世界のジュート生産の動向と今後の展望：米中主導で高成長へ

2023年の世界ジュート生産量は1,242 Mtで前年比+6.8%。特にアメリカとブラジルが大幅増、中国・インドも堅調、ウクライナや南アフリカも拡大。一方アルゼンチンやインドネシアで減少が見られ、地域差が鮮明。今後は環境素材志向の高まりとともに、各国の政策、気候適応、新たな加工・ブランド力構築が競争力の鍵となるでしょう。

2023年の世界全体のジュート生産量は 1,242 Mt（メガトン）。前年比で +6.836% としっかり増加しています。この上昇は原材料価格の回復、持続可能な素材への関心の高まり、および需要の安定に起因していると推測されます。

主要国の生産特徴と変動傾向

アメリカ（389.7 Mt、+12.39%）

世界最大の生産国。前年比で12%以上の伸びを記録し、輸出向け需要や代替素材からの回帰需要が背景と考えられます。農地拡大や投資も増えた可能性があります。

中国（289.1 Mt、+4.201%）

第2位ながら堅調な増産。政策的支援や再生可能素材重視の流れに乗って、安定成長を続けているようです。

ブラジル（132 Mt、+20.24%）

前年比で最も高い伸びを示し、新規農地開発や繊維産業との協業強化が奏功している模様。南米における存在感が急速に高まっています。

アルゼンチン（41.41 Mt、−29.86%）

大幅に減少。この落ち込みは自然災害、経済不安、 作付面積の縮小や農家の転作による影響があると考えられます。

インド（38.09 Mt、+12.91%）

小規模国ながら12%近い増加。伝統的なジュート繊維利用文化と工芸産業との結びつき、国内需要の回復が背景です。

ウクライナ（31.03 Mt、+18.5%）

前年比で大きな伸び。農業改革や輸出志向の強化、あるいは作物転換などで生産が拡大したと推察されます。

メキシコ（27.55 Mt、+3.754%）

緩やかな増加ながら安定した生産基盤。現地の包装用・建材用需要に支えられていると考えられます。

インドネシア（19.99 Mt、−10.61%）

減少傾向。気候条件や農業政策の変化、他作物へのシフトにより作付が減った可能性があります。

ロシア（16.6 Mt、+4.65%）

緩やかな増加。内需の回復や繊維加工業の支援が影響していると推測されます。

南アフリカ（16.43 Mt、+6.206%）

増加傾向。持続可能素材の需要増が地域の包装・建材業と連動していると考えられます。

共通傾向と背景要因

• 世界的な再評価とリバウンド：生分解性・持続可能性素材への注目が高まり、プラスチック代替としての需要が回復しつつあります。

• 主要国の首位入替が進行中：アジア諸国（中国・インド）に加え、アメリカやブラジル、ウクライナといった地域の生産主導力が強まりつつあります。

• 気候・政策・作物選択の影響：降水・温度といった気象条件や、農地政策、価格誘導（作物補助金など）が生産に大きく左右されている様子です。

• 地域分散の進行：南米やヨーロッパ（ウクライナ）、アフリカ（南アフリカ）など、かつて中心でなかった地域での生産拡大が見られます。

将来予測と課題

主要国による拡大基調の継続

アメリカ、ブラジル、ウクライナ、インドなどは引き続き増産基調が続くと予想されます。政策支援や資本投下、輸出構造の整備が鍵となります。

持続可能素材の需給構造への変化

世界的な環境規制強化や企業のESG対応により、ジュート原材料の重要性は高まります。これに適応する農家・産業が強みを発揮するでしょう。

地域格差と安定性リスク

アルゼンチンやインドネシアのように地域差が大きく、中南米・アフリカでは気候・インフラ・政策の変動が供給安定性を左右します。

加工技術と価値創出能力の差

原料生産だけでなく、紡績・加工・ブランド化に至るバリューチェーン整備が進んだ国ほど、長期的な競争力を有しやすい構造です。

総括

2023年の世界ジュート生産は 1,242 Mtと前年比で 約6.8%増加。アメリカとブラジルが大幅な伸びを示し、中国・インドも堅調。ウクライナや南アフリカも存在感を強め、ただ1部国（アルゼンチン、インドネシア）は減少。将来は持続可能素材志向の世界的潮流の中で、政策支援・技術革新・付加価値化により生産国により格差が拡大する可能性があります。