スイカの世界生産量の動向と将来展望【最新データ分析】

果物

2023年の世界スイカ生産量は104.9Mtで前年比+1.833%。中国が全体の60%以上を占める一方、インドやアフリカ諸国の成長も顕著。健康志向の追い風を受け需要は増加傾向にあり、今後は気候変動対応・加工品展開が成長の鍵となる。

スイカの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界104.9100+1.833
1中国63.9660.95+1.268
2インド3.6263.456+9.613
3トルコ3.1483-7.272
4アルジェリア2.5072.389+20.87
5ブラジル1.7821.698-7.814
6ロシア1.771.687+8.238
7アメリカ1.6831.604+3.809
8ウズベキスタン1.5721.498+9.225
9パキスタン1.5071.436-2.073
10セネガル1.4931.423+0.0226
11カザフスタン1.4351.368+6.647
12メキシコ1.4291.362+21.4
13イラン1.3671.303+9.221
14ベトナム1.2791.218+5.803
15スペイン1.1691.114+0.338
16エジプト10.953-0.00017
17アフガニスタン0.9440.899+5.877
18タジキスタン0.8380.799+4.1
19ドミニカ共和国0.8280.79+29.12
20イタリア0.7520.716+14.45
21トルクメニスタン0.6140.585+5.556
22サウジアラビア0.6130.584+1.269
23ケニア0.490.467+45.1
24モロッコ0.4630.441-23.26
25チュニジア0.4610.439+2.389
26韓国0.460.438-5.668
27マリ0.4160.397
28インドネシア0.4080.389+10.96
29ギリシャ0.3960.378-8.952
30アゼルバイジャン0.3510.335-6.416
31日本0.3030.289-4.056
32アルバニア0.2810.268+9.562
33リビア0.2320.222-5.5
34コロンビア0.2180.208-0.645
35ウクライナ0.2160.206+5.487
36キルギスタン0.1990.19+2.105
37シリア0.1970.187-43.58
38イラク0.1930.184-56.18
39ベネズエラ0.1790.171+4.517
40イエメン0.1740.166-9.097
41スーダン0.1740.165+0.012
42オーストラリア0.1720.164+0.298
43タイ0.1670.159+0.177
44ニジェール0.1630.156-13.81
45セルビア0.1610.153-12.32
46ペルー0.160.153+41.97
47ラオス0.1570.15+8.092
48ジンバブエ0.1510.144-7.094
49ルーマニア0.1480.141+1.779
50グアテマラ0.1340.127-18.35
51アルゼンチン0.1260.12-0.0131
52フィリピン0.1250.119-7.34
53ハンガリー0.1250.119+23.03
54北マケドニア0.1240.118+0.338
55マレーシア0.1220.116-10.21
56パラグアイ0.1190.113-0.0489
57アルメニア0.1170.111-6.345
58イスラエル0.1080.103+9.192
59タンザニア0.1030.0979+9.046
60カメルーン0.09420.0898-3.099
61北朝鮮0.09160.0873-0.57
62ヨルダン0.09010.0858-19.42
63ブルガリア0.08010.0764+0.188
64エクアドル0.0770.0734+0.665
65ホンジュラス0.06820.065-0.229
66南アフリカ0.06370.0607+0.933
67コスタリカ0.06320.0603+12.46
68ボリビア0.0610.0581+1.413
69レバノン0.05720.0545-5.219
70エルサルバドル0.04890.0466+15.13
71チリ0.04810.0458-9.678
72オマーン0.04140.0395-15.08
73カナダ0.03630.0346+3.63
74ジョージア0.03480.0332-41.81
75キューバ0.03430.0327-16.35
76モルドバ0.03080.0294+17.38
77ガイアナ0.03040.0289-15.71
78ポルトガル0.02770.0264-4.421
79クロアチア0.02640.0252+11
80フランス0.02350.0224-1.094
81ボスニア・ヘルツェゴビナ0.01990.019+75.53
82ジャマイカ0.01890.018+3.12
83モンテネグロ0.01730.0165-1.354
84パナマ0.0160.0152-32.35
85ボツワナ0.01580.015-32.45
86パレスチナ0.01540.0147-24.33
87キプロス0.01310.0124+4.984
88ウルグアイ0.01120.0107-0.202
89メラネシア0.00980.00934+27.35
90フィジー0.008160.00778+31.18
91プエルトリコ0.006580.00627-3.586
92ソマリア0.00640.0061+1.333
93ポーランド0.00630.006+117.2
94ナミビア0.003570.0034+0.379
95マルタ0.003420.00326-0.292
96スロバキア0.003340.00318-6.443
97マラウイ0.003060.00291+0.601
98アラブ首長国連邦0.002580.00246-1.595
99ベリーズ0.002550.00243+9.793
100モーリタニア0.002520.0024-0.642
101チェコ0.002490.00237
102ニュージーランド0.002410.0023-0.219
103オーストリア0.002260.00215+1.802
104ポリネシア0.001850.00176-13.17
105スリナム0.001460.00139+16.79
106フランス領ポリネシア0.001340.00128-17.44
107クウェート0.001130.00108+185.6
108カタール0.001090.00104+109.2
109ソロモン諸島0.001060.00101+0.132
110グレナダ0.0010.000954-16.44
111カーボベルデ0.000890.000848-19.74
112バーレーン0.000820.000781+13.89
113トリニダード・トバゴ0.0006810.000649+71.94
114スロベニア0.000680.000648+9.677
115ニューカレドニア0.0005790.000552+39.24
116セントルシア0.000510.000486+13.33
117トンガ0.0004450.000424+0.422
118ブルネイ0.0003010.000287-17.57
119ドミニカ0.0002810.000268+0.692
120アンティグアバーブーダ0.000140.000133+28.73
121セントクリストファーネイビス0.0001290.000123+11.21
122ジブチ7.06E-56.72E-5-0.156
123クック諸島6.54E-56.23E-5+0.91
124ブータン4.49E-54.28E-5-52.31
125ルクセンブルク00
126リトアニア00
127ラトビア00
128ベルギー00
129フィンランド00
130ドイツ00
131デンマーク00
132スウェーデン00
133オランダ00
134エストニア00
135アイルランド00
スイカの生産量
スイカの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

