2023年の世界のスイカ生産量は104.9Mtで、中国が61%を占め圧倒的。インドやアルジェリアが急増する一方、トルコやブラジルは減少。水資源不足や気候変動が課題だが、健康志向と品種改良により今後も需要と供給は堅調と見込まれる。
生産量のデータとグラフ
スイカ生産量の最大と最新
世界 | 中国 | インド | トルコ | アルジェリア | ブラジル | ロシア | アメリカ | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2002年 | 2023年 | 2017年 | 2018年 | 1996年 |
最新値[Mt] | 104.9 | 63.96 | 3.626 | 3.148 | 2.507 | 1.782 | 1.77 | 1.683 |
最大値[Mt] | 104.9 | 63.96 | 3.626 | 4.575 | 2.507 | 2.313 | 1.97 | 1.938 |
前年比[%] | 1.833 | 1.268 | 9.613 | -7.272 | 20.87 | -7.814 | 8.238 | 3.809 |
全体比[%] | 100 | 60.95 | 3.456 | 3 | 2.389 | 1.698 | 1.687 | 1.604 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
スイカ生産量についての推移と展望
スイカ(Citrullus lanatus)はアフリカ原産の果物で、古代エジプトでも栽培されていた記録があり、世界最古の栽培植物の一つとされています。20世紀後半からは温暖地域を中心に急速に商業栽培が広がり、2023年には104.9Mt(メガトン)と、世界的に最も大量に生産される果物のひとつとなりました。
特に中国を中心にアジアでの生産が著しく伸び、家庭での消費に加え、食品加工・輸出用にも広がっています。
中国―圧倒的な世界首位のスイカ帝国
中国は63.96Mtで世界生産の60.95%を占める圧倒的なリーダーです。農村部から都市部にかけてスイカの栽培は非常に広範囲に及び、気候の多様性を活かして周年供給が可能となっています。前年比は+1.268%と緩やかながらも安定成長を継続しています。
中国の強みは以下の点にあります:
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国土の広さによる複数の収穫時期
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地元消費が非常に大きく、輸送・販売網が発達
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品種改良が進んでおり、小玉スイカや高糖度種も増加
今後も国内需要が旺盛であり、過剰生産・価格暴落への対応や高付加価値品種への転換がカギとなるでしょう。
インド―急成長中のアジア第二の生産国
インドの生産量は3.626Mtで全体の3.456%、前年比は+9.613%と極めて高い成長率を示しています。これは気温の高い気候と耕作面積の拡大、加えて品種選定の向上による成果です。
農村部での現金収入作物としての位置づけが強まり、都市部での健康志向による消費拡大も追い風となっています。今後は灌漑技術や病害管理の改善が生産の安定に貢献すると見られています。
トルコ・アルジェリア―地域供給の中核国
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トルコ(3.148Mt、3%)は中東・ヨーロッパ市場向けの重要供給国ですが、前年比-7.272%と減少。干ばつや不安定な天候の影響、あるいは市場価格低迷により生産者の転作が見られました。
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アルジェリア(2.507Mt、2.389%)は前年比+20.87%と急増。水資源の限られる地域で灌漑技術を活かした栽培が急速に伸び、今後も北アフリカ市場の需要を支える可能性があります。
両国とも輸出志向が高まっており、品質・流通面の整備が生産維持の鍵です。
ブラジル・ロシア・アメリカ―消費市場を支える主要生産国
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ブラジル(1.782Mt、1.698%)は前年比-7.814%で、異常気象やコスト高が要因と考えられます。国内消費が主軸で、輸出には限界がありますが、都市部での需要は堅調です。
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ロシア(1.77Mt、1.687%)は前年比+8.238%と成長しており、温暖化により北方でも生産が可能になりつつあります。国内市場志向の中で食料自給率向上が背景にあります。
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アメリカ(1.683Mt、1.604%)は前年比+3.809%。カリフォルニアやフロリダなどが主要産地で、農業の機械化や大規模経営が進んでおり、品質と安定供給が強みです。加工品(ジュースやカットスイカ)の需要が高いのも特徴です。
気候変動・水資源・流通コスト―世界的課題
スイカは水を大量に必要とする作物であり、気候変動が大きな影響を与えています。近年では以下のような課題が浮上しています:
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干ばつ・高温・降雨不足による収量不安定化
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労働力不足と資材価格の高騰
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輸送・保存にコストがかかるため、流通インフラの整備が不可欠
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価格変動の激しさにより生産者が転作を選ぶ動きも
これらは特にトルコやブラジルなど、気候の影響を受けやすい地域で顕著です。
今後のスイカ市場の展望と持続可能性
スイカは今後も世界的に需要の高い果物であり続ける見通しです。以下の要素が市場を支えると予測されます:
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都市化と冷蔵流通の発展による保存・輸送技術の改善
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小型・高糖度・タネなしスイカといった新商品開発
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健康志向に基づく果物需要の増加(特に夏場の水分補給・抗酸化作用)
中国・インドの2大生産国は成長を維持し、アルジェリアやロシアといった新興国が今後の供給を補完していく形になるでしょう。ただし、水資源の持続可能な利用と市場価格の安定が今後の鍵となります。
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