世界のココナッツ生産動向と主要国の比較:フィリピンから新興国までの展望

生産量
生産量



2022年の世界ココナッツ生産量は3.162Mtで、前年比15.93%増と大幅成長。最大の生産国はフィリピンでシェア43%、次いでインドネシア、インドが続く。スリランカやメラネシアも急成長中。課題は気候変動・老木化・労働力不足。今後は健康志向の高まりや設備投資により、新興国を中心に安定供給体制の整備が進むと予測される。

生産量のデータとグラフ

ココナッツ生産量の最大と最新

世界 フィリピン インドネシア インド ベトナム メキシコ スリランカ メラネシア
最新 2022年 2022年 2022年 2022年 2022年 2022年 2022年 2022年
最大期 2001年 2010年 2016年 1999年 2022年 1998年 1964年 2005年
最新値[Mt] 3.162 1.359 0.666 0.36 0.182 0.1323 0.08402 0.08356
最大値[Mt] 3.738 1.746 1.019 0.448 0.182 0.148 0.1629 0.08373
前年比[%] 15.93 32.1 7.593 -1.639 0.5525 0 95.21 17.84
全体比[%] 100 42.97 21.06 11.38 5.755 4.184 2.657 2.642

 

これまでの推移

ココナッツの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

ココナッツ生産量についての推移と展望

ココナッツは、熱帯・亜熱帯地域に広く分布し、食品、油、繊維、建材、燃料など多用途に利用されてきました。1960年代から2022年にかけて、人口増加とともに需要が緩やかに拡大し、生産量は2022年時点で約3.162百万トン(Mt)に達しています。

特に2022年は前年比15.93%の大幅増加となり、コロナ禍からの農業再建、国際需要の回復、そして主要生産国の天候改善が大きく寄与しています。


主要生産国の特徴と生産傾向

フィリピン:最大の生産国

2022年の生産量は1.359Mtで、世界シェア42.97%を誇る圧倒的な1位。前年比32.1%増という急伸を示し、天候回復や輸出需要の回復が大きな要因です。ココナッツオイルやココナッツ水の加工品輸出が収益源であり、農民支援政策の影響も見られます。

インドネシア:安定した供給国

生産量は0.666Mt、シェア21.06%で第2位。前年比7.593%増と着実な伸びを示し、広大な生産面積と小規模農家の多さが特徴です。国内消費も大きく、加工インフラの整備が今後の課題とされます。

インド:伝統的な生産国

0.36Mt、シェア11.38%で第3位だが、前年比-1.639%減とやや後退。主に南インド(ケララ州など)で栽培され、宗教行事や食文化との結びつきが強いです。都市化と若年労働力不足が減産の一因となっています。

ベトナム:輸出志向の拡大国

0.182Mt(5.755%)で第4位。前年比0.5525%増と小幅な成長だが、近年はココナッツ関連商品の輸出拡大に力を入れており、加工品の品質向上が今後の鍵です。

メキシコ:中南米の代表国

0.1323Mt(4.184%)で5位。アジア勢が強い中、安定した生産体制を維持し、主に北米市場向けの供給基地として機能。気候変動への対応が将来的課題です。

スリランカ:回復基調にある産地

0.08402Mt(2.657%)と規模は小さいが、前年比95.21%増と驚異的な回復。2021年に干ばつや経済混乱の影響で落ち込んだ反動とみられ、政府支援による再植林も進行中です。

メラネシア:分散型生産地域

0.08356Mt(2.642%)で、前年比17.84%増。バヌアツやフィジーなど島嶼国が中心で、地理的分散がリスク分散につながっています。地域経済における重要性が高く、援助プロジェクトの効果も見られます。


ココナッツ産業の課題

  1. 気候変動と台風リスク ココナッツは風に弱く、台風被害が深刻。特にフィリピンでは定期的な壊滅的打撃を受けるリスクがあります。

  2. 老木化と収穫性の低下 多くの地域で木の老齢化が進行。更新植栽が追いつかず、生産性の低下が懸念されています。

  3. 労働力の高齢化 若年層の農業離れにより、人手不足が慢性化。収穫の遅延や品質劣化にもつながります。

  4. 加工技術と市場アクセスの不足 インフラ未整備地域では、価値の低いまま出荷されることが多く、価格競争に陥りがちです。


今後の展望と予測

今後のココナッツ市場では、以下のトレンドが予想されます:

  • 植物性飲料・健康食品需要の増加に伴い、ココナッツ水・オイルなどの高付加価値商品の需要が拡大。

  • インドネシア・ベトナムなど新興国の設備投資が進み、生産能力の底上げに寄与。

  • スリランカやメラネシアなど中小国の成長余地が高く、援助や国際協力が鍵となる。

  • 気候変動対応型農法(耐風・耐旱性品種)の普及が急務。

一方で、フィリピンのシェア集中がリスクであり、生産地の多様化がグローバルサプライチェーンの安定にとって不可欠です。

 

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