2022年の世界ココナッツ生産量は3.162Mtで前年比+15.93%。フィリピンやスリランカの回復が顕著で、アジア太平洋地域が生産の中心。気象条件による変動が大きく、加工用途の拡大と品質向上が今後の成長を左右する。安定成長が見込まれる一方、気候変動や人手不足がリスク。
ココナッツの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
世界 | 3.162 | 100 | +15.93 | |
1 | フィリピン | 1.359 | 42.97 | +32.1 |
2 | インドネシア | 0.666 | 21.06 | +7.593 |
3 | インド | 0.36 | 11.38 | -1.639 |
4 | ベトナム | 0.182 | 5.755 | +0.552 |
5 | メキシコ | 0.132 | 4.184 | |
6 | スリランカ | 0.084 | 2.657 | +95.21 |
7 | メラネシア | 0.0836 | 2.642 | +17.84 |
8 | マレーシア | 0.0548 | 1.733 | +2.43 |
9 | パプアニューギニア | 0.0471 | 1.489 | +12.14 |
10 | タイ | 0.0287 | 0.908 | |
11 | バングラデシュ | 0.0275 | 0.87 | +15.55 |
12 | モザンビーク | 0.0271 | 0.857 | -2.166 |
13 | バヌアツ | 0.019 | 0.601 | +58.33 |
14 | タンザニア | 0.0145 | 0.459 | |
15 | コートジボワール | 0.0142 | 0.449 | -13.41 |
16 | ポリネシア | 0.0129 | 0.408 | +4.84 |
17 | ソロモン諸島 | 0.0127 | 0.402 | +4.959 |
18 | ブラジル | 0.0127 | 0.401 | +14.58 |
19 | ベネズエラ | 0.011 | 0.348 | -0.588 |
20 | カンボジア | 0.0107 | 0.338 | +0.955 |
21 | ジャマイカ | 0.0103 | 0.326 | -4.872 |
22 | ドミニカ共和国 | 0.0073 | 0.231 | |
23 | ナイジェリア | 0.007 | 0.221 | |
24 | パキスタン | 0.0067 | 0.212 | |
25 | キリバス | 0.00656 | 0.208 | +65.28 |
26 | ケニア | 0.006 | 0.19 | |
27 | ガーナ | 0.006 | 0.19 | |
28 | ギニアビサウ | 0.00559 | 0.177 | -0.427 |
29 | フランス領ポリネシア | 0.00536 | 0.169 | +12.51 |
30 | フィジー | 0.00475 | 0.15 | -0.711 |
31 | トンガ | 0.0045 | 0.142 | |
32 | マダガスカル | 0.0044 | 0.139 | -3.246 |
33 | ミクロネシア | 0.004 | 0.126 | |
34 | サモア | 0.003 | 0.0949 | |
35 | トーゴ | 0.00166 | 0.0524 | +4.64 |
36 | ギニア | 0.00146 | 0.0462 | +3.909 |
37 | エルサルバドル | 0.00134 | 0.0424 | +13.39 |
38 | エクアドル | 0.00131 | 0.0414 | -3.485 |
39 | トリニダード・トバゴ | 0.0012 | 0.0381 | +1.395 |
40 | ベナン | 0.0011 | 0.0347 | -2.196 |
41 | スリナム | 0.000704 | 0.0223 | -21.63 |
42 | セントクリストファーネイビス | 0.000614 | 0.0194 | +21.68 |
43 | ホンジュラス | 0.000602 | 0.019 | -0.55 |
44 | カメルーン | 0.000533 | 0.0168 | +1.758 |
45 | グレナダ | 0.000429 | 0.0136 | +0.126 |
46 | 中国 | 0.000294 | 0.0093 | -8.967 |
47 | ドミニカ | 0.000252 | 0.00797 | -2.326 |
48 | コスタリカ | 0.000218 | 0.00691 | -5.994 |
49 | セントビンセント・グレナディーン | 0.000198 | 0.00628 | +3.818 |
50 | 東ティモール | 0.000192 | 0.00607 | +53.6 |
51 | 韓国 | 0.000172 | 0.00544 | -43.59 |
52 | セントルシア | 9.46E-5 | 0.00299 | -62.15 |
53 | パナマ | 8.9E-5 | 0.00282 | +304.7 |
54 | ガイアナ | 7.0E-5 | 0.00221 | -22.22 |
55 | ナウル | 6.18E-5 | 0.00195 | +2.983 |
56 | ニカラグア | 3.0E-5 | 0.000949 | +8.027 |
57 | トケラウ | 3.0E-5 | 0.000949 | |
58 | ツバル | 2.0E-5 | 0.000632 | |
59 | コロンビア | 1.64E-5 | 0.000519 | -53.67 |