スイカの現状と今後

2023年における世界全体のスイカの生産量は104.9Mt(メガトン)で、前年から+1.833%の増加を示しました。世界の果実生産の中でもスイカは単1果実で最も重量が大きく、消費量も多い果実のひとつです。とくに気候が温暖で耕地が広く取れる国々において、比較的低コストかつ高収量が期待できる作物として位置づけられています。

生産の中心は圧倒的に中国であり、世界全体の60%以上を占める極めて偏重した構造です。その他の国々も地域ごとに特有の栽培スタイルや市場を持ち、生産・輸出・国内消費に応じて多様な発展段階にあります。


中国:圧倒的トップの生産体制

現状(63.96Mt、前年比 +1.268%)

中国は、世界最大のスイカ生産国であり、全体の約61%を1国で占める異例の集中状況です。農村部での小規模農家による生産が多く、国内での生食需要が高いだけでなく、品種開発、連作技術、ハウス栽培の進化により、安定した供給が可能となっています。

2023年は微増でしたが、これは既に十分な供給規模に達しているため、成長が緩やかになっていることを示唆します。今後は、品質の均質化、輸出対応、加工品展開(ジュース・冷凍)といった非量的な成長が主軸になると考えられます。


新興・安定生産国の特徴と変動

インド(3.626Mt、前年比 +9.613%)

インドは高温で広大な農地を活かしたスイカ生産が盛んで、年々増加傾向にあります。2023年は1割近い増加を記録し、これは灌漑技術の発展や国内市場の拡大、輸出志向の農業政策の影響と考えられます。今後も都市部の中産階級の健康志向に支えられた需要増が期待されます。


