前年比で最も大きな伸びを示しています。飼育頭数の回復や加工業との連携も寄与していると考えられます。

パキスタン(0.159Mt、+2.954%)

伝統的に皮革産業が盛んで、特にイスラムの祝祭(イード)での家畜屠殺に伴う副産物としてのハイド生産が特徴。都市部を中心に皮革加工業が存在しており、安価で労働集約的な生産構造が維持されています。

エジプト(0.0238Mt、-6.013%)

前年比マイナスとなった代表国のひとつ。経済的混乱や輸送・保管インフラの制約、家畜の減少が要因と考えられます。中東・アフリカ向け輸出需要も減退した可能性があります。

ネパール(0.0196Mt、-39.97%)

急激な減少が見られる国。畜産の縮小、都市化の進行、宗教的背景による屠殺制限の強化などが複合的に影響していると考えられます。また加工施設の老朽化や労働力流出も要因の1つでしょう。

ベトナム(0.0126Mt、+2.58%)

生産量は小規模ながら増加傾向。加工品輸出に特化した製靴産業などが伸びており、皮革素材の確保と地域供給が結びついています。今後も安定的に成長が期待されます。

フィリピン(0.00746Mt、-2.894%)

近年は農業と畜産業の縮小、工業化の影響が強まり、ハイド生産も縮小傾向。皮革関連産業の未発展さも背景にあります。

ミャンマー(0.00391Mt、+1.225%)

政治・経済の混乱が続く中でも微増しており、地方農村部での自給的畜産活動が1定の供給力を維持していると考えられます。

インドネシア(0.00365Mt、+4.692%)

近年は畜産業の近代化とともに、副産物としてのハイド生産も増加傾向。靴・バッグ製造業との連携が進んでいる点も注目です。

ラオス(0.00319Mt、+1.406%)

ラオスは小規模ながら安定成長を示しています。伝統的な農村畜産に依存しており、地元需要に支えられた供給が特徴です。


全体傾向と背景要因

  • アジア諸国の生産集中:上位10か国中、8か国がアジア。これは人口・家畜頭数の多さと畜産副産物としての利用文化によるものです。

  • 宗教的・文化的制約:インドやネパールなどでは、宗教上の理由で牛の屠殺が制限され、地方差・時期差が生産に大きく影響します。

  • 経済情勢との連動:原皮(ハイド)は畜産や食肉処理と直結するため、経済成長や肉需要が増えると自動的に供給が増える構造にあります。

  • 都市化・環境規制の影響:都市化による畜産減少や、加工時に発生する汚染対策費の増大は、生産のボトルネックとなりつつあります。


将来予測と展望

インド・中国を中心とした拡大傾向の継続

インドと中国は引き続きアジア最大の供給源であり、人口増加・都市化・革製品需要の高まりを背景に、緩やかな増加が見込まれます。

地域格差の拡大

成長を続ける国と、構造的停滞・縮小に入る国の2極化が進むと予想されます。特にネパールのような急減国は産業構造の転換が必要です。

環境規制の強化と技術革新の影響

今後は環境への配慮から、汚染度の高い皮革加工のあり方が再検討され、再利用技術や人工皮革との競争も激化します。その影響で原皮生産の質や収益性が問われることになるでしょう。


まとめ

2023年のハイド生産量は世界全体で1.458Mtと前年より1.858%増加し、特にインド・中国・パキスタンでの生産拡大が顕著でした。1方でネパールの急減やエジプト・フィリピンの減少など、地域差が際立つ結果となっています。今後はアジアを中心とした成長の持続とともに、環境対策・供給構造の変革への対応が求められます。

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