60 | セイシェル | 1.45E-5 | 0.000458 | +33.55 |
61 | ニューカレドニア | 1.29E-5 | 0.000407 | -52.3 |
62 | サントメ・プリンシペ | 1.11E-5 | 0.00035 | -48.56 |
63 | キューバ | 9.0E-6 | 0.000285 | -54.55 |
64 | ネパール | 6.72E-6 | 0.000213 | -86.37 |
65 | モーリシャス | 6.64E-6 | 0.00021 | +14.09 |
66 | モルディブ | 1.01E-6 | 3.19E-5 | -66.11 |
67 | ベルギー | 1.0E-8 | 3.16E-7 | -99.94 |
68 | ブルネイ | 0 | 0 | |
69 | バーレーン | 0 | 0 | |
70 | コモロ | 0 | 0 | |
71 | イタリア | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
ココナッツの現状と今後
2022年時点における世界のココナッツ生産量は3.162Mt(メガトン)となり、前年比で+15.93%という大幅な増加を記録しています。これは異常気象の回復や収穫時期のずれによる生産集中など複数の要因が複合的に作用した結果と推察されます。特にフィリピンとスリランカが大きく生産量を伸ばしており、全体を大きく牽引しました。
主要生産国の特徴と傾向
フィリピン(1.359Mt|+32.1%)
フィリピンは世界最大のココナッツ生産国であり、収穫面積・気候条件・農業インフラの3拍子が揃った環境を持っています。2022年は台風被害が少なかったことに加え、生産性の高い品種への更新が進み、大幅な増加を記録しました。ココナッツオイルやデシケイテッドココナッツなど、加工品への転換も盛んです。
インドネシア(0.666Mt|+7.593%)
インドネシアは長年フィリピンと並ぶココナッツ大国として君臨しています。比較的安定した増加を見せており、農業協同組合や地方政府による小規模農家への支援が奏功していると考えられます。湿潤な気候と多島海の地形がココナッツの成育に適しています。
インド(0.36Mt|-1.639%)
インドは主に南部のケララ州などでココナッツを生産していますが、2022年は生育期の降水不足や高温の影響でやや減産となりました。消費量が多く、国内向け需要が安定している1方、農園の高齢化と収益性の低下が課題です。
ベトナム(0.182Mt|+0.552%)
ベトナムでは中南部でのココナッツ生産が行われています。2022年は小幅ながらプラス成長を維持しました。主に地元での加工や輸出向けの1次製品が中心です。今後は加工技術の向上が競争力を左右する鍵となります。
メキシコ(0.132Mt|データ増減未提供)
中南米を代表するココナッツ生産国のひとつで、太平洋沿岸地域での生産が中心。主に観光地や都市部向けの生食用需要が強く、近年は健康志向を背景に需要は堅調です。
スリランカ(0.084Mt|+95.21%)
スリランカは前年に干ばつや病害の影響で大幅に減産していた反動で、2022年は驚異的な回復を遂げました。元々伝統的なココナッツ農業の文化が根強く、家庭消費と国内流通向けが中心です。
メラネシア・パプアニューギニア(0.0836Mt, 0.0471Mt|+17.84%, +12.14%)
太平洋島嶼部のこれらの地域では、伝統的農業に依存した自然農法型のココナッツ栽培が行われており、2022年は気候の安定もあり比較的高い成長を見せました。労働集約的だが、地域経済の柱となっています。
マレーシア・タイ(0.0548Mt, 0.0287Mt|+2.43% 他)
マレーシアやタイでは、ココナッツは1部地域での特化作物であり、生産量は比較的小規模ですが、加工食品やココナッツウォーターなどの付加価値分野にシフトする動きが見られます。
全体的なトレンドと背景要因
アジア太平洋地域の圧倒的優位
ココナッツの生産は、熱帯の高温多湿な気候が不可欠であるため、インド太平洋地域に強く集中しています。特にフィリピン・インドネシア・インドの3か国で、全体の約75%以上を占めており、この集中構造は今後も継続する見通しです。
天候依存と年ごとの変動
ココナッツは多年性作物ですが、花芽形成期と収穫期の気象に大きく左右されます。干ばつや台風の被害によって年ごとの変動が大きく、2022年の大幅増加も前年度の低水準からのリバウンド的増加の意味合いが強いと考えられます。
加工・輸出指向の拡大
世界的には、ココナッツオイルやココナッツミルク、化粧品用原料などへの産業的利用が広がっています。これに伴い、生産国では輸出競争力を高めるための品質向上・品種改良・加工設備の整備が課題となっています。
将来予測と展望
安定成長の可能性
地球温暖化によって1部地域での気候適性が拡大する可能性があるため、生産エリアの拡張も視野に入ります。特に東南アジアと太平洋島嶼部では、今後10年で年2〜3%前後の成長が期待できます。
リスク要因の増大
1方で、気候変動の極端化による台風・高温障害・病害虫の拡大は大きな懸念材料です。また、労働集約的な収穫が必要なため、労働力不足や農業離れが生産のボトルネックになる恐れがあります。
バリューチェーンの再構築
各国では、ココナッツの単なる原材料供給から加工・輸出による付加価値創出へと舵を切りつつあります。将来的には、グローバルサプライチェーンの中での加工地の移動や、オーガニック・持続可能性ラベルなどの国際規格対応が生産国の成長に影響を与えるでしょう。
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