トルコ(3.148Mt、前年比 -7.272%)

トルコは地中海沿岸を中心にスイカが広く栽培され、欧州向けの輸出拠点としても重要です。2023年は減少となりましたが、これは干ばつや高温障害などの1時的な気象要因の可能性があります。中長期ではEU圏への近接性と輸送コストの優位性から、安定した供給地として機能し続けるでしょう。


アルジェリア(2.507Mt、前年比 +20.87%)

北アフリカ地域で急成長している国の1つで、2023年には前年から2割以上の増加を見せました。これは、乾燥地でも対応可能なスイカの強靱さと、砂漠農業の広がりが背景にあると考えられます。政府の農業投資や気候変動対応作物としての政策的な推進も寄与しており、今後も継続的な成長が期待されます。


ブラジル(1.782Mt、前年比 -7.814%)

ブラジルは赤道近くから南部まで多様な気候条件を持つため、季節を分けた通年供給が可能です。しかし2023年はやや減少しており、これは気象変動やコスト増(肥料・人件費)などの影響と推測されます。長期的にはラテンアメリカ市場への供給基地としての役割が続くでしょう。


ロシア(1.77Mt、前年比 +8.238%)

寒冷地のイメージが強いロシアでも、南部(ヴォルゴグラードやアストラハン)を中心にスイカ生産が拡大しています。2023年の増加は、内需主導の農業政策国産志向の高まりが背景です。寒冷な気候条件を逆手にとった晩成・甘味の強い品種の開発が強みになりつつあります。


アメリカ(1.683Mt、前年比 +3.809%)

アメリカでは主にカリフォルニア、テキサス、フロリダなどの温暖地でスイカが栽培されています。機械化・品種改良が進んでおり、2023年も安定的な成長を見せました。シードレス(種なし)スイカや小玉品種の開発が進み、健康志向に対応した市場対応力があります。今後も生産は堅調でしょう。


ウズベキスタン、パキスタン、セネガル

これらの国々は、近年スイカ生産が拡大している新興国です。

  • ウズベキスタン(1.572Mt、+9.225%) 内陸乾燥地での効率的なスイカ栽培が成長を牽引。

  • パキスタン(1.507Mt、-2.073%) 気象の影響でやや減少するも、農地拡大により今後に期待。

  • セネガル(1.493Mt、+0.0226%) アフリカ西部での農業モデルとして注目され、EUへの輸出も視野に。

これらの国々は、コスト競争力が高く、アジア・中東・ヨーロッパ市場への地理的接近が利点で、今後の国際的なスイカ供給地としての役割を強めていくと予想されます。


スイカ市場のトレンドと今後の展望

需要側の変化

スイカは高水分で低カロリーという特性から、健康志向・ダイエット市場での評価が高まっており、年間を通じての需要が拡大しています。さらに、加工品(スムージー、冷凍果実、ドライスイカ)などの付加価値市場の成長も後押し要因です。

気候変動への対応

スイカは比較的暑さに強い作物ですが、極端な干ばつ・降雨パターンの変化には弱く、生産の安定性を脅かす要因となっています。今後は、干ばつ耐性・病害抵抗性を持つ品種の開発が各国で急がれるでしょう。

生産の将来予測(〜2030年)

以下のような中期予測が可能です:

  • 世界全体の生産量は今後年率1〜2%で拡大 → 人口増と都市化による需要増が背景

  • 中国の伸びは鈍化も、絶対量は依然突出 → 国内需給と品質管理が焦点

  • インド、アフリカ、中東、中央アジアでの生産拡大が顕著に → 低コスト・高日照の地理的優位を活かす

  • 高品質・機能性志向によるブランド果実の台頭 → 小玉スイカ・プレミアム種など

  • 灌漑設備・輸送インフラ・冷蔵流通の整備 → 特に途上国での成長の鍵を握る

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